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新庄、同点&V打…2位5割逆襲呼ぶ好走も
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右手のこぶしをライトスタンドに突き出した。9回の守備につく新庄が、大コールを送るファンに向かって、高らかなガッツポーズ。「あんなことをやったのは、初めてですね」。ふつうは帽子を取って応じる儀式だが、絵になるポーズでカッコよくキメた。嘲笑と非難、傷つけられたプライド。苦しみ抜いた新庄が、スランプ脱出を満天下に示した。 同点の8回1死満塁。ネクストバッターズサークルで、投球練習を見る新庄に、師匠の柏原打撃コーチは2度も耳打ちした。「何も考えずに振れって言われて、楽になりました」。自分らしい奔放(ほんぽう)なスイングをイメージできた。打席では、バットを天に突き上げ、大きく伸び上がって、そして集中力を高めた。そして紀藤の2球目を捕らえた。高めの直球をジャストミート。打球はショーシオーバー。3本目の安打は、チームを勝率5割に戻す会心の決勝打だった。
しかも、この1本だけではない。5回、24日のヤクルト戦以来14打席ぶりの安打を放つと、左翼手金本のカットへの送球がそれたのを見逃さず、二塁を奪う好走塁。1死後、坪井の安打で本塁を踏み、追い上げムードを築き上げた。2点差の6回2死満塁には、中前への同点2点打。3本の安打すべてが、点にからむ。3点のビハインドをひっくり返したのは今季初。この大逆転劇の主役を最初から最後まで務めあげた。 「早めに来て、バットを振って…」。試合後は思わずしんみりとした口調になった。この日、遠征先の名古屋から戻ると、甲子園の室内練習場に直行した。自主的な特打。これだけでも、新庄には珍しいことだった。しかも、延々1時間20分も打ち続けた。遠征中の28、29日は若手主体の早出特打に参加。これほどひたむきに打ち込む姿は、近年の新庄には見られなかったことだ。 「アイツは練習嫌いじゃないよ。他人より練習したから、1軍でレギュラーを獲ったんだ」。同期入団で親友の吉田浩は2軍時代の新庄を明かす。新庄にとって、忘れかけていた原点。スタメンからも外され、打順は8番に下げらる中で、練習ありきという初心に帰ったのだ。 「思い切り振り回す。いろんなことを考えずに打つ方が、ボクはタイミングが合う。これまでは、(フォームを)考えすぎてしまってた」 もう一つの『原点』は、今季初猛打賞を残したこの試合で思い出した。豪快なスイング。これが新庄の持ち味。頭の中を真っ白にした、天性の野生児に戻った新庄が、5月を貯金月間に導く。 <写真上=“打撃不振なんて言ったのは誰?”同点、決勝タイムリーを含む3安打3打点と2位浮上に大貢献の新庄は8回、大豊の右中間へのタイムリーで1塁から一気にホームインし、坪井(左)今岡(右)と大喜び、写真下=これぞ“上段の構え”剣士・新庄は満塁でコイをバサッと斬り捨てた> 大豊、連夜の「ひと振り」
大豊が、2夜連続で「ひと振り稼業」の集中力を見せけた。前日の中日戦で代打同点弾を放ったのに続き、この日も8回裏1死満塁の場面に代打で登場。広島6番手紀藤の2球目を強振し、右翼へ走者一掃の3点二塁打を放った。「俺はよくわからない」と残して報道陣の質問をかわしたが、軽い足取りが手応えを物語っていた。 これで代打成功率は9打数5安打で5割5分6厘。2本塁打7打点の大暴れだ。「昨年の4番」の意地だった。開幕こそ3番レフトでスタメン出場したが、その後2試合スタメン入りした以外は、代打要員。復調したジョンソンの影に隠れていた。1週間ぶりの安打が同点弾となった前日は「気持ち? 想像してくれ」と、話した。この日も思いは同じ。プライドを集中力に変え、ひと振りにかけた。「影の4番」が、頼もしい存在感を示している。 ノムさん「上出来」4月「11勝11敗」2位フィニッシュ派手な逆転勝ちにはしゃぐ選手とは対照的に、野村監督はあえて笑顔を封印した。求めるレベルが高いからこそ、勝利の余韻に浸ることはなかった。 「重いゲームやったな、前半は。最近は、よう勝てましたというのが多い。後半に流れがくるんや。微妙なゲーム展開だが、こっちへ流れてくる。そういう意味では新庄がよく打ってくれたな」 序盤は完全に広島ペースだった。先発の湯舟が大誤算。打線も佐々岡を打ちあぐんだ。しかし佐々岡がアクシデントで降板し、流れが変わった。中継ぎ陣が踏ん張り、勝負を決めたのは8番新庄の3本のヒット。そして代打大豊のダメ押し打。脇役陣の活躍はうれしいが、長いシーズンを思うからこそ笑えない。 「勝率とか、何位とか全く考えていない。チーム作りしか頭にない。しかしファンがいるし、勝たなアカン。そのへんがつらいな。ファンは裏切れないしな」 課題は山積。絶対的な強さはない。浮かれていては、たちまち足元をすくわれる。しかし7連敗から6連勝で盛り返し、4月は11勝11敗の2位でフィニッシュ。「上出来やな」。最後につぶやいた言葉こそ、野村監督の本音だったかもしれない。 福原、MAX146で2回ピシャリ必死継投!ルーキー部坂も1回2K逆転勝利のカギを握っていたのは、この男だった。ルーキー福原が、勝利の女神をたぐり寄せた。 「なんで、こんなに寒いんや。ブルペンは温かかったのに」。同点に追いついた直後の7回。リリーフカーに乗り込んだ瞬間は、肌寒さに震えた。が、どうだ。いざスタンドの熱気に触れると、たちまち熱い血が逆流。真っ向勝負の肝っ玉ストレートが、この夜もうなった。 前田を右飛に仕留めて迎えた江藤。広島出身の福原にとって、これまで球界を代表する地元の主砲は、雲のはるか上をいく存在だ。「意識はしてません。でも、あこがれの人ですから」。周囲からは、もう少しうまくフォークを使えたらなどと注文をつけられることがある。しかし、真っすぐ勝負こそ、若さのもつ特権。だからこそ、矢野のサインにも首を振らなかった。江藤に対して、もっとも得意とするストレートを投げ込んだ。自分の右足元を抜かれるような当たりは、センター前に転がる。これを次への課題として、後続はネジ伏せてみせた。 「球速は意識してませんよ。(リリーフも)短いイニングですから、思い切っていけます」 MAX146キロを計測して、堂々と2勝目をマーク。「新人王は?」と聞かれて、すぐさま「ないです」と言い返す。 湯舟の誤算に始まったゲームだが、野村継投が冴えた。葛西―弓長、そして福原と同じルーキー部坂も広島打線の追加点を許さなかった。そして、福原が味方打線の勢いを呼んだ。 リベラ3人斬り
セーブはつかない。が、リベラが9回3人斬りで仁王立ちだ。4月は登板8試合で、わずか1セーブにとどまっているが、記録以上の仕事はした。この日も野村を遊ゴロ、木村を三振、前田を左飛に仕留める完ぺきな内容。今季防御率0.00を維持した。「セーブがつかないのは、大豊がすごいの打っちゃったから。ひとこと言っておかないとね」と、軽いジョークで試合を振り返った。 <写真=9回はリベラ(中央)が締めて堂々の5割達成だ> 湯舟3回KO、2軍落ち4四球で自滅先発湯舟が、3回3失点で降板した。試合後のコーチ会議では2軍落ちすることが決まった。この日甲子園球場で首脳陣に投球を披露した井川と、入れ替わる。 初回を3者凡退に切り抜けた湯舟は、2回に突然乱調した。先頭の江藤から3連続四球で無死満塁とし、町田に右飛を打たれる。右翼坪井が落球する間にまず1失点。続く西山には2点適時打を浴び、この回3失点した。3回にも2死満塁のピンチを作るなど、ピリッとしない内容。事実上のKO降板だった。 満を持した登板のはずだった。4月14日に約1年ぶりの登板を果たしたが、3回2失点で先発失格。野村監督から「1軍では難しい」と酷評され、中継ぎに降格された。17日には2番手で登板し、2敗目を喫した。「3度目の正直」を誓ったはずだった。 坪井、瞬間.337坪井が逆転ムードを呼び込んだ。5回1死三塁から、2点差に追い上げる中前適時打。10試合連続安打で、瞬間最高打率で自身最高の3割3分7厘とした。「ボクはイイですよ」。2回の守備では、右翼線上の飛球にスライディングキャッチを試みたが、落球。先発湯舟に「すみませんでした」と頭を下げたが、貴重なタイムリーでミスを帳消しにした。 B砲、好守でV呼ぶ前日の中日戦で勝利打点となる本塁打を放ったブロワーズが、今度は守備で勝利を支えた。3―3の同点で迎えた8回表1死走者なしの場面。広島西山の三遊間への当たりを、横っ飛びでキャッチ。起き上がりざま一塁へ送球してアウトにし、その裏の逆転劇を生んだ。「全打席安打や本塁打を打つのは無理だが、できることを毎日やるのが俺の仕事」と、B砲は泣かせるセリフを残した。 (11勝11敗) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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