98年タイガース戦跡 第64戦(7月4日)坪井が先頭打者ランニング本塁打
【勝】紀藤 【小林幹】【敗】吉田豊
「こんな記録も残るんですか」 先頭打者ランニング本塁打も、これまで4人しか記録されていない。阪神では、1958年(昭33)6月25日の巨人戦の三宅秀以来、40年ぶりの快記録だ。 紀藤の高め直球を、逆らわずに弾き返した。打球は左中間の外野フェンスのラバー部分を直撃すると、勢いよく跳ね返り、追った中堅ペレス、左翼金本の間をスルリ。ボールがセンター方向に転々とする。ペレスが追いついた時には、坪井は三塁を蹴っていた。 「(引っ張って)右中間を越えるような(サク越えの)ホームランだったら、勘違いしちゃうでしょ。ああいう方がいいですよ」 “安打製造機”に徹し、本塁打にはこだわりはない。だが、このランニング・アーチは別。自慢のミート技術と足をフルに魅せた。だから、素直に喜べた。 0―1というカウントだったのも坪井らしい。「初回の先頭打者でも、タイミングが合えば、ファーストストライクから打ちます」。立ち上がり、打者陣が投手の調子を見極めるためにも、球数を投げさせるのがトップバッターのセオリーとされるが、坪井は違う。「いきなりガツンとカマせば、相手がワケがわかんなくなりますからね」。向こう意気の強い性格はニュータイプのトップバッターだ。 その後もすべてファーストストライクから振り、2打席目は、一塁手の左をゴロで抜き、右翼前田の緩慢な動きを見逃さずに二塁打にした。5回の第3打席には初球をセンター前に痛烈な安打。積極的な打法で、プロ1号に花を添える3度目の猛打賞だ。 第4打席は四球で、リーチをかけたサイクルヒットはならず。しかしこの男なら、いずれ手にする日がくるだろう。
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