98年タイガース戦跡 第103戦(8月25日)坪井が“熱血”伝承2安打
甲子園球場からわずか北西へ3キロ。この日、午後7時から村山さんのお通夜が営まれた。甲子園では半旗が掲げられた。村山さんへの供養は、3週間ぶりに帰ってきた甲子園での白星にするはずだった。 先発藪が初回に1点を奪われたが、すぐに打線が取り返す。坪井の左前打を口火に、ハンセン、大豊、桧山が3連打。4本すべてがどん詰まりのポテンヒットだった。それも、天国の村山さんが後押ししていたに違いない。「後はお前たちが何とかしろよ」―そう語りかけているようにも見えるほど、ラッキーなヒットが続いた。稲光と雷もマンモスに響いた。生前の村山さんは、ふがいない阪神にいつも怒っていた。「頑張れ」。最後のゲキだったのか―。「猛虎魂を見せてくれ」。そう聞こえはしなかったか…。 しかし悲しいかな、虎打線に斎藤隆を打ち崩す力はなかった。何より、村山さんが気に掛けていた投手陣も崩壊。18安打で14失点。8回、竹内は犠打を挟む8連打を浴びた。 ボロボロに傷つき、ドロ沼でもがくタイガース。でも村山さん、心配しないで下さい。安らかに、眠ってください。虎にも明日を担う若い力があります。この日も2安打打った坪井がいます。 5回には「ふと、ひらめいたんです」と、鮮やかな今季2度目のセーフティーバントも決めた。規定打席まであと3。26日、6打席回れば、一挙に打撃ベスト5にも登場だ。「打率は気にしてないんですが、規定打席はこだわりたい。記録に残ることですから」。日本中が熱狂したサッカーW杯中も、テレビに見向きもせず夜間練習を行っていた男。こんなルーキーがいる限り、この熱血ある限り、また栄光の歴史はやってくるに違いない。 対横浜には球団ワーストタイとなる20年ぶりの8連敗。「万全の気持ちで臨んだつもりだったんですが…。明日、あさって、意地を見せたい」。そう言って球場を後にした、吉田監督は、その足で通夜のあった西宮会館へ行った。だれもいない会館で、眠るような村山さんに、別れをした。「足跡を受け継いでいかねば…」。この夜は、個人的なお別れ、そして、26日の告別式には一、二軍全員で参列。ユニホーム姿で、霊前に再建を誓う。 <写真=半旗が掲げられるバックスクリーンに映し出された村山さんの雄姿(左上)半旗の球団旗がはためく中、坪井は2安打の活躍を見せるが横浜に大敗した>
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