98年タイガース戦跡 第121戦(9月17日)山村、7回1失点プロ初星
広島ケサダの飛球が今岡のグラブに収まると、後ろから頭をなでられた。ベンチ中から握手を求められた。少し目じりは下げたが、大はしゃぎはできなかった。「実感…まだわかないです」。栄光のドラフト1位入団から4年が過ぎた。これまでの道のりを思うと、有頂天にはなれなかった。 「毎年ケガをしたのがつらかった。投げられないことが一番…」。右ヒジ、右肩、下半身。オープン戦になると決まって故障した。ファーム登板でさえ3年間でわずか31試合。181センチで72キロのきゃしゃな体で、ブルペンではムキになった。先輩たちに負けない球を投げようと、知らぬうちに無理していた。 山梨・甲府工からの先輩となる中込の助言が、きっかけだった。「力まず、投球の幅を広げればいいよ」。スピードを殺したチェンジアップは、中込に直接教わった。内角をつくシュートも覚えた。「今は余裕をもって投げられます」。変化球のキレで勝負しようと決めたとき、ダイヤの原石が輝きはじめた。
記念のウイニングボールは救援のリベラがスタンドに投げ入れてしまった。「しょうがない。まあいいッス」。クールに白球を見送った山村は、少しも悔やまなかった。ようやく踏みしめたスタートライン。この1勝で満足するわけにいかなかった。
<写真上=広島打線を相手に、ねばり強いピッチングで初勝利を手にした山村 写真下=山村(右)は吉田監督から祝福の握手を受け、照れながらも笑顔を見せる> (47勝74敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報へ] ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||