Tigers

98年タイガース戦跡



第108戦(8月30日)坪井、首位打者も射程だ

 東京ドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
阪 神
巨 人
【勝】藪 【S】リベラ 【敗】小野
【本】桧山13号(ソロ=小野)今岡7号(3ラン=南)

坪井  口の左端をわずかに緩め、坪井はマウンドに小走りで向かった。対巨人3連戦で13打数7安打。3試合目で自らの猛打が初めて勝利に結びついた。背中に降り注ぐ巨人ファンのば声すら今の坪井には心地良かった。

 負ければ今季チーム負け越し決定、関東地方14連敗、対巨人6連敗…悪夢の記録がまたまた加わるピンチだった。だからこそ、燃えないわけにはいかない。今季の東京ドーム最終戦で、トラの若き切り込み隊長のバットが火を噴いた。

 初回、先頭打者で三遊間深くに転がした。3回は、一塁清原の左にたたきつけた。2本の内野安打で通算100安打をクリア。阪神では80年の岡田彰布(現二軍打撃コーチ、109本)以来の快挙を達成した。さらに5回の第3打席で、右前にクリーンヒット。二塁から和田がホームをつき、微妙な判定ながらタッチアウトになった。それでも吉田監督は「完全にタイムリーです」とうなった。

 プロ初となる2戦連続猛打賞ばかりではない。守っても3回裏には松井の右中間のヒット性の当たりをランニングキャッチ。飛び出した一塁走者清水を好送球で封殺した。

 東京入りの前日、早起きして美容室に向かった。髪の毛を短くそろえ、少し茶色に染めた。「それはいいじゃないですか」。照れてかわしたが、全国ネットでテレビにうつる巨人戦にボサボサの髪では臨めない。新人離れした気持ちの余裕が、対巨人戦3割9分のハイアベレージを生む。

 ついに打率は3割2分7厘。前田(広島)鈴木尚(横浜)を逆転圏にとらえた。ルーキー首位打者も夢ではない。

 新人王の質問には大きく手を振り「そんなんは…」と質問をさえぎった。しかしレギュラー取り、規定打席、100安打…。高い目標を次々とクリアしてきているだけに夢はふくらむ。

 打点、得点にはからまなかったが、必死のプレーでG戦3タテを阻止した一番の立役者。「きょうは他に聞く人がいるでしょう」と言って、初めてニヤリと笑った。このふてぶてしさならひょっとして…。ファンにそんな期待を抱かせる頼もしいルーキーだ。

<写真=首位打者へ、そして新人王へ走る走る! 1回表、坪井は遊撃前へのゴロに全力疾走し、内野安打をもぎ取った>

(41勝67敗)


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