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野村マジック、3連勝貯金「6」遠山をワンポイント1塁
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スペシャル継投にノムさん苦笑い「苦肉の策や」
一瞬、何が起こったか分からなかった。7回裏、5点リードしながら迎えた無死満塁のピンチ。初回から必死で投げ続けてきた井川は限界だった。広島は3番前田、4番江藤、そして5番金本と続く。試合の流れが変わる可能性もある。そう読んだ野村監督が動いた。 ◆第一幕・井川交代、遠山投入 監督はすぐに井川の降板を決めた。「綱渡りやったからな」。そして左キラーとなった遠山投入を決定した。「あそこまで井川がいい投球してた。ここで打たれたら雰囲気が悪くなると思ってマウンドに行った」(遠山)。遠山は前田を二ゴロに仕留めた。三塁走者は生還したが点差があるだけに成功だ。ここまでは、1万6000観衆にも普通のシーンだった。が、次の瞬間…。
◆第二幕・野村マジック 続いて4番江藤を打席に迎えた。ここで監督は迷わず右の中継ぎ・伊藤を3番手に指名した。だが同時に思わぬアクションを起こした。丸本通訳を連れ一塁のジョンソンを呼んだ。話し合った後、ジョンソンがベンチに下がった。守備固めか? しかし、驚くべきは一塁の守備には今、前田を料理したばかりの遠山が入った。 遠山 「こういうプレーとは言われてなかった。一塁はロッテ時代にファームで守ったことがあるけど…。球が飛んできたらどうしようと思った」。 これぞマジシャンの異名を取った三原脩監督が西鉄時代に使った究極のワンポイント・リリーフ作戦。直系の弟子であるオリックス仰木監督も近鉄監督時代に試している。三原魔術を知る野村監督。実は、この奇策はヤクルト時代にも、3度敢行している手中の策だった。 大胆な作戦に燃えたのは伊藤だ。「ここで抑えなければオレが登板した意味がない」。1死一、三塁から江藤を三ゴロに打ち取った。 ◆第三幕・遠山、再び マウンドに戻った遠山は5番金本を三ゴロに切って取った。圧巻のスペシャル継投成功の瞬間だ。突然の交代となったジョンソンは「日本ではいろいろなプレーを見ているし驚かなかったよ」と笑顔を浮かべた。4月7日の2ランスクイズの三塁走者だったジョンソンだけに野村野球を楽しむ余裕があった。 野村監督 「苦肉の策や。左腕が1人しかいないしな。まあ遠山は野手の経験もあるし。でもどこを守っていたかはだれも知らねえんだよ」。 これで試合のなかった首位・中日に1ゲーム差と迫った。貯金も今季最多の「6」。「1ゲーム差? う〜ん、色気を出すとロクなことがないからな…」。試合後、ファンはもうお祭り騒ぎ。野村監督は、ベンチ前で選手を出迎えた後、クルリと振り返ってベンチ上のファンへ向かって万歳三唱を決めた。監督にとって会心の勝利だった。 <写真=アッと驚く野村マジック! 7回、打者江藤の時、遠山が一塁守備に。手前は3番手投手の伊藤>
プロ初先発・井川が初勝利6回0/3鯉斬り2失点
ウイニングボールをズボンの左ポケットに忍ばせた。プロ初先発で初勝利。2年目左腕井川が、阪神では8年ぶりとなる快挙を成し遂げた。 「自分としたら、いいピッチングじゃなかった。でも、ピンチになってからは、自分の力を発揮して、悔いを残さないように投げた」 高卒2年目、19歳とは思えなかった。ピンチになるほど、力を出す。2回、四球と安打、味方の野選で1死満塁。だが、この大ピンチで、逆に落ち着いたプレートさばきを見せる。緒方には低めのボールになるチェンジアップ。野村には外角のカーブ。絶妙なコントロールで、連続空振り三振に切って取った。 重い球質は、ドッシリとした下半身に支えられる。右太もも64センチ、左66センチ。女性のウエストより太い。“一昔前”の投手の典型的な体型だ。 この強じんな足腰が培われたのは、“朝寝坊”のおかげだった。自宅(東茨城郡大洗町)から高校(水戸商)まで、自転車で約20分かけて通学。「朝起きる時間がいつもギリギリだったんです。だから、立ったまま全力で自転車をこいでいた」。この“トレーニング”が、現代っ子離れした競輪選手のような太ももを作った。 「握手する内容か!」。カメラマンから井川との握手を求められた野村監督は、大声で井川を叱咤(しった)した。7回途中で降板するまで、4安打5四球。満点の内容ではない。しかし、ガッチリ握手を交わした野村監督は、井川の頭をいたわるようになでてやった。これが、野村流の愛情表現。初先発初勝利は、91年の麦倉以来。ローテーションの谷間で大きな1勝を挙げ、悩まされ続けた『先発5人目』の穴を埋めた19歳に、野村監督のメガネの奥は笑いかけていた。 <写真=好投を見せた井川のダイナミックなピッチングフォーム(多重露光)> 矢野(初先発の井川に)「課題はたくさんあります。でも、それだけ、アイツには大きく育ってほしいということです」 八木沢投手コーチ(初勝利を挙げた井川について)「1軍で5回目の登板だったが、毎試合、ゲームの中で何かを覚えていってくれている」 新庄、2盗塁&2タイムリー“大当たり”2死球も
華ある男が華々しく、米子最後の夜を盛り上げた。新庄が2タイムリー&2盗塁。2死球のオマケもついた大活躍だ。打って走って、縦横無尽にフィールドを駆け抜けた3番は、沸き上がる新庄コールの度に、右腕を天高く突き上げた。 「井川が頑張ってたんで、1点でも多く取ってあげたかった。ボクたちが何とかしてあげないと…」。8歳年下の後輩が演じた奮投。センターから見守っていた新庄は、燃えていた。5回1死三塁。熱い気持ちそのままに広島山崎の直球を叩いた。三塁強襲安打。3回の中前タイムリーに続き、ダメ押しともいえる5点目を、スコアボードに刻んだ。 この夜の新庄は打つだけでは、満足しなかった。続くブロワーズの初球。スルスルとモーションを盗むと、果敢に猛然と二塁へ走った。3回に続くこの日2個目の盗塁成功は、昨年わずか1個だった盗塁を一夜にして上回る“快挙”。これには野村監督も「新庄はどうしたんだ。2つとも(盗塁の)サインは出してないぞ」とビックリ仰天だ。今季0盗塁だった新庄に、一体何が起こったの? 「ヘヘヘ。きょうはヒザの調子がよかったんですよ」。新庄は得意顔で、明かした。「今年になって、盗塁への意欲は芽生えて来てるんやで」。福本走塁コーチが明かすよう、走れなくても出塁すれば、投手のクセを研究し、走るタイミングをはかってきた。 「チャンスがあれば、これからもドンドン行きますよ」。これで66打席三振がなく、打率も今季最高の3割2分3厘まで跳ね上げた。打てる3番だけでなく、走れる3番へ。ニュー新庄の誕生だ。 <写真=2回表(阪神)1死二塁、打者ブロワーズの左前安打で二塁走者新庄が生還し4―0とする。捕手田村> J砲、逆風なんの11号和田、びっくり場外2号虎が2夜連続、自然を最大限利用して、勝利を勝ち取った。この日も米子地方には強風注意報が発令され、右翼から左翼へ風が吹き荒れていた。それを見事利用。だが初回1死。和田がガツンと左翼場外へほうり込んだ。「打った瞬間入ると思ったのはプロ入り初めてだよ。無理に引っ張りにいったわけじゃないけど、きのうカヤの外だったから何とかしたかった」。驚くべきことに、プロ15年目、通算27本目にして、初の場外弾に満面の笑みだ。 さらに驚く一発が飛び足した。続く2回だ。ジョンソンにもホームランが飛び出した。7試合ぶり、5月7発目の11号は、逆風ノープロブレムのパワーアーチだった。「いい感じでミート出来たけど、風が強い逆風だったんで入るか心配だったよ」。 試合後、野村監督は「風の明暗やな」と満面の笑顔。初回前田の右翼大飛球は逆風に戻され、金本の一撃も戻された。11安打10点と大味なゲームに、序盤の2発はかすんだが、風を味方にした和田と風を敵にしても動じないジョンソンの対照的な一発だった。 “追い風打法”この日は左へ
B砲シブい適時打ジョンソンが豪快な一発なら、僚友ブロワーズは渋いタイムリーだ。3回、新庄タイムリー&盗塁の直後、引っかけ気味ながらも、三遊間へ。これで新庄が4点目のホームを踏んだ。「これから、まだまだ調子を上げていくさ」。連日の猛打の阪神にあって、少々存在感薄いブロワーズが、首位獲りへ力強かった。 福原“貫録”3人斬り苦しい台所事情が続く投手陣の中でもはや抑えの切り札的存在となった福原が8回1イニングに登板。3人でピシャリと切り取って広島打線に反撃をあきらめさせた。ハラハラさせたこの日の試合の中でもっとも安定した力を発揮した福原。「みんな頑張ったし、勝ててよかったですよ」と笑顔だった。 初登板山岡、1回02年目の山岡が今季初登板し、1イニングを無失点に抑えた。10―2と大量リードの9回に登板し、遊撃・今岡の一塁悪送球で緒方を一塁に出したが、野村、前田を抑えてゲームセット。前日18日に中ノ瀬と代わって1軍昇格したばかりの右腕は「久しぶりに緊張感のある中で投げることができました」と今季の初登板を振り返っていた。 (21勝15敗) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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