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不思議勝ち!また1.5差やることなすこと阪神ペース
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「おツキさまはどこいった…」。5月最後の3連敗で嘆いていた野村監督。ここにいました。そう甲子園に。どうみたって、この夜の阪神はツイていた。さすがに野村監督は「ラッキー!」とは言わない。「いろんな野球がありますな」。摩訶不思議な勝利をそう表現した。 『負けに不思議の負けなし、勝ちに不思議の勝ちあり』。監督お得意の格言がまさにピッタリ。勝利後の野村監督は「不思議な、不思議な勝ちや…」と言い続けた。 【3回のラッキー】1点を追う3回。2死一、三塁で新庄が平凡な遊ゴロ。ため息が漏れた瞬間、信じられない光景が…。捕球した横浜石井琢が、わずか数メートル先の二塁へ送球できずボールをポロリ。 ◆横浜石井琢「体を逃がしながら上から投げようと思ったんだけど…」。名手の信じられないミスで三走・井川が生還。同点に追いついてしまった。 【5回のラッキー】石井琢がまたまたサービスしてくれた。桧山の2号ソロで勝ち越した直後の5回。先頭・坪井の遊撃右を襲う打球を石井琢が弾いてしまった。続く和田は前の打席で200犠打を達成。ところが名手が送りバントできない。追い込まれて仕方なく打ったら、高いバウンドの一塁内野安打。幸運にも無死一、二塁とチャンスが広がった。
3番新庄へのサインも犠打。新庄が絶好球の3球目にバットを引いた。ストライク! 天を仰ぐ新庄を尻目に、捕手谷繁は二塁へ送球した。あわてて二塁走者の坪井は、頭から帰ったがタイミングは完全にアウトだった。二塁塁審の上本が腕を上げかけた次の瞬間。2度あることは3度目ある? 石井琢のグラブからボールがこぼれた。命拾いのセーフの直後、新庄が左前打で満塁に。「結果オーライは監督に反抗する野球や。バントできずにヒット打ちよるんやからな」。野村監督は気に入らないが、おもしろいように得点は入ってしまう。ブロワーズが押し出し四球。続くジョンソンの犠飛、今岡の適時打で中押しの3得点だ。 【守りでもラッキー】守りでも、幸運は阪神が独り占め。6回1死から竹内がマシンガン打線に4連打を食らい1失点。1死満塁の大ピンチが続いた。谷繁の打球は一塁ベースの真上へ飛ぶ。ジョンソン捕ったところがベース上。ゲッツーであっという間にピンチを脱した。 「一番勝つ確率の低い野球や。こういうのもあるんやな。何が正しいかわからん」。どこまでも首をひねった監督。その答えは「6月」にあった。ヤクルト監督時代の野村監督は、1度も負け越しがない。中日も負けて再び1・5差。月が変わって、突然ラッキー野村阪神。何かが起きる予感がします。 <写真=超ラッキー勝利に「おおきに」とトラッキーから握手を求められたノムさんは、一瞬ビックリ>
継投ぴったり決まった先発井川をスパッと交替
オ〜。スタンドがどよめいた。「早すぎる」。そんな驚きの声だった。4回2死満塁。野村監督がベンチを出て投手交代を告げた。先発井川はスパッとあきらめた。スコアボードのスピードガンは警戒信号を出していた。初回140キロを記録していたストレートが、135キロにまで落ちる。冴えていたチェンジアップが狙い打たれ、横浜のマシンガン打線がいっせいに火を噴き始めていた。 迷わず竹内を投入。同点の2死満塁。竹内は谷繁を抑えた。「思いきって投げるだけだった」という投球で、谷繁を中飛に打ち取った。大歓声は、竹内と継投マジックをみせた野村監督に注がれた。 竹内は、6回ローズから4連打を浴びた。その裏の攻撃は、その竹内から始まる。6回は何としても持ちこたえてほしい。ベンチの願いに竹内は踏みとどまった。1点を失い、なおも1死満塁で、谷繁のバットを砕く一直併殺。5月26日の中日戦(金沢)でも2番手で今季初勝利を挙げた右腕はまたも2番手で好投し、中盤を支えた。 7回は遠山が鈴木尚を、8回は伊藤がポゾをいずれも併殺に取って、ピンチ脱出。最後は5点のリードをもらった伊藤が、5月2日の広島戦(甲子園)以来のウイニング・ボールを受け取った。 「6月は大事な月だと監督に言われていたし。ブルペンのムードもいいので、へこむ感じはしなかった」と遠山が言えば、伊藤も「井川からタケ(竹内)、遠山とつないで、あそこで僕が点を取られるわけにはいかんでしょう」。好ムードもリレーして、継投がこの夜もぴたりとはまった。 <写真=井川の後を受け、2番手で登板した竹内は、東北人らしい粘り強い投球で2勝目> 桧山V弾&ダメ押し打さっそく出た!野村教室効果流し打った打球が、あれよあれよと伸びた伸びた。そして左翼鈴木尚が、ついに追うのを諦めた。その頭上を越えた白球は、横浜応援団の心臓部をグサリ一刺しだ。同点の4回1死。福盛を痛打し、試合を決めたのは、恐怖の7番桧山のひと振り。芸術的流し打ちの2号ソロが、虎を連敗地獄からすくい上げた。 「外角の直球を上から強く叩けました。叩いたから、あそこまで飛んでくれたんでしょう。ピッチャーを助ける意味でも、何とかしたかった」。今季2度目のお立ち台。桧山は「叩く」というフレーズを何度も繰り返し、12試合ぶり1発の感触を表現した。体全体を包んでいたのは、試合に勝った喜びに加え、新境地を開拓した2重の喜び。野村監督の一言が、その強烈なスパイスだった。 前日5月31日の甲子園練習。指揮官に打撃ケージ裏で呼び止められた。「ダウンスイングを徹底しなさい。練習でそれぐらい打っていて、試合でちょうどいい」。故障で戦線離脱していた桧山には、これが野村監督からの初めての直接アドバイス。本人もその欠点は「分かっていた」が、指揮官直々の言葉に、受け入れる気持ちは全然違った。そしてこの日の一発回答。それが試合を決める千金アーチとなったのだから、これ以上の喜びはなかった。 「ケガをして、今年はより以上に体に気を遣うようになりましたね」。右わき腹肉離れで出遅れた今季、球場入りするのは練習開始の2時間以上も前で、チームで1番早い。再発防止のため熱い風呂に体を沈め、入念なストレッチで体を温めてから、通常練習に参加するためだ。惜しまない日々の努力。打率も3割をキープし、野村監督のアドバイスを聞いてすぐ結果を出せるのも、万全の体調管理があってこそだ。 中日が敗れ、再び1・5差。「今は自分たちの試合で精いっぱいですが、1戦1戦大事に戦って行きたい」。確かな手ごたえを胸に、桧山は熱く語った。白球を叩いて、叩いて…。その先には、念願の首位が見えて来る。 和田が通算200犠打を達成史上19人目、虎では2人目
和田がプロ野球19人目の通算200犠打を達成した。初回無死一塁。福盛の直球をプッシュバント気味に一塁前へ転がし、鮮やかに“区切りの一打”を決めた。その後新庄、ブロワーズが凡退して得点にはつながらなかったが、ベテラン健在を示す仕事で、また1つ勲章を手にした。 1986年4月8日ヤクルト戦(神宮)でのプロ初犠打を記録。200本目の犠打もていねいに決めた。「2番打者として世に出て、2番打者の仕事をしてきた結果でしょう」と和田は笑う。阪神では前監督の吉田義男氏に次ぎ2人目の偉業達成だ。「成功したバントより、失敗したバントの方がよく覚えているもの」はいかにも苦労人らしいコメントだ。 田中の成長がいい刺激になっている。この日もフル出場し、4打数1安打で3割5分台の高打率をキープした。85年日本一の生き残りが野村野球で再び輝きを増した。 <写真=1回裏無死一塁、ベテラン和田が一塁へ送りバントを決め通算200犠打を達成> 今岡、技あり5点目今岡が技ありのヒットで貴重な5点目をたたき出した。5回1死一、二塁でボテボテながら右前へ転がる適時打。「(福盛の)投球動作と同時に(セカンドの)ローズが二塁ベース方向に動いたので、開いたところを狙い打ちました。当たりはよくなかったけど、安打は安打。うれしいです」。7回にもダメ押しの2点につなげる中前打を放つなど、渋い働きで3連敗ストップに貢献した。 井川まだまだ力不足2度目の先発の井川は4回途中で、マウンドを降りた。この日の1軍登録即先発で、4回途中までマシンガンの異名を取る強力打線を5安打1点に抑えてきたが、ストレートの球速が140キロから135キロに失速。「それではイガボール(野村監督命名のチェンジアップ)が生きない」という野村監督の判断で2死満塁で降板した。「セットになるとボールを置きに行ってしまった。まだまだ力不足です」と出直しを誓った。 坪井5個目の補殺坪井が攻めて全5打席出塁、守って本塁への好返球と攻守にわたる活躍を見せた。3回2死二塁での波留の右前打で、二塁から石井琢が本塁を突いたが、右翼からワンバウンド返球。俊足の走者を刺した。「矢野さんのナイス・キャッチのおかげですよ」と捕手をたてるが、5個目の補殺はセ・リーグのトップだ。打っても2安打と3四球で全5打席出塁し「こういう疲れは気持ちいいですね」と振り返っていた。 (25勝20敗) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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