第42戦(5月27日)

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B砲連弾!大逆襲あと一歩

神がかり!!0―7から6―7

 惜しかった。悔しかった。でも、このたくましい虎はどうだ。三重殺、タイムリーエラー、序盤は0―7という大差。しかし6回以降キバをむいた阪神。新庄の2ラン、ブロワーズの2試合連続4号などで、星野竜を追い詰めた。結局は1点差が届かず首位獲りはまたも夢に終わったが、この反撃、この粘り、生まれ変わった虎であるかぎり首位は必ずやってくる。富山のファンも拍手したが、日刊スポーツも大きな拍手を贈るで。

5月27日・富山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
中 日
【勝】サムソン【S】宣【敗】吉田豊
【本】山崎11号(2ラン=吉田豊)新庄5号(2ラン=サムソン)
ブロワーズ4号(2ラン=正津)

ノムさん「今後に生きる敗戦や」

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 負けた。首位攻防の北陸シリーズは負け越した。しかし、拍手が起こった。悔しい黒星のはずが、ゲームセットの瞬間、富山の虎党が拍手でナインを迎えた。「よく、明日に生きる負けというが…。今後に生きていく。そんな負けだったと思う」。これが野村監督なら、ファンもまさに、それを実感していた。

 2197日ぶり目指した頂点。首位の壁は高く、厚かった。あと1点が、あと1本が…どうしても届かなかった。1勝1敗で迎えた首位決戦第3ラウンド。2度目の首位挑戦は、またも1点差で跳ね返された。しかし0―7の劣勢から、いったいだれがこの粘りを予想しただろう。試合後、敵将星野監督がシミジミ言った。「阪神は強い。ホント強いよ。今日は心から言うわ」。

 先発吉田豊がKOされ、5回まで猛虎打線は三重殺と2併殺を喫する拙攻。一方的に押し切られる展開だった。それが、6年ぶりの夢に向かってキバをむいた。6回、新庄が反撃の口火を切る5号2ラン。7回には矢野犠飛で1点追加。そして8回だ。ブロワーズの2試合連続アーチで追い上げた。この日、規定打席に到達した4番が来日初の猛打賞3安打だ。驚異的な粘り、逆襲。これが生まれ変わった虎の姿だった。

 盛り上がる三塁側ベンチ。リードしながら、追い詰められる中日。1点差で迎えた9回、さらに中日の守護神宣を攻めたてた。1死から坪井が3本目のヒットで出塁。2死後、新庄が8球粘って中前へ弾き返した。2死一、三塁。一打同点、長打で逆転の場面に打席は、またブロワーズ。「3安打しても負けたらダメ…。最後は何とかしたかったが…。チームが勝てなかったのが悔しい」。結果は二飛。奇跡は起きなかったが、最後の最後まで虎党に夢を与えてくれた。

スタメン
阪 神中 日
坪 井大 西
和 田種 田
新 庄関 川
ブロワーズゴメス
ジョンソン立 浪
今 岡山 崎
平 塚福 留
矢 野中 村
吉田豊サムソン

 「最後はブロワーズが打ちそうな気がしたんだが…。新庄は本当によくついていったと思う。状態はかなりいいんだろうけど、立派に3番をこなしているよ」。

 こんな野村監督も珍しかった。試合後の記者会見。最後の場面を振り返り、悔しさをのぞかせた。序盤の大量失点から、驚異的に粘って追い上げた。きっと最初に負けを覚悟したのは、野村監督自身だったのだろう。しかし指揮官の予想をも覆す逆襲劇。これこそ、野村監督が求めていた虎の姿なのだ。それが、たくましくて仕方なかった。「結果的に負けゲームを、あそこまで追いこんだよ。首位決戦らしく、よく粘ったと思う」。

 北陸シリーズは、首位決戦にふさわしい熱戦で幕を閉じた。悲壮感は全くない。ひとつの星は落としたが、「希望」と「自信」という収穫をつかんだ。6年ぶりの首位挑戦は、すぐにでもチャンスがやってくるはずだ。そして頂点を奪う日が、必ず来る。ファンも選手も監督も、それを確信した。楽しみは先に取っておこう。そして、心底喜べばいい。

<写真=あと1点“ホンマ痛いデこのアウト”7回坪井の中前安打で二塁走者平塚がホームを突くがタッチアウト。捕手中村>


新庄「ボクのせい」独り舞台

10年ぶり三重殺&満塁でトンネル

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 新庄の独り舞台だった。試合後「ボクのせいで試合を落としたようなものです…」と語り、肩を落として引き揚げた新庄。だが、“暗”も“明”も主役は背番号「5」だった。

 まず、仰天させた。初回の攻撃だった。坪井、和田の連打で無死一、二塁。3番新庄が勢いに乗ってバットを振った。だが強いゴロは三塁ゴメスの正面に飛んだ。ゴメスは三塁ベースを踏んで二塁へ。さらに一塁へと流れるように送球され絵に描いたような三重殺の完成だ。

 阪神がやられたのは実に10年ぶり、10人目のことだった。しかも、前日までセ・リーグ規定打席到達者で併殺0は、新庄と巨人松井の2人だけ。つまり新庄は、今季初併殺がトリプルプレーとなった。

 “暗の主役”はこれにとどまらない。2点リードされた3回の守備は1死満塁のピンチ。ここで立浪の打球が新庄の守る中前へ飛んだ。1人でも走者をかえすまい―。アグレッシブに捕球に行った新庄がバウンドを合わせ損ない、うしろにそらせてしまった。名手新庄にとっては信じられないプレーだ。思えば優勝争いを演じた92年、1軍に抜てきされた新庄が初めて中堅を守ったのがこの富山。あれから7年、再び訪れた快進撃の中での痛いミスとなってしまった。

 だがツルリとした顔からは想像できない意地が新庄にはある。ゲーム後半は追撃の主役だ。汚名はバットでそそいだ。7点差と一方的な展開になりそうだった6回、サムソンから13試合ぶりとなる目の覚めるような5号2ランを左翼席にたたき込んだ。8回には内野安打で出塁し、後続につなげた。さらに9回、打順が回ると真っ赤なグローブを外してバットを短く持って宣に対戦。ファウルで粘った9球目を中前へ運んだ。自身今季6度目となる猛打賞。どのヒットにも内容があった。

 「三重殺? ミス? きょうは全部ダメ」。そう顔をしかめた。だが10年目にして明らかな変化、粘りの打撃ができる新庄。今後、長いシーズン、阪神の優勝争いを支えていくのは間違いない。

<写真=初回無死一、二塁の先制のチャンスで新庄は三塁ゴロ、三塁手ゴメスがベースを踏み二塁へ送球、二塁手立浪が一塁へ送球し三重殺となった。打者新庄は天を仰いで悔しがる>

新庄“北陸シリーズ”は鬼門

 新庄には、一昨年にも北陸シリーズでタイムリー失策をした苦い思い出がある。1997年(平9)7月1日の広島戦(金沢)の1回裏1死一塁。前田の中前打に両手を上げ、捕れるように見せかけたが打球は左のわきを抜けフェンスにまで転がった。一塁走者の緒方は生還し、打った前田も三塁へ。怒った吉田監督(当時)は2回の守備から中堅に本西を起用。開幕から続いていた新庄の全イニング出場が止まった。

“三重殺&アーチ”は43年ぶり珍事

 <データセンター> ▼新庄の三重殺は阪神史上10人目。初回の三重殺はセでは1953年5月10に広島―名古屋戦で名古屋の西沢、同7月25日の国鉄―阪神戦で阪神吉田が記録したのに次いで46年ぶり3度目。一方、中日守備陣が三重殺を完成させたのは、77年7月17日の大洋戦以来、22年ぶり。

 ▼新庄は6回に5号2ランを放った。三重殺を記録した試合で本塁打を打ったのは1956年9月11日の南海―東映戦で東映の長光が記録して以来43年ぶりの珍事。また三重殺は長い球史の中で100回以上記録されているが、新庄のように封殺の連続による三重殺は意外と少なく全体の1割程度。ほとんどは走者が飛び出していたため、飛球で帰塁できなかったもの。


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吉田豊またも背信

3回途中でKO

 先発不在の非常事態の中で、吉田豊がまたも背信KOだ。2回1死一塁で山崎に先制の2ラン。さらに3回には、連続四球から自滅し、1死満塁から立浪に中前適時打。3回途中6失点でマウンドを降りた。「本塁打でリズムを崩した? そんなことはないですけど…」。前回の21日巨人戦の2回降板に続く序盤KOで5敗目(1勝)を喫した。前日(26日)右肩を痛めた川尻がこの日、登録抹消され、残る先発陣は藪、メイ、吉田豊の3人しかいない。「残る者でやらないと、しゃあないんだが」(松井ヘッドコーチ)。不調の吉田豊も、先発を外せないのが現状。いよいよ虎投に火の車が迫ってきた。

<写真=3回途中で中日打線に捕まり降板する吉田豊>


竹内連夜の奮投

 竹内が前日26日に続いて好投。2回を1安打に抑えて、阪神の猛反撃を演出した。7回に4番手で登板。先頭の関川にヒットを打たれたが、続くゴメスを併殺に打ち取った。川尻が登録抹消されて、先発陣は大ピンチを迎えた。リリーフには負担がかかる状況だが、竹内は「1戦1戦、大切な試合が続くので、精いっぱい投げるだけです」と話していた。

平塚「ツイてない」

 「ツイてなかったね」。平塚は無念そうにつぶやいた。7回、ライト右への二塁打を放ったが、2死二塁から坪井の中前安打で本塁を突きタッチアウト。さらに、1点差に詰め寄った8回、無死一、二塁から右へのゴロは一、二塁間を抜けようかというコースに飛んだが、二塁手立浪に好捕され、あわや同点タイムリーも幻に消えた。

坪井8度目の猛打賞

 坪井が今季8度目となる猛打賞で阪神打線の攻撃を引っ張った。まず初回にサムソンから一、二塁間を抜いた。くやしかったのは追撃ムードの7回に出た中前打だ。2死二塁から快打を飛ばしたが走者の平塚が本塁憤死して適時打とはならなかった。そして9回。中日の抑えの切り札・宣の2球目を再び中前へ弾き返し、最後まで反撃を盛り上げた。「宣を打った? たまたまです。3本打っても勝てなきゃ意味ないですね」と淡々と話していた。

(24勝18敗)


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