第35戦(5月18日)

Home
戦跡目次
spacer
阪神情報
spacer

猛虎、嵐の5連打逆転!

ノムさんピ〜ス「1.5差」

 イエ〜イ! 1・5差やで。野村監督が、虎党に勝利のピースサインだ。嵐が吹き荒れた米子市民球場で「神風に向かって打て!」とライト狙いを大号令。打つワ、打つワ…。5回矢野&藪の連続三塁打に、坪井がトドメの場外弾。嵐に乗った5点攻撃で、20勝に到達。ついに首位中日に1・5差。21日からの巨人戦(甲子園)で首位獲りの夢がふくらんだ。

5月18日・米子
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
広 島
【勝】藪【敗】山内
【本】野村2号(ソロ=藪)坪井2号(2ラン=山内)


過去10年で最速20勝到達

image

 ピース! スタンドに向かって、思わずVサインを突き出した。愉快、痛快、してやったり。野村監督の会心の「V宣言」だ。強い雨風に乗った虎ナインの打球が、グングン右中間へ伸びた。広島外野陣をあざわらうかのように、何度も何度もその頭上を越えて行った。4回、四球をはさんで5連打。怒とうの集中打で一挙5点。試合を決めたのは、自然を最大限利用した頭脳的な打撃だった。

 「嵐の中の猛攻や。風とともに5得点や。右へ右へ打て、風を利用しろと言ったんだ。神風が吹いてるんだから、それに乗せない手はないでしょ。(広島)野村の1発を見りゃ、そう思うやろ」。

 野村監督の笑いが止まらない。米子地方は降り続く雨に加え、歩くのさえ難しい瞬間最大15・1メートルの強風が吹き荒れていた。鳥取県全域に強風注意報が発令されたほどの雨風が、左翼から右翼方向に吹きつけていた。初回、広島野村が右中間へ叩き込んだ当たりは、通常なら右飛。野村監督はその瞬間「右狙い」を徹底させていたのだった。

image

 笛吹けば、躍るのが、今年の虎だ。同点の4回、先頭ジョンソンがまずは右前打。オーバーランでアウトになったが、今岡も右前打で続いた。そして迎えた1死一、二塁。矢野が注文通りに右翼方向へ飛球を上げ、右中間を真っ二つに破った。「こんな天候なんで、もちろん、センターから右を心がけてましたよ」。

 決勝の2点三塁打を打った矢野に、続く投手の藪までが、右へならえ! 右中間突破の連続三塁打をかっ飛ばした。めったに剛打を見せない坪井までが、トドメの一撃をライトスタンド場外へ飛ばした。「犠牲フライにはなると思ったけど。それにしてもよく飛んでくれました。風ですよ、風に乗ってくれました」。特大2号ソロに、坪井もびっくりした。鮮やかに華やかに、嵐の5点猛爆を締めた。

スタメン
阪 神広 島
坪 井緒 方
和 田野 村
新 庄前 田
ブロワーズ江 藤
ジョンソン金 本
今 岡町 田
桧 山瀬 戸
矢 野東 出
 藪 山 内

 虎打線が放ったヒットは12本。9回新庄の三塁内野安打以外は、すべてセンターから右方向への打球だった。『神風に向かって打て!』。野村監督の大号令に、選手は確実にこたえた。

 天の恵みを最大限に利用して、ついに首位中日に1・5差。貯金5が92年以来なら、20勝到達は、ここ10年で最速。日本一に輝いた85年より、たった1試合遅いだけだ。セ界の頂上もはっきり見えた。

 球場を出た野村監督が、思わず階段でつまずいた。「うちは、まだまだ上を向いて歩ける状態じゃありません。先発スタッフの頭数もそろえなイカンし…」。バスに乗り込む前、選手の荷物にまたけつまずいた。それでも、気分はピース。眼鏡の奥で、野村監督の目が笑っていた。

<写真上=嵐のビッグイニングだ! 4回、同点から矢野の三塁打で追加点となる桧山(左)が瀬戸と激突、3点目をゲット 写真下=野村監督はベンチ前でナインとハイタッチ>


85年より、1試合遅いだけ

 <データセンター> ▼セ・リーグで中日に続いて、阪神が35試合にして今季20勝に到達した。35試合での20勝到達は、2位になった92年の36試合より1試合早いペースで、過去10年では最速の到達となった。

 過去10年の20勝到達は、

 年    試合    勝 負
 90年  44試合目  20―24
 91年  66試合目  20―46
 92年  36試合目  20―16
 93年  39試合目  20―19
 94年  43試合目  20―23
 95年  48試合目  20―28
 96年  56試合目  20―36
 97年  43試合目  20―23
 98年  46試合目  20―26
 99年  35試合目  20―15

 となっている。ちなみに優勝した85年(昭60)の20勝到達は、今季より1試合早い34試合目(20勝13敗1分け)だった。ペースとしては、その85年以来のハイペースだ。


BJ助っ人もいい仕事

2試合連続2人そろってヒット

 助っ人軍団が復調軌道に入ってきた。ブロワーズ、ジョンソンの2人が2試合連続でともに安打を放って勝利に貢献した。派手な逆転勝ちの中で主役にはならなかったものの野村阪神頼りのBJ砲が渋く、輝きを放った。

 まず仕事をしたのは悩める主砲ブロワーズだ。1点を追う3回の攻撃は2死一、二塁のチャンス。ここで山内の投げた初球、外角スライダーをたたき、右中間フェンス直撃の適時二塁打とした。一塁走者の和田は三塁を欲張り憤死したが貴重な同点打となった。

 「あんな天候だったから1回でも早く追いつき追い越したかったよ。うまくミートできたね。これからドンドン調子を上げていくよ」。ブロワーズは明るい表情でそうウインクした。

 お次はジョンソンだ。4回の先頭打者として打席に入るとこれも初球を打って右翼線に飛ばした。二塁を欲張ってアウトになったが積極性が伝染して嵐の5得点のキッカケとなった。

 「きょうは藪も頑張っていたしね。リラックスして打席に入れたのがいい結果が出た原因じゃないかな」と笑顔を浮かべた。5回にも登板したばかりの左腕・菊地原から中前打で出塁。矢野の適時打で貴重な追加点のホームを踏んだ。さらに四球で出た7回には2死一、三塁の一走という条件もあったが来日初盗塁。9回にもダメ押し犠飛を放つ活躍ぶりだった。

 野村監督は「両外国人? う〜ん…。まあ、まだまだやけどな」と合格点を出すには至らなかったが双方とも上向き。貯金増加計画に欠かせない2人だけに、このまま上昇ムードに乗れればいよいよ頼もしい。


藪、5月負けなし!3連勝

完投で4勝目…チームに信頼感

 エースだ、薮だ。5月は負けなし3連勝や。先発薮恵壹投手(30)が、広島に5安打1失点の完投で今季4勝目をマークした。5回にはタイムリー三塁打もかっ飛ばす大活躍。今季は開幕から3連敗でスタートした薮だった。でも、5月は負けなし。「薮が投げれば勝てる」という信頼感が生まれた。

image

 エースとして、負けるわけにはいかん―。4回裏のマウンドに向かいながら、薮はスコアボードを確認した。6―1。味方が逆転してくれた5点のリードに、奮起しないわけがない。薮のピッチングが、この回から見違えるように安定した。

 「悪いときは上体だけで投げる。きょうも最初はそうだった。でも、本来のピッチングに戻ったね」。野村監督も4回以降は、ベンチにドッカと座ったまま。6回以降をノーヒットに封じ、完投で4勝目を挙げた薮とガッチリ握手した。

 「前半は、どうなるか分からなかった。でも、結果的には、野村さんに早めに打たれたのもよかったかもしれない」。初回、野村に先制のソロを浴びた。左から右への強風に乗せられたものだった。だが、この一発を教訓に、いつも以上にていねいに低めに集めた。4回以降は、まともな当たりを右方向へ飛ばされることもなく、強風のハンデも跳ね返した。

 打っても、4回、4点目をたたき出す中堅越え三塁打。3回には四球を選び、同点のホームを踏んだ。疲れによる投球への影響など考えず、ダイヤモンドを走り回った。

 「今年のキャンプはよかった。こんなに思いどおりに過ごせたのは、新人の時以来じゃないかな」。開幕から、打線の援護に恵まれず、3連敗したが、自信が揺らぐことはなかった。心身ともに充実していた。自主トレ期間に特別なトレーニングをしたわけじゃない。例年通り、大好きなゴルフに興じた。「でも、常に野球のことが頭から離れなかったんだ」。野村監督が就任したのを機に、30歳を迎えた薮は、さらなる脱皮に成功した。

 試合の中盤でキレる悪いクセは、今年はほとんどない。この日もきっちり最後まで投げぬいた。これで4勝中、3回が完投。変身した薮の姿を物語る。

 「星勘定はしないよ」。4勝3敗と勝ち越したことにも、無頓着を貫いた。すべてはチームの勝利優先。「1・5差? 100試合残ってますから。もっともっと勝っていきます」。念願の美酒を味わうまで、フォア・ザ・チームに徹する。

<写真=エース薮が投打に活躍! 4回、自ら右中間越えの長打で三塁へ向かう>


新庄3割9厘に上昇

 新庄が2安打で、打率を3割ジャストから今季最高の3割9厘に上げた。ビッグイニングとなった4回に中前打を放ち、9回の左前打はとどめの9点目につながった。4月18日のヤクルト戦(福岡ドーム)での3割8厘が今季の最高打率だったが、それを抜いた上に、強風に影響されない安定した守備を披露。それでも試合後は「きょう(のヒーロー)は薮さんでしょう」と完投のエースを持ち上げた。

高波左打席で間一髪

 開幕直前からスイッチ打者に転向した高波が初めて、左打席に立った。9回2死一、二塁で右の玉木重に対し、左打席へ。結果は遊ゴロに終わったが、左打席スタートで高波の俊足なら一塁は間一髪という打球だった。「監督から、やれるなら(左で)行けと言われて左打席に立ちました。1球目のストライクで、(右打席との)ゾーンの違いを感じた」と振り返った。

(20勝15敗)


前の試合へ戻る次の試合へ進む

Home