第38戦(5月22日)

Home
戦跡目次
spacer
阪神情報
spacer

痛快G倒!遠山は監督賞もの

10年ぶりの勝ち星

 5万5000人の巨大なウエーブが野村阪神の激勝を祝福した。長嶋監督に見せつけるような阪神野村監督の継投が、ズバリ。期待にこたえた遠山が10年ぶりの勝利。ノムさんも「監督賞ものや」と絶賛した。先制されても、今年は強い。『逆転の虎』が、痛快巨倒で首位中日に1.5差で食い下がった。

5月22日・甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
巨 人
阪 神
【勝】遠山【S】福原【敗】柏田
【本】高橋16号(2ラン=竹内)

55000人の巨大ウェーブも巻き起こった

image

 7回の攻撃を終えると、ライトスタンドから大ウエーブが巻き起こった。ついにもぎ取った1点。虎の勝利を確信したファンの万歳三唱は、左翼にあふれた虎党まで巻き込んで一つの輪になった。喜びと絶叫が、2度のウェーブ禁止の場内アナウンスもかき消し、2度も甲子園を一周した。その中心には、8回表のマウンドに登ったばかりの遠山がいた。7回に決勝点につながるヒットを飛ばし、快投で巨人をねじ伏せたた殊勲者への、一足早い“前祝い”だった。

 前夜のお返しとばかり、粘り、食いつき、宿敵巨人に逆転勝ち。野村監督は、ヒーローの名を挙げた。「遠山は最高だね。アイ・ラブ・遠山や。あれがピッチングだ。バーンと腕振って、真っすぐは132キロ前後でもバッターが脅えとるやないか。(勝利は)10年ぶり? アレがいなかったらと思うとゾッとするよ。監督賞ものだ。社長賞が出ないなら、監督賞だ」。

スタメン
阪 神巨 人
坪 井後 藤
和 田清 水
新 庄松 井
ブロワーズ高 橋
ジョンソン石 井
桧 山元 木
星 野川 相
矢 野光 山
竹 内西 山

 名将が興奮するほど、この夜の遠山桜は投打に満開だった。まずは同点の7回から登板し、二岡、後藤、清水を3人でピシャリ。反撃ムードを作るとその裏、自ら1死一塁の場面でバットを折りながらの左前打を放った。投手再転向後初、96年ロッテ時代以来のヒットが巨人木村にプレッシャーを与え、田中の打席での暴投決勝点を呼んだ。8回には松井を三振に切り、巨人の反撃の目を断った男は、紛れもなくMVP。そして見事、89年以来、実に10年ぶりの白星を勝ち取った。

 「覚えてないです。10年ぶりですか…。気を抜けない場面なんで、一人一人気持ちを込めて投げました。打ったのはイチ、ニー、サンのたまたま。とにかく田村さんがいいピッチングをしてたんで、打たれたら格好がつかないって必死でした」。勝利投手のお立ち台は13年ぶり。遠山は感慨とともに、田村の名を口にした。

 昨年ファーム暮らしが長く、投手再転向に限界を感じていた時、支えになったのが田村の姿だった。左ヒジ痛からの再起をかけ、真夏の鳴尾浜を黙々と走る姿。「自分より2つも上の人があれだけ頑張ってるんだから…」。見せつけられた現役への執念が、遠山の支えでもあった。今春、野村監督から横手投げ指令を受けた時、相談し、アドバイスを受けたのが田村。その男が5回、目の前で見せた渾身の復活登板は、また何よりの力だった。

 「よく一つ勝ったよ」。野村監督は、改めて遠山がもたらした1勝の大きさを感じ取っていた。22勝のうち、逆転勝ちはこれで10試合目。そしてそれを支えるのが遠山ら日替わりヒーローだ。「きょうは中日も勝ったし、負けられない雰囲気もいい結果になってる。あしたも絶対勝ちたい」。最後に遠山が言い切った言葉が、全員一丸、それが今の強さの秘密でもある。

<写真=10年ぶりの勝利投手に輝いた遠山(左)はルーキー福原と手を取り合って大喜び>

 <データセンター> ▼阪神の遠山が10年ぶりの勝ち星をあげた。最後に勝利投手になったのは、以前に阪神に在籍していた当時の1989年(平元)10月14日の広島戦(広島)に先発し、8回2/3を投げて以来。91年にロッテに移籍し、実働4年で95試合に登板したが勝ち負けには関係なかった。また、この試合では7回に左前打したが、これはロッテ時代の96年5月31日オリックス戦(神戸)の8回に野田から中前打して以来。ロッテでは、野手に転向した95、96年の2年間で通算16打数3安打、打率1割8分8厘。


新庄、打撃ベスト10入り

ノムさん「二刀流は打撃に生かすため…」

image

 阪神の勢いを象徴する出来事だ。新庄がこの日で規定打席に到達、打撃成績のベストテンに躍り出た。5位の和田、8位の坪井に続いて名乗りをあげた。96年4月20日に8位となって以来、丸3年ぶりの快進撃だ。

 この日、一番の仕事は1点を追う4回。1死満塁のチャンスで打席に入った。西山の巨人に対してカウント2―3からファウル2球で粘った後の8球目、142キロのストレートをたたき、右翼への犠飛で同点とした。「いい場面だったしヒットを打ちたかった。まあ最低限の仕事です」。派手好きな男はこれだけでは物足らないないが3番打者の仕事をした。

 野村監督が試合前、初めて2刀流の狙いを明かした。「新庄の育成には普通の方法ではダメ。彼は少し打率が上がればいい選手なんだから打撃と逆のことをやらせてみようと思った。オープン戦で投げた新庄が『ストライクを取るのはむずかしいですね』と言ったときは効果があったと思ったわ。投手としての期待もあったけど打つのと投げるのは共通項が多いんや」。

 確かに、投手を助けるようなムチャな大振りをしなくなった。この日の初回、最初の三振を喫したがこれは4月29日の中日戦(ナゴヤドーム)で喫して以来、実に71打席ぶりのこと。

 「三振した? いつかはするでしょ」と素っ気なかった新庄。しかし三振をしないことが話題になるなんて、天才イチローの域。このまま好調を持続させ、10年目の飛躍を本物にすればペナントという秋の超ビッグ・ボーナスにつながっていくはずだ。

<写真=堂々の規定打席到達となった新庄は4回裏1死満塁、右犠飛を放つ>

悩めるB砲、意地のタイムリー

 悩める主砲ブロワーズが意地の適時打を放った。新庄の犠飛で同点とした4回、2死一、三塁から西山のストレートをたたいた。打球は詰まった当たりながら飛びついて転がる遊撃の名手・川相をあざ笑うかのように三遊間を抜けていった。三走の坪井が生還し、同点にされなければ決勝点になった貴重な一撃だった。

 「今は状態がよくないからボールを強くたたくことだけを考えて打席に入っているよ」。頭に描くような打撃はできないが、これで5試合連続の打点。なんとかメジャーのプライドを見せている。

 なによりクサらない態度が好ましい。試合終了後にベンチを出ると「エキサイティングだったね!」とニッコリ。この明るさで完全復調を目指していく。


ルーキー福原、ヒヤヒヤ2S

「1点差ストッパー」誕生や

 冷や冷や、ドキドキの1点差。ルーキー福原がこの修羅場を投げきった。1点リードでリベラは怖い…。だからオマエに賭けたと任されたマウンドで、新守護神候補が踏ん張った。8回のピンチには、坪井がスーパー返球で高橋をホームでピシャリと刺して、福原を救った。頼むぞ福原。「あと1球」からの悪夢はごめんだ。 

 絶体絶命のピンチは、やっぱり自慢のストレートしかなかった。福原が投じた145キロに、5万5000人大観衆の祈りも加わる。1点リードの9回。2死から代打清原に右前打、続く後藤にも一、二塁間を破られて一、三塁。一打同点の場面で、清水に真っ向勝負を挑んだ。球威に押された打球は、ショートへの小飛球。4時間18分の大激戦を締めくくったのは、ルーキー福原だった。

 「点差は考えずに投げました。終わりを意識せずに…。(八木沢投手コーチから)最後まで行けと言われましたから」

 清水を迎えたところで、八木沢投手コーチがマウンドへ走った。しかしリベラへの交代はない。首脳陣が福原に伝えたのは“おまえと心中”だった。「きょうは球が走っていた。福原は今が一番いい状態」(八木沢投手コーチ)。ラストまで新人右腕に託した。

 これまでの勝利の方程式なら、9回表はリベラの登板。しかしクイックのできないリベラは「1点差では出せない」(野村監督)との判断で、福原に託した。ランナーが出れば、タダ同然で盗塁を許してしまう怪人より、安定度では福原の方が上。2セーブ目を挙げたこの日の好投で、その立場は完全に逆転した。

 「今はチームの調子がいいんで、僕も波に乗っていきたい」。遠山といっしょに上がったお立ち台で、福原は初々しい決意表明だ。1点勝負の接戦なら、福原しかいない。22歳の右腕が虎の新守護神に名乗りを上げた。

高橋“一刺し”坪井が救った

しびれたスーパー返球

image

 坪井がスーパー返球で窮地を救った。1点リードの8回2死二塁。元木の打球は一、二塁間を破る痛烈なヒット。しかし前進してきた坪井が、ワンバウンドで捕手矢野のミットに“ストライク”返球だ。二塁走者の高橋が体当たりしてきたが、これも矢野が完全にブロックしてホームを死守した。「狙うとか、そういう心境じゃなかった。思い切り投げただけ。そしたらたまたまワンバウンドで行っただけですよ」。今シーズン坪井4個目の捕殺だ。阪神の外野陣はほかにも平塚4、浜中2、桧山と新庄が1個ずつ。チーム12捕殺は横浜の11を抜いてセ・リーグで一番多い。打っても2安打の好調坪井。虎のリードオフマンが攻守で光った。

<写真=8回表2死二塁、元木の右前打を坪井はホームへ渾身の返球>


熱戦に水差す魔の青テープ

捕球体制の桧山に悪質妨害

 22日、甲子園球場で行われた阪神―巨人戦で観衆の投げたテープによる“守備妨害”があった。3―2と阪神の1点リードで迎えた6回表巨人の攻撃。打者石井は阪神3番手の伊藤から大飛球を放った。左翼手桧山がフェンスにくっつく形で捕球体勢に入った。そこへ左翼スタンド最前列から青いテープが投げこまれた。桧山は捕球に失敗。記録は二塁打となった。桧山は「(テープは)ボールにも顔にも当たっていませんが視界には入りました。(左翼スタンドのファンを)挑発することになるからアピールはしませんでした」。

 野球規則三・一六の付記によると「観衆が飛球を捕らえようとする野手を明らかに妨害した場合には、審判員は打者に対してアウトを宣告する」とある。

 二塁塁審の友寄正人審判員(41)は「ボールが落ちた後、テープが落ちたと判断したので、妨害行為とは思わなかった。でもこういう行為は絶対に止めてほしい」と試合後、強い口調で話していた。



田村、涼しい顔で貢献

 前日に1軍昇格、今季初登板したばかりの田村が早々と勝利に貢献した。5回に2番手で登板すると1番後藤、2番清水、3番松井を3人で仕留めた。さらに6回にも先頭の4番高橋を二飛に打ち取り、巨人が臆面もなく並べた1番から4番までの左打者を料理して出番を終えた。試合後の田村の涼しい表情が「これがオレの仕事だよ」と言わんばかりだった。

高橋の1発が…竹内

 今季初先発で期待された竹内が、4回で降板した。1、2回は四球を出すものの要所を締める投球で無難にスタート。だが3回、後藤に中前へ初安打を許した後に高橋に2ランを浴びて肩を落とした。「低めを狙ったんですが、甘く入ってしまいました。高橋のホームランが…」。4回裏、阪神にチャンスが回ってきたため代打を送られたが、4回3安打2失点とまずまずの内容だった。

(22勝16敗)


前の試合へ戻る次の試合へ進む

Home