第3戦(4月4日)

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阪神連勝!祭りだ祭り

また魅了、野村サイ配的中

 ノムさん痛快や。阪神、たくましいで。野村阪神が長嶋巨人に連勝、開幕カードを2勝1敗と勝ち越した。2―2で迎えた6回裏、好投していた先発メイをあっさりスイッチ。継投策が成功すると7回、佐々木、大豊のタイムリーで2点を挙げ勝ち越し、巨人先発の上原を攻略した。8回にはジョンソンの2試合連続弾も飛び出して、もうお祭り騒ぎ。長嶋監督とは対照的に先手、先手を打った野村サイ配。今季残り132試合が、ますます楽しみになってきた。

4月4日・東京ドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
巨 人
【勝】福原【敗】上原
【本】高橋3号(2ラン=メイ)ジョンソン2号(2ラン=的山)


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 野村監督は肩を上下に震わせ、ベンチでせせら笑っていた。笛吹けば、兵が躍る、躍る。また躍る。やること、なすことズバリ的中だ。「野球は強い者が勝つとは限らない」。野村監督の、この言葉は紛れもなく真実だった。用兵を駆使し、適材適所で起用。それが巨人の動揺を誘い、虎のペースと変わる。連夜の痛快G倒劇。粘っこい野村TOP野球は、確実に虎が生まれかわったことを証明した。

 「すみませんね、みなさん。予想外の展開で…」

 開幕前の大方の予想を覆す勝ち越しに、野村監督は「ざまあ見ろ!」と言わんばかりに皮肉った。報道陣の前では高笑いせず、あえて謙虚に話した。

 1勝1敗で迎えた3戦目。序盤は確実に巨人ペースだった。2回に高橋の2ランで先制され、先発のルーキー上原には3回までパーフェクト。イヤなムードに包まれていた。しかし相手の一つのミスから突破口を切り開く。まるで去年のヤクルトにやられたような攻撃で、虎が巨人のスキを突いた。

 4回。二岡の失策で坪井が出塁し、和田の高いバウンドの左前打、今岡の四球で満塁。ブロワーズは二ゴロに倒れたが、その間に三塁走者がホームイン。さらにジョンソンの中犠飛で同点。力投の上原から、たった1安打で試合を振り出しに戻し、長嶋監督に歯ぎしりさせた。

スタメン
阪 神巨 人
坪 井仁 志
和 田清 水
今 岡松 井
ブロワーズ清 原
ジョンソン高 橋
平 塚元 木
佐々木二 岡
矢 野村田真
メ イ上 原

 中盤の均衡状態では上原をがまんする「静」のミスターに対し、野村監督は「動」で揺さぶりをかけた。好投のメイを予定通り90球で降板。6回裏の2番清水から始まる守備では遠山、舩木、弓長と目まぐるしい継投策を講じた。逆に7回の攻撃では、先頭のJ砲が二塁打で出塁すると得意の心理作戦を仕掛ける。前夜(3日)と同じように、ベンチ前へ出てきて次打者の平塚に耳元でヒソヒソ…。「バントするか、と聞いたら、右打ちできますと言いよったワ」。平塚は約束通りの一ゴロで1死三塁。絶好の舞台で、佐々木が「梅ちゃん(平塚のニックネーム)がいい仕事をするんで、燃えちゃいました」と右中間突破の勝ち越し二塁打だ。これで上原を攻略だ。さらに代打大豊の適時二塁打まで飛び出してダメ押し。3人のベテランの心をくすぐって、結果に結び付けさせた。

 ヤクルト時代も小早川、辻らベテランを巧みに操った。“再生工場”は役割を明確にし、ヤル気を喚起させるところがポイントだった。開幕直前、佐々木は左足内転筋痛と右太もも痛で悩んでいた。それを知った野村監督が、こっそり「この薬を使え」と手渡した。「監督が効く薬をくれてね。これは心にも効いたよ」(佐々木)。オープン戦で絶不調のベテランを、あえて開幕3連戦で起用したのは経験と実績を買ってのもの。ギャンブルと言われたベテラン起用の裏に、野村流の選手活用の極意があった。

 開幕カード、野村IDは自ら長嶋巨人のパワーに対抗できることを実証した。「上出来です。8月まで何とか頑張らなアカンからな。しかし欲を出したら、ろくなことない」。野村阪神が最高の形でペナントのスタートを切った。

<写真=IDがこの日ズバズバ決まり巨人に連勝した野村監督(右)。ヒーローのジョンソンらナインを出迎える姿にも余裕が出て来た>

頼れますJ砲2号

B砲も貫録タイムリー

 ミスは自分でケリをつける。そう言わんばかりの働きだった。野村阪神の用心棒と化したブロワーズ、ジョンソンの両外国人選手が守乱を帳消しにして余りある仕事だ。

 2点を勝ち越した直後の7回裏だ。ジョンソンが一ゴロをトンネル、ブロワーズが三ゴロをハンブルとアベック・エラー。味方をピンチに陥れてしまった。これを福原がしのいだ8回表、罪をバットで償った。

 1死三塁の好機にまずブロワーズが巨人西山のスライダーを左前へ弾き返した。「ミートを心掛けたよ。正直、ホッとした」。大リーガーの貫録を持つ男が適時打にタメ息をついた。

 そしてジョンソン。4回に犠飛、7回に二塁打と続けた好調を爆発させた。西山の真ん中低めストレートを豪快にすくい上げ、右中間の最深部に叩き込んだ。脅威のパワーで試合を決める連日の2号2ラン。「いい感じで振り抜けた。5万のファンで燃えたぜ」とこちらはニンマリだ。

 開幕前夜の1日夜、2人して六本木に出掛け「ハードロックカフェ」でビールをあおり、ステーキをたんまり腹に収めた。見事にエネルギーとなって開幕巨人戦勝ち越しに大貢献だ。東京ドームを去り際、ジョンソンは「早く甲子園に帰っていいプレーを見せたい」と笑った。その前に2人で広島を血祭りに上げる仕事が待っている。


運も味方のプロ初星・福原

佐々木V打、大豊初打点

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 7継投の大わらわに紛れ、ドラフト3位福原が待望のプロ初勝利を挙げた。2点リードの7回から登板し、1回1/3を抑えて記念星をつかんだ。しかも松坂、矢野ら早々たるメンバーを押しのけ、これが12球団新人最速の今季初白星だ。8回に2安打2失点を喫して途中降板しただけに、うれし恥ずかしの初勝利となった。

 「運がよかっただけです。でもこんなに早く勝てるとは思いませんでした。ひょっとしたら勝ち投手かなって、最後はドキドキでした。で前に打たれたんで、きょうは何とかしたかった」。初々しく照れた22歳を、“リベンジ”した2重の喜びが包んでいた。初登板の開幕巨人戦は、高橋に満塁弾を浴びるなど散々。その夜は悔しく、眠れなかった。そんな時、同い年の田中がホテルの自室へ、ビールを届けてくれたという。「まあ飲もうや」。さりげない優しさがうれしかった。「あれで全部吹っ切れました」。その親友が二塁を守る中、最後まで強気の投球を貫いた。

 もっとも、試合後、福原はちょっと複雑な表情だ。「だってあの記念のボールが…」。ウイニングボールは、リベラがスタンドのファンへサービス。だがチャンスはこれから。今度はもっと完璧な投球で、記念ボールを手にしたい。

<写真=プロ初星をつかんだルーキーの福原。巨人を相手だけに気合はいっぱい!>


メイ予定通り90球降板

盤石の7継投

 だれもが首をひねった。5回まで2失点と好投していたメイが、6回表のマウンドに現れない。スタンドはもちろん、巨人ベンチもワケが分からない。捕手の矢野すら知らされていなかった突然の降板劇。静まりかえる東京ドームの中で、三塁ベンチの野村監督だけが、ほくそ笑んでいた。

 「メイは予定の行動や。本人が90球ぐらいって言ってきたからな」。

 登板前、メイが八木沢コーチを通じて、球数制限を申し出てきた。「オープン戦で、あまり投げさせてもらえなかったので、まだ本調子じゃないんだ」。オープン戦登板は4試合で15イニング。昨年は途中来日の2年目メイにとって、今年の日本のオープン戦は初体験。調整遅れを訴えたメイは、90球前後での降板を申し入れたのだ。

 聞きようによっては、ワガママ。しかし、野村監督は逆手に取った。試合前から綿密な継投シミュレーション。弾き出した答えは『1人1殺』だった。

 メイは5回まで飛ばした。8三振を奪って、ちょうど90球。2―2の同点の6回、清水、松井と左打者が続く場面で、野村監督は迷うことなく左腕の遠山を送り出した。遠山がきっちりと強打者2人を斬ると、清原には舩木を投入。舩木は左前安打を打たれたが、高橋にはすかさず弓長をぶつけ、空振り三振に取る。見事に継投成功。試合の中盤にもかかわらず1イニングに3人もつぎ込むリレーは、一気に流れを引き寄せ、7回の勝ち越しを呼び込んだ。

 8回も、1点を奪われると、5点リードながら伊藤を投入し、1死一、三塁で代打広沢を投ゴロ併殺。

 「継投は難しいんや」。結果的に上原の変え時を誤った巨人ベンチとは対照的な盤石リレーだった。

リベラ連夜3人斬り

 4点リードの9回裏、守護神リベラが連投で登板。ストレートでグイグイと押し新人二岡、小田、代打大野をあっさり仕留め連夜の3人斬りで締めた。ハイタッチを交わす勝利の儀式のあと、リベラは前日に続いてまたもウイニングボールを三塁側スタンドへポイッ。3日も野村監督の阪神初勝利の記念ボールを客席に放りこんだ守護神。慌てる関係者に「それだったら投げる前に言ってくれればいいのに」とおどけていた。


大豊、左打ち初打点

 2試合連続ベンチスタートとなった大豊が、意地の右翼線二塁打を放った。1点リードの7回2死二塁に代打で登場。この時巨人も上原から左の野村に代わったが、左対左を苦にもせず、スライダーを弾き返した。「マグレだよ、マグレ」。今季初打点のオマケもついたが、大豊はバスに乗り込むまで照れ笑い。左を打ったことで自身復調の兆しもつかみ、野村監督にも格好のアピールとなった。

(2勝1敗)


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