第26戦(5月5日)

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バース超えた!J砲G戦4連発

3連勝貯金2でG4タテ

 神様バースも超えた。マーク・ジョンソン内野手(31)が6回、ライトスタンドに決勝8号を突き刺した。あのバースにもできなかった巨人戦の4試合連発。ゴールデンウイークの最後にG4タテ、今季初の貯金2、そして野村監督の笑顔…。虎ファンには、しびれるプレゼントだった。

5月5日・甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
巨 人
阪 神
【勝】藪【S】リベラ【敗】入来祐
【本】新庄3号(2ラン=入来祐)
   ジョンソン8号(ソロ=入来祐)


前打席の死球で燃えた…バットでお返し

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 こっちへ打て! 右翼席の虎党がメガホンを振っている。「しもた…」。ベンチで作戦ミスを悔やむ野村監督も、淡い期待で打席を見つめる。その瞬間だ。ピンポン玉のように弾いたジョンソンの打球が、ライトスタンドへ一直線に吸い込まれた。

 ライバル巨人を粉砕する弾道に黄色いメガホンは乱打され、スタンドは総立ちの拍手でジョンソンのベース一周を包み込んだ。ジョンソンが決めた。4試合連続、決勝の8号ソロが、チーム4連勝、そして2年ぶりの貯金2を運んだ。

 「ハッピー! ハッピー! 感触は最高だったんで、打った瞬間入ると思ったよ。ジャイアンツに最高の形で連勝出来て、自分にとってもチームにとってもいい勝ちだ。4連発? オウ! 正直自分でも驚いてるよ」。

 2試合連続で上った甲子園のお立ち台。足元から上ってくる振動で、ファンの喜びが伝わる。興奮を隠せないJ砲は、一気にまくし立てた。同点で迎えた6回2死。入来祐の内角直球を捕らえた驚弾は、98年にレッズ傘下のマイナー時代に、自己最高の5試合連発を放って以来の4連続弾だった。

 4回の打席で、入来祐から死球を受けた。両目を見開き1、2歩歩きだした。両軍ベンチが飛び出すエキサイトシーン。「一瞬、カッとしたけど落ちつこうと思った。あれで余計に向かっていったよ」。鉄拳ではなく、次の打席でバットでお返しした。

スタメン
阪 神巨 人
坪 井後 藤
和 田清 水
佐々木松 井
ブロワーズ高 橋
ジョンソン清 原
矢 野元 木
星 野二 岡
新 庄杉 山
 藪 入来祐

 試合前、野村監督は秘話を明かしていた。「ジョンソンを2軍に落として、他の球団で余ってる外国人を取れんかって相談したこともあったんや」。衝撃の告白は、ブロワーズが義母の危とくで帰国し、残されたJ砲が大スランプに陥っていた4月中旬のことだ。だが編成から“待った”がかかった。「ジョンソンは2軍に落とせない契約になっていますので…」。結局その一言で思いとどまったノムさんだが、1度は“戦力外”のラク印を押した事実に変わりはなかった。

 それがどうだ。野村監督直々に「グリップ余せ」「手首を立てろ」とアドバイスすれば、ジョンソンはこれを忠実に守り続けた。1度復調のきっかけをつかむと、急上昇。打率3割超のハイアベレージを残すまでになった。

 ホームランを打った試合は7勝1敗。新庄とアベック弾は3連勝。ジョンソン神話。もちろん、野村監督にとっても、最強の助っ人。「えーホームランやったで」。それ以上言葉が出てこないほど興奮した。

 ダブるのはやはり、あのバースの姿。だがJ砲は言った。「彼のことはよく知ってるよ。でもボクはランディにはなれない。自分は自分。ジョンソンなんだ」。頼もしい。そしてたくましい。背番号42の大きな背中に、新ジョンソン伝説が見えた。

<写真=“J砲4連発でG粉砕”6回、ジョンソンは4試合連続、G戦4連発の決勝アーチを掛け、前打席の死球も倍返し。投手・入来弟>


坪井、3安打も無表情

 初回にいきなり右前打を飛ばした坪井は3、5回にも中前打を放って計3安打の固め打ち。この坪井、4月30日の広島戦の5回に安打を記録してから、実に17打席ヒットがなかった。巨人戦でスランプ脱出といったところだが、本人はいたって無表情。「17打席? その間に3つ四球を選んでいるじゃないですか。四球もヒットみたいなもの」と、アイソなしのコメントだった。

抜テキ星野3安打

 「自信を失っている」(野村監督)今岡に代わって7番ショートで先発出場した星野が3安打2得点の大活躍。「スタメンを聞いたのは試合直前。ショートなので、とにかく守りをキッチリとしたかった」。4月17日のヤクルト戦以来久々の大役だったが、無欲だった打撃の方で勝利の貢献。「子供の日だったので、いい贈り物になりました」と笑顔を浮かべた。

高波“さすが”の二盗

 高波が華麗な盗塁を見せた。8回、槙原から中前打で出塁した佐々木の代走で出場すると、軽々と二盗を決めた。どこまでも見せ場の続く阪神の攻撃にスタンドも大喜び。野村監督も「高波は我がチームのスペシャリストやからな。いいスタートを切ったよ。あれで点が入れば絵に描いたぼた餅だったけどな」と満面の笑みを浮かべていた。

和田“記録的”3併殺

 和田がプロ野球タイ記録となる1試合3併殺打を記録してしまった。初回、3回、5回と猛打賞の坪井を一塁に置いた場面で投ゴロ、二ゴロ、遊ゴロと、絵に描いたような凡打のオンパレード。渋い打撃が売りのベテランが試合後は「勝ってよかった。これまで1試合2併殺も記憶にないのに…」と、ぼやくことしきりだった。


新庄、先制の弾丸2ラン

恋人志保さんに“捧げる”

 新庄が豪快に3号2ランで先制した。5月5日こどもの日。一番大切にする野球少年に夢を与える一発に新庄も大満足。スタンドで観戦した恋人の大河内志保さん(27)も、思わずカッコいい! と大喜び。長嶋巨人を打ち砕く、恐怖の8番打者。決める時は、ビシッと決める。

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 愛する恋人のため、そして全国のチビっ子ファンのために! 新庄の思いが打球に乗り移る。弾丸ライナーは左翼スタンド最前列へ。新庄の3号2ランが対巨人4タテの幕開けだった。

 「こんなこともありますよ」。とびきりの新庄スマイルが弾けた。0―0の3回無死一塁。入来祐の外角高めスライダーを引っ張った。不振のときなら、ラインドライブで失速するような低い弾道。だが、絶好調の今は違う。そのまま左翼席最前列へ飛び込む。初球はバントの構えで揺さぶったが、結局は進塁打もへったくれもない。ホームランを打てば、だれも文句はない。先制2ランで、チームに勢いを呼び込んだ。

 恋人に捧げる一発でもあった。長年交際している元タレント大河内志保さんを、今季初めてスタンドに招待。ゴールデンウイーク中も連戦で、デートもままならなかったが、この会心の本塁打で、熱い愛情を伝えた。さらに、大河内さんと並んで観戦した伯父の竹中萬治郎夫妻の結婚記念日。「ホームランが打ててよかった」。「大阪の両親」と慕う夫妻への最高のプレゼントにもなった。

 「こどもの日」の一発というのも格別だ。今年1月、同名という縁で、岡山県新庄村を訪問。小学生から、スイングの指導を頼まれた。試しにバットを持たせると、満足に振れない。だが、新庄はイヤな顔一つしなかった。「そうか、村には野球チームがないのか。まず野球をやってみてよ。好きでやってれば、絶対うまくなるから」。親切にアドバイスを送る新庄の目は、思いやりにあふれていた。

 「子供がボクの背中を見て、野球をやりたいと思ってくれたら」。日ごろからこんな抱負を語る新庄が、「こどもの日」のホームランで、野球少年を魅了した。

 わずか6本に終わった昨年の3号は7月25日、チーム77試合目。今年は26試合目で、昨年より3倍早いペース。「マグレ、マグレ」。この言葉とは裏腹に、新庄のアーチ量産態勢はホンモノだ。

<写真=3回、志保さんの見守る中、豪快な3号2ランを放った新庄>


藪、清原刺し

死球…痛快“ケン制”

 藪がラッキーというか冷や冷やのプロ通算50勝だ。開幕戦の借りは返す。気合で投げた巨人戦。2点リードの4回表、1死一、二塁から因縁の清原に死球をぶつけてしまった。帽子をとってあやまって、得意のけん制スペシャルプレーで清原を刺した。

 次打者の元木のとき、一塁へ絶妙のけん制球を投げた。「(一塁の)ジョンソンと目が合ったから。(清原も)下を向いてたし」。スルスルと一塁に入ったジョンソンと息を合わせて、してやったりだ。

 ところが、あとは思惑違いの連続だった。直後に元木に2点適時打を打たれ同点に。それでも5回裏、1死三塁のチャンスで打席に立った藪は詰まりながら右前に勝ち越し適時打を放った。しかしこれが「ケガの功名」だった。

 実はカウント1―0となってベンチからのサインは「スクイズ」。藪は見落としていた。本塁に突っ込む三塁走者の星野にかまわずフルスイングした結果だった。「あの場面? どうですかねえ」ととぼけた藪だが、監督が「あれはスクイズの見落としや」とバラしてしまった。

 失敗は重なる。ダメ押し点が欲しい7回、無死一、二塁で、再び藪に打席が巡ってきた。当然、バント。野村監督は藪の耳元でささやき作戦だ。

 「遊撃は(バントシフトで三塁カバーに入ろうとして)チョロチョロするけどな」。藪は「状況次第ではヒッティングも…」と受け取り、バスターを敢行して空振り。結局、バント失敗で三振してしまった。

 試合後の会見を終えた野村監督は、わざわざ広報を通じて「不適切な指示が苦戦を招いた」と反省するほどだった。藪は「制球が悪かった。調整を考えます」と反省しきり。それでも白星。これも勢い。指揮官とエースが猛反省しながらも、勝ってしまった。

遠山、最高リリーフG分断

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 数字には出ないが、貢献度はトップ級だ。藪をリリーフした遠山(写真)が、巨人打線の流れを完全に断ち切った。

 阪神出戻り2年目にして初のお立ち台に「最高ですよ」といって照れ笑いを浮かべた。1点差の8回1死一塁。ズラリと居並ぶ巨人の強力左打線。“必殺仕事人”の本領発揮だった。「(同じ左で抹消中の)弓長が戻ってくるまで踏ん張らないといけないから。左をきっちり抑えるのが、僕の仕事ですから」。清水をシュートで、これ以上ない投ゴロ併殺。続く9回も松井、高橋を凡退させて、最後のマウンドをリベラに譲った。

 投手から打者転向、ロッテで戦力外通告、入団テストでの古巣出戻り…。波乱万丈の野球人生も「悔やむのではなく、いい方に考えたい」と遠山。「殊勲甲や」と野村監督も絶賛した働き。まさに苦労がユニホームにしみついた男にふさわしい価値のある大仕事だった。

3番佐々木1安打

 1軍復帰即スタメン3番に起用された佐々木が、1カ月ぶりの安打でG倒に花を添えた。8回守護神槙原の直球を捕らえ、鮮やかな中前打。2軍戦では7打数連続安打の勢いそのままに、絶好調を印象づけた。「でも1本だけじゃあねえ…」。本人は前の3打席でヒットがなかった(うち1つは四球)ことが不満のようだが、チームにとっては朗報。外野手争いも、これまで以上に過熱しそうだ。

リベラ、2球で3S

 9回2死から登板したリベラがピシャリ後続を断ち、3セーブ目を挙げた。直球勝負で石井を中飛。「あと1人」からの登板は来日初めてだったが、わずか2球で、虎の4連勝を締めくくった。「大歓声? 聞こえてないよ。集中してるからネ」。守護神はオトボケだが、顔はスマイルスマイル。こちらも日を追うにつれ、エンジンをフル回転させて来た。

 〈神―巨〉阪神は追いつかれた直後の6回、ジョンソンが4試合連続の8号ソロを放ち勝ち越した。阪神はこの1点を薮から遠山、リベラとつないで守り切り、3連勝で貯金を今季初の2とした。薮は2勝目で、リベラが3セーブ目。このカードの連勝を4に伸ばした。巨人は2年ぶりの6連敗を喫し、借金は今季最大の4となった。

(14勝12敗)


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