Tigers

98年タイガース戦跡



第101戦(8月22日)何で井上代えたんや!

 大阪D  
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
ヤクルト
阪  神
【勝】山部 【S】広田 【敗】リベラ

リベラ  ゆっくりと吉田監督がベンチを出ると、大阪ドームがどよめいた。「代えるんか、よっさん」。2点リードの最終回。無失点で好投してきた若トラ井上のプロ初完封を見たい、という非難のブーイングも混じっていた。

 「一番難しい判断で、一番安易にリベラでいきました。いろんな思いが交錯しまして。監督の選択の難しい最終回でした」。

 無死二、三塁から動いたベンチの決断は、暗転を招いた。古田、稲葉と守護神リベラが適時打を浴びて逆転された。ベンチ最前列に座った井上の顔はみるみる固まっていった。

 「交代は悔しいです。あの場面は一人で投げたかった。しょうがない、でも、しょうがなくないです…」。ゲーム後、感情を抑えようとする井上の言葉が、次第に詰まった。

 プロ初完投、いや完封ショーさえチラついていた。初回、先頭の辻に二塁打を打たれ、冷静になった。真中のバントをもぎ取り、三塁で封殺。うるさい古田をフォークで空振り三振に斬り、波に乗った。「一人ずつ一人ずつ、力を抜いて投げた。絶対大丈夫だからと言われて」山田のミットだけを信じた。気がつけば8回まで、辻の1安打だけで来ていた。

 残り1イニングが遠かった。辻に中前打。「打ち取った」と思った真中の当たりが、左翼平塚の前に落ち、降板宣告を受けた。大きな拍手を浴びて、ベンチに退く。5年目井上の好投は、目標を見失ったトラファンにとっては希望の光に見えたからだ。

 「選手が育っていくステップとして乗り切ってくれたら、と思ったのですが…」。吉田監督も、井上の飛躍は期待していたはず。それでもあえて、5連勝をとった。カケに失敗した吉田監督は、最後まで歯切れが悪かった。

<写真=村山さん、ごめんなさい…。好投した井上(右)は守護神リベラに「後は頼んだ」とマウンドを降りたが、この継投が大失敗。ファンからは大ブーイングを浴びた>

(37勝64敗)


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