第28戦(5月8日)

Home
戦跡目次
spacer
阪神情報
spacer

image

<写真=乱打戦を辛くも制し、大喜びのファン>

八木が大乱戦に決着アーチ

9回12―12からひと振り

 「ヨッシャー」。「オオ、いい感じ」。「もう、もらった」。「何点取るやろか」。「オイオイ、川尻しっかりせいよ」。「えっ、また横浜にホームラン」。「ほんまかいな同点やで」。「負けるんちゃうか」。なんて、ファンには喜怒哀楽の激しいスーパー乱打戦に、八木が9回、代打アーチで決着をつけた。最後は「神様、復活やで」。今季最多安打20本、最多得点14点。でも、こんな疲れるゲームはほどほどにしてね。

 8日・横浜
安 打 20
阪 神 14
1 2 3 4 5 6 7 8 9
横 浜
12
安 打 11
【投】川尻、伊藤、遠山、福原
   野村、小桧山、矢野、阿波野
【勝】福原【S】リベラ【敗】阿波野

【本】ジョンソン(9号3ラン=1回野村)、八木(1号ソロ=9回阿波野)
   ローズ(10号2ラン=3回川尻)、ローズ(11号2ラン=6回川尻)、
   佐伯(2号2ラン=6回川尻)、鈴木尚(6号2ラン=7回遠山)

今季最多の20安打14点

image

 横浜スタジアムが「復活祭」の壮大な舞台となった。両軍合わせて31安打が乱れ飛び、26得点が入る上へ下へのジェットコースター・ゲーム。そんな大乱戦に決着をつけたのは昨年、「代打の神様」の異名を取ったベテラン八木だった。9回に飛び出た決勝1号ソロ。今季すべて代打の16打席目にして神様がよみがえった。

 一時は7点差をつけたにも関わらず、8回裏、まさかの同点にされた。歌い踊る右翼スタンドと対照的に負けたかのように静まり返る三塁側ベンチ。そこから神様は白木のバットを手にして打席に向かった。この回から登場した阿波野をにらむ。そしてカウント1―1からの3球目、128キロの高目シュートをとらえた。打球は黄色に埋まった左翼席中段に飛び込む。この時点で今季最多安打を更新するチーム19本目の安打。それがとてつもなく大きな1発となった。

 「同点で最初の打者やったし四球でもいいからとにかく塁に出ようと思ってた。ベンチは確かにいやなムードやったね。ここのところ仕事場を与えてもらっても結果が出なくてモヤモヤしてたしね。久しぶりに仕事らしい仕事ができたね」。自身8本目となる代打本塁打をたたき込んだ八木は微笑んだ。

スタメン
阪 神横 浜
坪 井石井琢
和 田井 上
桧 山鈴木尚
ブロワーズローズ
ジョンソン駒 田
新 庄佐 伯
今 岡ポ ゾ
定 詰谷 繁
川 尻野 村

 ちょうど1カ月前となる4月8日の広島戦(広島)。メモリアルとなる自身1000試合出場を今季初安打で飾った。だが敗戦もあって注目を浴びることはなかった。その時点で2打数1安打5割の成績。そのことを話題にすると八木は「去年は5月になっても5割打ってたんですよ」とつぶやいた。その通り昨年の同じ5月8日時点で14打数7安打5割で「神様」の呼び名を得ていた。1カ月後の6月8日に34歳になるベテラン。12年前のプロ入り初安打が巨人江川からの代打本塁打だった男には仕事師のプライドがあった。

 それにしても阪神打線はよく打った。4回まで毎回得点で終わってみれば今季最多20安打の同最多14得点。前日は16点も取られ、完敗した翌日の打ちっぷり。やらっれ放しではない新生阪神を印象づける暴れ方だ。それだけに負けていれば単なる1敗では済まされなかった。

 野村監督も「八木が殊勲やったな。結果が出てなかったし、これでスッキリしたやろ」とこればかりは素直にほめた。両軍ノーガードの乱打戦を神様の復活弾で締め、再び貯金「2」が点灯。これで貯金をもったまま甲子園に戻れることが確定した。

<写真=引き揚げるバスの中で野村監督は八木と握手をかわした>

J砲が先制9号!!

驚異的ペース5月6戦5発

 主役の座は八木に譲ったが、貢献度ではジョンソンがNO・1だった。1回2死一、三塁に先制3ラン。乱打戦の幕開けは、今最も乗っている男のバットから放たれた。

 「昨日(7日)は全く打撃の内容が良くなかったので、きょうは1打席目から気合を入れていたんだ。うまく振りぬくことが出来たよ」。

 横浜野村からセンター左へ特大の9号だった。左腕から放ったのも来日初なら、左中間方向へのアーチも初。5月に入って6試合目で5発の驚異的量産で、猛虎打線に火を付けた。さらに4回にはチャンスを広げる右前打。7回にも貴重な適時打で3安打猛打ショーだ。打率も急上昇して、3割2分2厘。紛れもなく虎打線の中心的存在だ。

 「勝てて良かったよ。配球も少しずつわかってきたからね。ホームランキング? ローズや高橋の方が上だろ」。キング争いも意識する余裕が出てきたJ砲が、ますます頼もしく思えてきた。

新庄が3安打3打点

今季初、坪井とアベック猛打賞

 今季最多20安打の猛爆を演出したのは、新庄&坪井のバットだった。新庄3度目、坪井4度目のアベック猛打賞は今季初。前夜(7日)揃って無安打の2人が、意地で奏でたヒットパレードが、猛虎打線を勢いづけた。

 「お客さんにはすごく楽しい試合だったでしょうね。でもボクのはマグレ、マグレですよ」。盛り上げ役新庄は、会心の笑顔で試合を振り返った。6番に昇格した初回第1打席で、いきなり右中間二塁打。続く2回にも2死満塁から中前2点タイムリーを放ち、4回の中前打で計3打点。野村監督の期待にこたえる暴れっぷりで“脱8番”を強烈にアピールした。

 「ケガの光明ですよ」と新庄は苦笑いする。ここ数日は特に、古傷の左ヒザに力を入れると、激痛が走る。「でもかばう分、逆に後ろ足に体重を残そうとして、いい形になってるみたいですね」。これまで課題だった前へ突っ込むクセは、何と激痛が解消。「今は理想のフォームで試合に臨めている」と柏原打撃コーチも感心するほどだ。

 華ある新庄のヒットに対し、玄人好みの巧打を連発したのが坪井だ。PLの先輩野村に対し、初回の一塁内野安打を口火に、2回三塁前、4回投前とはかったような内野安打3本の猛打賞。8回は中前へ弾き返して4安打爆発だ。「きょうはボクはいいでしょう」と照れたが四球も選び、6打席中5度出塁の3得点。核弾頭としては、満点の働きぶりだった。

 新庄&坪井で打ちも打ったり7安打。さあ、9日もこの勢いで…。3年ぶり貯金3へ、ニューコンビに期待大だ。

デーゲームは平均7・1点

 <データセンター> ▼阪神が1997年(平9)8月2日の巨人戦以来となる20安打の猛攻。これで今季の阪神はデーゲームの成績が●〇〇〇●〇〇の5勝2敗。デーゲームでは坪井が打率4割1分2厘、ジョンソンが4割2分3厘で13打点を記録するなど、チーム打率が3割3分9厘。ナイターの平均得点は3・6点の阪神だが、デーゲームでは平均7・1得点を挙げる「猛虎打線」となっている。▼阪神が14点をあげ、前日7日の16失点の借りを返した。2ケタ失点した次の試合に阪神が2ケタ得点で返したのは、1997年(平9)8月10日の広島戦(広島)で5―10で敗れ、同12日のヤクルト戦(神宮)に11―4で勝って以来。阪神と対戦相手が2ケタ得点を応酬したのは、97年6月22日の巨人戦(東京D)以来。10―13で敗れた。


ノムさん「最高に気分悪い」

勝つには勝ったが怒り心頭

 ノムさんは怒った。前日(7日)16失点のゲームには「何も残らんわ」と笑った野村監督が、14点取って勝ったゲームに「最高に気分の悪いゲーム」とした。それも当然、序盤大量リードしながら、投手陣がふがいなく、ついには8回同点。八木の代打アーチで勝ったからいいものを…。貯金「2」にも、素直に喜べないノムさんでした。

ピッチャーお粗末すぎる

 とても勝利の余韻に浸れる気分ではなかった。試合後の野村監督の眉間には、3本のシワができていた。「いろんな野球があるわな」。まず、そう吐き捨てた。「最高に気分の悪い試合です」。情けなさを通り越して、頭の中は怒りで充満していた。

 ジョンソンの3ランで先制し、序盤で7点差を付ける楽勝の展開。左ウチワでベンチに座っていればよかったはずが、最後はアップアップの継投だ。それでも追いつかれ、一時は最悪の事態も覚悟した。最後は八木のひと振りで救われたが、これ以上ぶざまな勝ち方はない。「ピッチャーは一生懸命やってるんだろうが、ちょっとお粗末すぎる。フォアボールはいくつや。7つ(死球を含む)か。向こう(横浜)も同じやろうけどな。権藤と同じ気分や。しかしオレは16点差を追いつけなかったけどな」。照れ隠しに皮肉るしかなかった。

 嫌な予感は、試合前から感じていた。負けた翌日は、必ずホテルから球場への道順を変更する。この日も、前日(7日)の大敗の悪夢を振り払うためにバスの行き道を変えた。しかし事故渋滞に巻き込まれ、予定より50分も到着が遅れるハプニング。やきもきしながらの、球場入りだったのだ。

 「見ている方は面白いかもしれんが、やってる方はたまらんワ。負けていたら笑われるところやったな」

 とはいえ、勝つと負けるとでは天国と地獄。1カ月に2度も8点差をひっくり返された巨人とは違い、追いつかれ、もう一度引き離した。この粘り勝ちは、明日につながる。怒りながらも、最後にフーッとため息をついた野村監督の表情が、印象的だった。

2日で28失点…あぁ総崩れリレー

 これで敗れていれば、怒りのメガホンが投げつけられたに違いない。川尻、伊藤、遠山、福原…。繰り出される投手陣が、次々とマシンガン打線に打ちのめされるリレーは、“勝利の方程式”どころではなかった。

 ◆川尻、勝利にホッ(5回0/3を8失点)大量リードを奪ったにもかかわらず、ローズ2発、佐伯に1発と追い上げを食らった。「スイスイといきたかった? オレもそう思ってたんだけどね。チームが勝ってよかったよ」。ふがいない投球に、苦笑い。

 ◆伊藤、ヒヤヒヤのつなぎ役 6回途中、川尻降板の後を受けたサブマリンだが、いきなりポゾに右前打。犠打で2死二塁で、不安を残すバトンになった。

 ◆遠山、痛っ(4点リードも、左の鈴木尚に2点差に追い上げられる右越え本塁打)「今日は野手様、様です」。好調の左腕も、大事な場面に打たれては、ため息をつくしかなかった。

 ◆福原、たなぼたプロ3勝目(2回2失点) 8回2死満塁で、鈴木尚に中前打で、ついに同点。八木の一発で勝ち越したが「四球が反省点です」と、3勝目にも素直に喜んではいられない。

 勝つには、勝った。しかし、先発、中継ぎが崩れて、ちょっぴりホロ苦の白星だった。


リベラ4Sでガッツポーズ

 乱戦の最後はリベラが締め、4セーブ目を挙げた。最後の打者谷繁を見逃し3球三振に切ると、思わずガッツポーズ。「あれは本当にうれしかったんだ。最初はリズムがつかめなかったけど、放っていくうちにリズムがつかめたよ」。先頭の駒田を四球で歩かせ、チョッピリ冷や冷やさせたが、後続は3人斬り。4時間9分の死闘を制したウイニングボールをスタンドへ投げ込み、心底勝利に酔っていた。

初スタメン定詰「反省」

 矢野に代わり、28試合目にして初のスタメンマスクをかぶった定詰は、試合後も反省しきりだった。「ローズには3つとも配球を間違ったし(マスクをかぶっている間)10点も取られて…」と、先発川尻をリードできず渋い顔。打つ方では今季4回に初安打初打点となる中前ポテンヒットを放つなど2安打したが「それどころじゃないですよ…」。矢野との途中交代に表情はさえなかった。

今岡あかん6―0

 打線爆発の中、3試合ぶりにスタメン出場した今岡だが6打数無安打に終わった。野手としては1人だけヒットのない結果に今岡は「ひど過ぎますね」とガックリ。スタメンから外れている原因になっている打撃不振に、柏原打撃コーチも「今岡がなあ…」と心配そうに話した。それでもチームの勝利に今岡はとにあえず勝ててよかったです」とか細い声で話していた。

(15勝13敗)


前の試合へ戻る次の試合へ進む

Home