第37戦(5月21日)

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虎の粘力見せつけた

竜破れ1・5差のまま

 野村阪神は負けたって、ただでは転ばない。5点差ビハインドの9回には、粘りに粘った。しかも、今後の布石もキッチリと。左キラー田村の復活登板、清水、松井の巨人好調左打線を封じて今後の戦いの収穫も。対巨人連勝は4で止まったが、ノムさんドンマイ。首位中日の負けて1・5差は変わらず。連敗のない5月戦線、この粘りと勢いあれば、22日は勝ちます。

5月21日・甲子園
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巨 人
阪 神
【勝】ガルベス【敗】吉田豊
【本】ガルベス2号(満塁=吉田豊)松井11号(ソロ=川尻)
高橋15号(ソロ=川尻)


一発なくてもやるJ、気迫のヘッド2発

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 夢がある、希望が持てる。今年の阪神は、やっぱり違う。だから虎党も最後まで声をからした。5点差を追いかける9回最後の攻撃。5万1000人の大観衆の前で猛虎戦士が意地を見せた。

 口火を切ったのは、G戦5試合連続アーチの記録がかかったジョンソンだった。82年掛布氏以来の大記録は成らずとも、こんな闘志あふれるプレーがたまらない。セカンド元木のグラブを弾く打球に、一塁ベースへ巨体を揺らしての頭から突っ込む。「これがオレのスタイルさ。つなげるために、どんな形でも塁に出たかったからね」。ユニホームを真っ黒にさせた助っ人のヘッドスライディングが、虎ナインに勇気を与えた。

 続く今岡の投ゴロは、ガルベスからの送球を元木が弾いて一、二塁。押せ押せムードで桧山が中越え適時二塁打だ。大慌てする巨人ベンチ。盛り上がる一塁側スタンド。坪井の投内野安打で2点差に詰め寄るのが精いっぱいだったが「ひょっとしたら…」の希望を抱かせる粘りだった。

 「フッー、結果的にあの2点が効いたな。ホームランを食らうとはな…」

 試合後の野村監督も、一瞬だけあと1歩まで追い詰めた満足感に浸った。終わってみれば、その差はわずか2点。序盤の大量失点がなければ…。そう回顧したくなるのも当然だ。惜しまれるのは3回に浴びた松井、高橋の連発弾か。先発吉田豊がガルベスに満塁アーチを浴び、さらにリリーフした川尻が巨人の重量パワーのエジキとなった。この2発が最後まで重くのしかかった。

スタメン
阪 神巨 人
坪 井佐々木
和 田清 水
新 庄松 井
ブロワーズ高 橋
ジョンソン石 井
今 岡元 木
桧 山川 相
矢 野杉 山
吉田豊ガルベス

 「大変だよ。前途多難やな。でも、またいいこともあるかな。偶と不遇は時なり。時を待つしかないか」。そんな格言で締めた会見は反省はあっても、悲観的になる必要はなかった。

 逆に、ムードが険悪だったのは巨人の方だった。野村監督が会見をしていた頃、ガルベスの怒声が響き渡っていた。完勝ペースが2点差まで迫られた。何とか逃げ切ったものの、ガルベスは納得がいかない。ヒーローインタビューは拒否。「ノー・ウィン! ファッキン・テリブル!」(こんなのは勝ちじゃない。こんちくしょう)。あまりの迫力に通訳も怖がり、報道陣の質問を伝えようとしない。長嶋監督ですら「1点勝負なら負けよ、きょうは」と表情はこわばっていた。

 巨人連勝は4で止まった。だが、相手を不愉快にさせる負け方が、今年の阪神にはできる。ただでは転ばぬ粘りがあれば、必ず報われる。5月に入って連敗のないデーターが、それを実証しているはずだ。中日も敗れたため、首位とのゲーム差も1・5のまま。6年ぶりに首位に立つ日は、焦らなくてもじきにやってくる。

<写真=9回桧山の安打で二塁走者ジョンソンはホームへヘッドスライディング。泥だらけの顔で大きく手を広げセーフ>


田村が2年ぶり復活

清水、松井、高橋“左封じ”布石

 田村が復活登板を見事な0封で飾った。5点ビハインドで迎えた5回からの限定1イニング。2年ぶりに響いた「ピッチャー田村」の場内コールに、ライトスタンドはこの日一番の盛り上がりを見せた。そしてその期待通り、まず左の清水を一飛に仕留め、松井も中飛。続く高橋には死球だったが、石井への四球の後、キッチリと元木をスライダーで中飛に打ち取った。ベンチの野村監督も思わず、大きな拍手だ。

 「うれしかったです。思い切って投げました。0点に抑えられたんで、よしとしましょう」。こん身の16球。鳴尾浜で日焼けしたベテランの顔は、まるで新人投手のように輝いていた。左ヒジ痛から、実に585日ぶりのマウンド。不安や迷いは、結果がすべて打ち消した。そして何より、頼もしく加わった左殺しに野村監督が目尻を下げていた。「いい時の田村は分からないけど、きょうは彼にとってよかったんじゃないか」。敗れたとはいえ、田村には何よりの記念日。「四球も出さず、この次はもっとちゃんとしたピッチングをして…」。次回こそが完全復活の舞台と誓った。


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新庄、ミサイル返球

今季初捕殺にファン大喜び

 惜敗の中でキラリと光った一瞬だった。8回、新庄が自ら最大の売り物とする補殺を今季初めて披露。阪神打線最終回の粘りを誘発したかのようなビッグプレーに5万1000ファンも大喜びだった。

 2死一、二塁で後藤の当たりは中前へ飛んだ。スルスルッとダッシュしてきた新庄はこれを素早く捕らえると本塁へ2バウンドで送球。福本守備コーチが「あれはいい動きやった」と認めるプレーで二塁走者の川相をピシャッと刺した。

 新庄は「浅い当たりだったけど、たまにはああいうのも見せとかないとね。ストライク送球? うん、きょうは(ヒザの力が)抜けんかった」と満足げ。遊離軟骨を抱えて痛む左ヒザの状態に大きな変化はないが、米子で1試合2盗塁を決めるなど状態も徐々には上向いている。

image  打席でも初回にガルベスからチーム初安打を記録。最終回も和田が出塁すれば最高の場面で打席が回っただけに「立ちたかった? もちろん」とキッパリ言い切った。この日、4打数1安打の新庄、このままなら23日の3戦目には規定打席に到達、それもベストテン内での登場という可能性もあるが「それは関係ないです」。新庄らしく自然体で巨人打倒、首位取りへ尽力していく構えだ。

<写真上=守りで見せた強肩だ、新庄だ! 8回後藤の中前安打を捕球のあとバックホームへ見事な送球 写真下=走者川相はホームアウト。捕手矢野>


坪井、7度目の猛打賞

 坪井が3安打の活躍で、虎の意地を見せた。巨人ガルベスの前に1、2打席は凡退した。だが5回に中前打を放つと、8回には左前打。そして9回には叩きつけて投前タイムリー内野安打とし、7度目の猛打賞をゲットした。だがチームが敗れたとあって、試合後は「ボクはいいですよ」と一言だけ。仏帳面のまま、ロッカーに入って行った。

ブロワーズ“緩慢プレー”

 ブロワーズが4試合連続の打点を記録した。3回、2死三塁から打席に入るとガルベスのストレートを詰まりながらも右前に落ちる適時二塁打とした。「あれはラッキー・ヒットだったね。状態がよくないので何でも受け入れるよ」。しかしその後は音なしで8回にはガルベスの高いバウンドのゴロを緩慢な守備で内野安打にしてしまう場面も。「あれは踏ん張れなかったんだけど言い訳はできないな」と申し訳なさそうに話していた。

中継ぎ川尻が2発被弾

 中継ぎとして初登板した川尻だが、ホロ苦のマウンドとなった。4点ビハインドの3回からの2イニング。いきなり松井、高橋に連続ソロを浴びた。フォーム微調整の試験登板の意味もあったが、結局2回を2失点。「打たれたのは2本ともシュート。新しいフォーム? 感覚的にはよかったんだけどね。ただ配球が…。自分ではよかったと思うんだけど…」。復調へある種手ごたえはつかんだようだが、こちらも歯切れは悪かった。

吉田豊、申し訳ない

 背信の2回KOに、吉田豊は何度も唇をかんだ。「高め高めに行って…。一人相撲で4失点。チームに申し訳ないです」。2回1死満塁。投手ガルベスに浴びたまさかまさかの満塁弾が、試合を決めてしまった。これで4月7日の広島戦(広島)で挙げた今季初星以来、いまだ勝ち星がない。「チクショー! 次、頑張ります」。最後は自分に腹立たしげにつぶやき、ロッカーに消えた。

 松井ヘッドコーチ「吉田は打たれた方がマシやった。フォアボール、フォアボールばかりで…。川尻は少しは(調子が)戻って来てるとは思うけど…」

 八木沢投手コーチ(田村について)「1年ぶりのゲームだし、力んでたね。でも抑えてやろうという気迫が、十分に感じられたよ」

(21勝16敗)


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