第5戦(4月7日)

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野村会心!2ランスクイズ

8回逆転!!イッキ5点

 阪神の主砲ブロワーズが7日、突然の一時帰国。去年までなら意気消沈…急降下。だが今年は野村監督がいる。広島ミンチー相手に2点リードされても、敵がスキを見せれば一気につけ込む。仕上げはアッと驚く2ランスクイズ! 鮮やかすぎる8回の逆襲で阪神は、また貯金1。生まれ変わった虎、ほんま強いで。

4月7日・広島
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
広 島
【勝】吉田豊【敗】ミンチー
【本】緒方1号(ソロ=吉田豊)


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 キツネにつままれたような“野村トリック”に、球場全体がどよめいた。完ペキな、鮮やかな、あまりにも華麗なTOP野球。8回に5点を挙げて逆転勝ち。トドメを刺したのは、なんと球史でも極めて珍しい2ランスクイズだった。

 2点を追う8回。ここまで先発ミンチーに4安打。先頭の代打浜中も中飛に倒れ、敗色濃厚だった。ここで坪井が左前打で出塁して、流れが少しずつ虎に向いてくる。勝利を焦ったミンチーが暴投、四球と突然崩れ、連鎖反応を起こしたように広島守備陣もミスを重ねた。1死一、二塁から平塚がタイムリー。失策で同点にすると、今岡の適時打で勝ち越した。

 動揺した広島ベンチをあざ笑うかのように、ここで野村監督がとっておきの奇襲を仕掛けた。

 1死満塁、カウント1―1から星野がスクイズ。三塁走者のジョンソンが駆け抜け、まず1点。ボールが一塁へ転送される間に、二塁走者の今岡が三塁を回ってホームを目指す。仰天した一塁ベースカバーのディアスは慌ててホームへ投げようとしたが、後の祭り。今岡もしてやったりだ。「二塁手、遊撃手がノーマークで前進守備を敷いていた。リードも大きくとれたし、バントで転がったら絶対にいけると思っていた」。 image

 野村監督は“年に1度”のプレーをキャンプから磨いてきた。3月29日のオープン戦(対オリックス・姫路)で試みたが二走坪井のスタートが遅れて、成功しなかった。その2ランスクイズが、公式戦の大事な場面で見事に決まった。

 「あれが野球や。投げて打ってばかりが野球じゃないんや。今岡がいい走塁をしたよ。打って勝つのもいいけど、こういう相手の油断を突くとか、好走塁で勝つ方が、オレとしては気分がいい」。

 リードを奪うと、自慢の投手リレーがさえた。2イニングに遠山、伊藤、弓長、リベラの左右4投手を駆使。広島打線に反撃の糸口を与えなかった。指揮官がめずらしく勝利に酔いしれる、痛快な逆転勝利で、ゲーム前に漂っていた暗雲を吹き飛ばした。

スタメン
阪 神広 島
坪 井野 村
和 田森 笠
平 塚前 田
ジョンソン江 藤
今 岡緒 方
佐々木広 池
星 野ディアス
矢 野西 山
吉田豊ミンチー

 前夜(6日)は赤ヘル打線に3被弾を浴びるなど完敗。さらにこの日、ショックが走った。主砲ブロワーズが義母の危篤のために米国へ一時帰国。突然4番が消えた。試合で先制されてムードは悪かった。

 「緒方にホームランを打たれた時はやられると思ったよ。完封ペースだったからな」。野村監督も途中までは覚悟を決めていた。しかし広島の一瞬のスキは見逃さない。たちまち主導権を手繰りよせて自身のペースに持ち込んだ。

 これまでなら、大黒柱の外国人がリタイアと同時に虎は坂を転げ落ちた。だが今年は違う。ノムさんがいる。猛虎打線の核が欠けても、野村IDがチームを引っ張る。これぞザ・トップ野球…虎の野球が確実に生まれ変わったことを証明する1勝だった。

<写真=どうだっ、これがTPO野球の真骨頂だ。8回1死満塁、星野のスクイズ(上)で二塁走者今岡も生還(下)。奇襲をズバッと決めて勝負あり。快感!>


吉田豊、1305日ぶり先発白星

耐えて耐えて126球7回2失点

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 ベンチで放心状態だった吉田豊の顔が、どんどんほころんでいった。7回を2失点に抑えても援護なく、代打を送られた7回の攻撃。平塚の適時打などで同点に追いつくと、最後は芸術的2ランスクイズで一気逆転の5点ゲットだ。タテジマでは初、ダイエー時代の95年9月10日のオリックス戦以来、実に1305日ぶり先発白星は、我慢に我慢を重ねた吉田に、神様がイキにプレゼントした。

 「先発で勝ったのっていつ以来だっけ? 95年? 覚えてないなあ」。最後を締めたリベラからウイニングボールをもらうと、目にはうっすら熱いものがにじんでいた。負ければ連敗、借金1を背負う重要な一戦。

 だが昨年はわずか2試合で先発失格のラク印を押された自分に、野村監督はそのマウンドを任してくれた。登板を告げられたのは巨人戦を終えた4日の朝。同じ元南海の血を引く左腕は、こん身126球に、感謝と意気を込めていた。

 キャンプで開発した、新球フォークが冴えまくった。広島打線のデータにない秘球で、7三振のうち4つを奪った。「ウンウン、これは使えるね」。6安打2失点の内容に、本人も手ごたえ十分。そして八木沢投手コーチも最大級の賛辞を送った。「豊が2点に抑えてくえたから、あの5点を引き出せたんだ。先発? もちろん次もいけるよ」。

 中込の2軍降格という先発の台所事情が苦しい中、32歳のベテランは見事一発快投で答えた。それは春先痛めた左ふくらはぎ肉離れからの復活劇でもあった。「これからも投げる試合は全部勝つつもりで行きます」。その目は輝き、自信にあふれていた。

<写真上=吉田豊は、広島に2点の先行を許したが、我慢のピッチング。初勝利よかったネ>


坪井、打って走って

 不振に苦しんでいた坪井がいい働きを見せた。8回、1死からあきらめムードが漂う中、左前打で出塁。続く大豊のときに暴投で二進、さらに平塚の中前打で一気にホームインし逆転への突破口を作った。9回にもこの日の2安打目を放ち、生還した坪井は5回の2死一、三塁の好機で凡退していたこともあって「勝利に貢献? 初めてですね」とホッとした様子で話していた。

幸運呼ぶジョンソン

 ジョンソンがラッキー・ボーイとなった。1点を追う8回、1死一、三塁の場面で痛烈な一ゴロを放って相手ミスを誘い、同点に貢献。さらに2ラン・スクイズでは三塁走者としていいスタートを見せるなど貢献した。この日は先輩格のブロワーズが帰国したが「確かにさみしいけどオレは自分の仕事をするだけ。スクイズは相手の裏をかいたいい作戦だったね」と笑顔を見せていた。

リベラVボール贈呈

 9回1死から登場したリベラが、試合を締めた。ディアスを中飛に打ち取り、ペルドモも三振。ベンチに戻った守護神は、ウイニング・ボールを先発勝ち投手の吉田豊に手渡した。最初、吉田豊は何のことかわからず「えっ?」ときょとん。ようやくウイニング・ボールと気付いて、笑顔で受け取った。巨人戦の2勝時(3、4日)は、リベラはウイニング・ボールを2球ともスタンドに投げ入れたが、この日は先発投手に贈った。

(3勝2敗)


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