第2戦(4月3日)

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ノム虎、17安打9点…嵐のG倒

2回ささやき作戦でイッキ6点

 打線が燃えた。川尻が勝った。ノムさん爆勝のG倒や。野村阪神が長嶋巨人に強烈なしっぺ返しで今季初勝利をあげた。2回、野村監督の耳打ち作戦、TOP伝授が成功。一気の10人攻撃の6得点で桑田を粉砕や。両外国人も爆発すれば、守っても先発川尻が8回途中降板も1勝。開幕カードを1勝1敗のタイへ寄り戻し、さあ、4日はメイで勝ち越すで。

4月3日・東京ドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
巨 人
【勝】川尻【敗】桑田
【本】ジョンソン1号(ソロ=三沢)高橋2号(3ラン=川尻)
広沢1号(ソロ=川尻)


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 タテジマ初勝利の瞬間、野村監督は松井ヘッドとガッチリ握手を交わした。4・3開幕2戦目。この日が猛虎再建への第一歩だ。63歳の老将はノッシノッシとグラウンドへ歩き出し、ハイタッチでナインを出迎えた。今季初の六甲おろし、万歳三唱…。巨人の本拠地東京ドームが、虎党の絶叫で染まった。

 「おうっ、初勝利おめでとうございます、やな」

 開口一番は、自らを祝福するコメントだった。何ともそう快なTOP野球全開の圧勝劇。スコアボードに記された17安打9点が、野村阪神の意地を物語る。前日(2日)の開幕戦は、高橋に満塁アーチを浴びるなど1―8。「貧乏人のど根性を見せたる」。そんな開幕前の宣言が空しく聞こえる完敗だった。しかし、やられっぱなしでは終われない。月見草魂は、健在だった。

スタメン
阪 神巨 人
坪 井仁 志
和 田清 水
今 岡松 井
ブロワーズ清 原
ジョンソン高 橋
平 塚元 木
佐々木二 岡
矢 野村田真
川 尻桑 田

 まず野村監督が動いたのはオーダーの組み替え。先発桑田を予想して、相性のいい今岡を3番に、前日控えのベテラン平塚を6番に起用した。その効果がすぐに結実した。2回。ブロワーズの中前打、ジョンソンの四球で無死一、二塁とし、打席は平塚。ここで野村監督がベンチを飛び出し、平塚の耳元で何やらささやく。狙い球を指示された平塚は、カウント1―1からの外角スライダーを右翼線へ。「今日が自分の開幕。何が何でも打ってやろうと思っていた」(平塚)。ベテランの集中力に、野村IDがプラスされて生まれた先制打だった。

 百戦錬磨の名将は、さらに襲いかかった。佐々木、矢野の連続適時打で3点。なお無死一、二塁で、今度は川尻に策を授けた。バントの構えから巨人守備陣の意表を付くバスター。普通の守備位置なら遊ゴロが、左前へ抜けていく。キャンプで練習してきた奇襲が、ここ一番ではまった。こうなれば、もはや流れは完全に阪神ペース。桑田と元木が企てた“隠し球”まで、ボークとなるのだから笑いは止まらない。最後は今岡のダメ押し2点適時打まで飛び出して打者一巡の一挙6点。ここで勝負は決まった。

 「2回は絵にかいたようにうまくいったな。ワシが出ていくだけで、相手は余計なことを考えるやろ」 image

 自らがベンチ前で動いて相手をかく乱し、それが成功する。TOP野球の「O」(オブジェクトレッスン=実践教育)を地でいきながら、巨人を粉砕した。

 「阪神初勝利? いつかは勝つでしょうが…」

 監督通算1141勝目に平静を装ったが、心中は穏やかでなかった。通常、試合前は「勝ち運が逃げるから」と、他人の名刺は絶対受け取らない。握手もしない。しかしこの日はデーゲームで開幕星を挙げた日本ハムの今井球団常務を見つけると握手を求めた。ホテルから球場へのバスの道順を変えさせ、勝ち運にこだわった。それほど勝利に飢えていた。

 開幕星こそ逃したが、これで巨人とは5分5分。最悪の3連敗も逃れ、精神的には虎の方が有利だ。開幕カードのG戦勝ち越しは、久万オーナーからの指令でもある。野村TOP野球が巻き返しに入った。

<写真上=2回・10人攻撃の大爆発に続き、5回にはジョンソンの初アーチ。今岡、佐々木(右から)らも笑顔、笑顔のハイタッチ 写真下=巨人に快勝し笑顔でナインを出迎える野村監督>

桑田隠し球ボーク

策におぼれた元木

 2回の阪神の4点目は巨人の“策におぼれた”ボークで入った。3点を先制し、なおも無死満塁。打者坪井は二ゴロ。本塁封殺となり1死満塁。ここで三塁手の元木が、隠し球を狙いボールを隠し持つ。アイコンタクトで知った桑田は連携し、マウンドで捕手のサインを覗くふりをした。この桑田の動きをみた上本二塁塁審がボークを宣告。阪神に4点目が転がり込んだ。

 桑田はプレートには触れていないとアピールしたが野球規則の八・〇五(i)には「投手がボールを持たないで、投手板に立つか、これをまたいで立つか、あるいは投手板を離れて投球するまねをした場合」ボークとなると定められている。

 開幕戦では藪―矢野バッテリーが元木に裏をかかれ、痛恨の逆転2ランを浴びた。この試合では元木の『クセ者』ぶりが裏目に出て阪神にラッキーな得点が入った。

 上本二塁塁審の話「ボールを持たずに、サインを見るそぶりをして、投球関連動作をした。プレートを踏まなくても欺瞞(ぎまん)行為だ。桑田投手は抗議して来たが、ルールを把握していなかったのではないか」。


川尻“変幻”Gを手玉

8回降板…藪の敵討ち

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 野村監督に初勝利を贈ったのは、開幕投手に選ばれず、“2番目”の評価を受けた川尻だった。「チームがスタートを切れたことがうれしいね」。6回までわずか2安打。三塁すら踏ませなかった。7回高橋、8回広沢の本塁打で降板し、満点とはいかない。しかし、その内容はいかにも川尻らしいノラリクラリのG封だった。

 「きのう負けて、大事な2試合目だったから、勝たないといけないと思ってた」。前夜の開幕戦、川尻は宿舎の部屋でテレビ観戦。痛恨の逆転負けを見届け、負けられない責任感に奮い立っていた。

 だが、マウンドでは、はやる心を微塵(みじん)も出さない。105球中、何とカーブが53球。「いつも(変化球が)多いんだよ、オレは」。とは言うもものの、「いつも」ではない。オープン戦初登板の巨人戦(3月5日)では、56球中カーブは17球。実は、この時、開幕カードへの伏線をひいていたのだ。

 そのオープン戦、キャンプ中に習得したフォークを、カウントに応じて多投した。この新球で松井、高橋らを打ち取った。当然巨人打線には、この球が頭に残った。ところが川尻はこの日、裏をかくように、去年と同じくカーブ、シンカー主体の配球で、巨人を手玉に取った。1カ月前から、開幕へ向けてのクレバーな計算を立てていたのだ。

 2回、無死一、二塁の打席では、バスターで左前安打。打席に向かう前、野村監督に「打撃はどうや」と聞かれ、「いいですよ」と平然と返答。その言葉通りの快打で、ベンチの期待にこたえた。「今年の目標?

 ウ〜ン、とりあえず10勝かな」。本心は、もっともっと上。野村監督が確実に勝ち星を計算できるエースとして、虎を引っ張る。

 阪神矢野(2試合連続の先発マスクで4安打)「4安打なんて、プロに入って初めてじゃないですかね。チャンスをもらってるので、必死です」

<写真上=初勝利に向け、気合いっぱいのビッチングで巨人打線に食い付いた川尻>


リベンジ成功!!リベラ締めた

吉田豊も1回ピシャリ

 前日のリリーフ陣炎上とは好対照、川尻の後を受けた救援陣が、見事な火消しを演じた。まずは8回無死一塁から初登板の吉田豊。清原に二塁打を浴びたが清水、高橋を直球主体の強気な投球で三振に切るなど、ピシャリ0封。「押したり引いたり出来る場面じゃないからね。勝ちに貢献出来てよかった」と気合の勝利に満足の笑みを浮かべた。

 そして9回から登板したリベラも、前回の巨人戦(3・16オープン戦)で9回2死から大炎上したリベンジを見事果たした。MAX146キロの直球でグイグイ押し、元木、二岡を連続空振り三振。最後の打者小田も三邪飛に抑え、野村阪神初勝利のウイニングボールをつかんだ。ところがリベラは、野村監督に手渡すかと思いきや、何とこの記念球を三塁側スタンドへ放り投げてしまった。「きょうは何も話すことはないよ」。守護神は照れ笑いでごまかしていた。


J砲1号&猛打賞

「パーフェクトだった」

 期待の助っ人コンビが開幕2試合にしてグッド・ジョブ、勝利に大きく貢献した。圧巻はジョンソンの一発だ。5回、1死から打席に入るとファウルで粘ったフルカウントからの7球目、真ん中高めのストレートを捕らえた。打球は放物線を描きバックスクリーンへ飛び込んだ。自慢のパワーを感じさせる来日1号ソロだ。

 「その前の打席(3回)で初ヒットが出ていたのでリラックスして立てたよ。いい感じで振り抜けたね。パーフェクトだったよ。(来日中の)家族にはいいプレゼントになったね」。6回にも適時二塁打を放ち、初の猛打賞で2打点、2四球と合わせてこの日10割の仕事ぶりだ。さらに走塁でヘッドスライディング、一塁の守備ではダイビングキャッチと巨体に似合わず俊敏なところも見せた。

 先輩格のブロワーズは2回の10人攻撃のキッカケを作った。先頭で打席に立つと桑田の変化球を中前にこれも来日初のクリーンヒット。「新しいシーズンは最初のヒットが出るのが難しいんでホッとしたよ」と笑顔で、この回一挙6得点の突破口を作った。

 今季の阪神打線はBJ砲頼み。前日の開幕戦では無安打にもかかわらず、ともに「公式戦の雰囲気が分かった」と悠然とした構え。心配させたがこうなってみれば頼もしい。「今年の外国人はそこそこやるんちゃうか」と野村監督が期待していた通り、新生阪神の初勝利にBJ砲の存在が光った。

田中うれしいプロ初ヒット

 5年目田中が、うれしいプロ初安打を放った。2回、6点を取った直後に守備固めとして和田に代わって途中出場した田中。6回、河野の直球をセカンド方向へ叩きつけると一塁へ全力疾走。プロ通算4打席目にして、しかも憧れの巨人戦で初めてHランプを灯した。初の開幕1軍決定の日から、これを最初の目標にしていただけに「自分らしいヒットでよかったです」ニッコリ。和田にはない快足で、存在をアピールした。

 だがその後、三盗に失敗。7回には松井の二塁ゴロを一塁悪送球してプロ初エラーも記録した。「あとがいただけませんね。岡田さん(2軍監督)からもいいプレーをした後の集中力は切るなと言われてたんですが…」と、反省しきりだった。もっとも8回には先頭打者としてチャンスメイクの四球を選び、今岡の左前打で三塁を奪うなど、しっかり2番の働きもした。試合を重ねるたび、その成長ぶりに期待だ。

佐々木2安打2打点

 オープン戦ノーヒットで前日の開幕戦で23打席ぶりに安打を放ったベテラン佐々木が、3打数2安打2打点と好調モードに入った。2回表1死一、三塁で立った第1打席は桑田の内角直球につまりながらも左前に落とし、タイガース初打点。ビッグイニングにつなげた価値ある一打だった。「チャンスで打ててよかった。オープン戦と公式戦は気持ちの入り方が違う」と口も滑らか。試合後も「使って頂いてますから」と野村監督への感謝も忘れなかった。

新3番今岡も猛打賞

 新3番今岡が猛打賞の大暴れだ。2回の右前打2点タイムリーを口火に6回、8回と連続左前打。3番抜テキの期待に見事こたえた。今岡は「昨日負けた気持ちの切り替えも出来たからね。力まずにミートを心掛けたのがよかった」。前夜もガルベスから先制1号弾をカッ飛ばした男は、この2日間8打数4安打3打点の大活躍。まさに虎NO・1の絶好調男だ。


最後はリベラ締める

 <阪神―巨人戦VTR> 阪神は2回、先頭のブロワーズの中前打を手始めに1四球をはさむ5連打と桑田のボーク、さらに今岡の適時打で大量6点を先制。5回はジョンソンの本塁打と佐々木の二塁打で2点を追加し、6回にもジョンソンの二塁打で1点を加えた。6回まで川尻の前に、2安打の巨人は7回に高橋が2試合連続の3点本塁打。しかし、阪神はリベラが抑えて、野村阪神は1勝をあげた。

(1勝1敗)


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