98年タイガース戦跡 第102戦(8月23日)延長11回今岡が“サヨナラ”弾
早過ぎる訃報だった。同じ球団で、ともに永久欠番となった戦友の死。球場入りすると会見を開き、固く誓った。「私は長生きしてチームを強くしていくことです。ファンに愛され、そういう選手を育てることが(遺志に)報いることです」。センター後方の球団旗の右端に黒い布をかぶせ、喪章とした。試合前にはベンチ前に整列して黙とう。何よりこの一戦を、天国に捧げたかった。 1―1で延長に持ち込んだ。先発の22歳山村が9回1失点の奮闘で、流れを呼び込んだ。決めたのは、これまた村山世代を知らない若トラだ。11回裏、23歳の今岡が打席に入った。 今岡もこの日の朝、家族から村山氏死去を知らされた。「現役時代はほとんど記憶にない。でも、ボクらの世代でも偉大さは十分に知っています」。まだまだ未熟な候補生にも、ミスタータイガースの気迫は乗り移っていた。カウント2―0からボール、ファウルと粘った8球目。「だいぶボール球でした。でも打ち気にいってましたから」。真ん中高めのボール球。139キロに負けないスイングで、左翼席に弾き返した。これがプロ入り初のサヨナラ弾。大事な試合に白星を運んだ今岡の成長は、監督時代、若手育成に心血を注いだ村山氏もきっと、手放しで喜んでいる。 「タイガース魂といったら大げさですか。失敗を糧(かて)にしていくんです」。吉田監督は26日の本葬で、村山氏の霊前に「必ずいいチームを作る」ことを誓う。選手全員も参列し、次代の飛躍を約束する予定だ。猛虎魂はまた、これからも受け継がれる。 <写真=試合前には全ナインが整列し、村山氏に黙とうを捧げた。今岡の惜別アーチは、最高の供養になったはずだ> (38勝64敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報へ] ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||