98年タイガース戦跡 第84戦(8月2日)乱闘、また乱闘
【勝】吉田豊 【S】リベラ 【敗】野村
1点ビハインドの8回裏だった。その直前、巨人高橋の死球を巡って両軍が入り乱れた。そして捕逸で1点を失った。痛快な逆転劇は、2死から始まった。3番今岡の中前打でドラマが始まる。桧山、八木が四球を選んでつなぎ満塁で打席はハンセン。カウント1―1から巨人の守護神槙原を打ち砕いた。「いいスライダーだったけど、うまく飛んでくれたよ」。一塁側スタンドは万歳の大合唱だ。その興奮の中、今度は新庄がトドメの左越え三塁打。「追い込まれても変化球に対応できるようになった。たたいて遠くへ飛ばすことだけを考えていました」。このゲームを最後に長期ロードへ旅立つ虎戦士が、意地の粘りだった。 「ハンセンは本当に攻守に渡って、よくやっている。前半戦は守備でもたついて調子が上がらなかったが…。まさか逆風であそこまで飛ぶとはね」。吉田監督も、助っ人メジャーの活躍には頭が上がらない。特に指揮官の度肝を抜いたのは、反撃のノロシ、5回の8号ソロだ。逆風の中、グングン伸びた打球は右中間最深部へ飛び込んだ。そこまで先発岡島に3安打ゼロ封と抑えられていたが、ハンセンの一撃で打線に火がついたのだった。 試合前のミーティング。吉田監督は選手を集めて、質問をした。「この中で母校が甲子園に出る者は手を上げて」。PL学園出身者の木戸コーチ、今岡、坪井の3人だけだった。「この日で甲子園を空けるでしょ。そういう意識を持ってほしかったんです。1カ月後には帰ってきますが、だからお客さんもたくさん入ってもらっているんだということを」。ダントツ最下位のチームにも、3日間で16万1000人が集まった。ファンあってのプロ野球。だから燃えろ、と言いたかった。 サイ配を振るって、足掛け8年目。この日は監督として、猛虎史上最多の通算1000試合目(2位は藤本定義氏の962試合)出場でもあった。「あっ、そうですか。全然知りませんでした。やってたら数は増えます。選手と一緒で、一戦一戦全力を尽くすだけですワ」。メモリアルゲームが、壮絶で、かつ白熱した伝統の一戦になった。借金18はまだまだ重いが、後半戦は5勝3敗、貯金2。さらにたくましい虎に生まれ変わることを誓って、3日から長期ロードへ出発する。 <写真=真夏の夜の大乱闘、しかも2本立て、8回裏に矢野のデッドボールから第2Rがスタートし槙原に飛びかかった大熊コーチに仁志が報復のヒザ蹴りを入れ、マウンド付近は大混乱!> (33勝51敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報へ] ![]() |