98年タイガース戦跡 第62戦(7月2日)快投に水差すメイ惑な雨
【勝】正津 【S】宣 【敗】メイ
ついに天まで虎を見放した。それはでき過ぎの超悲劇的ストーリー。たった15分間の集中豪雨が虎の勝利を押し流した。“犠牲者”は5回2死まで無失点好投の先発メイ。雨に身も心もかき乱されて連続の押し出しに、色白の顔はさらに青ざめていた。 大雨洪水警報勝利投手の権利まであと一人。1―0で迎えた5回2死二塁、打者山口のカウント1―2から悪夢が始まった。突然、銀傘を叩きつけたのは、兵庫県南東部に発令された大雨洪水警報の大きな雨粒。山口が倒れれば試合成立で、阪神の降雨コールド勝ち。たまらずベンチを飛び出した星野監督が、怖い形相で真鍋球審に中断を迫った。 「オレは投手をやっとったから分かるが、あの状況では投手が気の毒やろ。オレがよっさん(の立場)でも抗議しとる」。これが本当のありがたメイ惑! その間冷たい雨に打たれ続けたメイのイラ立ちは、頂点に達した。 「早くやらせろ!」。滑り止めロージンを土砂降りのマウンドに叩きつける暴挙に、ベンチはあわてて代わりを届けた。だがメイは一塁平塚が差し出すタオルも拒否し、真鍋球審に吠え続ける。一度切れた集中力は、二度と戻らなかった。 大雨の中でゲーム続行。山口にあっさり四球を与えたメイは、続く久慈にも四球を与えて2死満塁。「スリップする。砂を入れてくれ」。悲痛の叫びを上げたメイに、たまらず吉田監督までマウンドへ。だが球場職員がマウンドを整地しても、気は静まらない。 続く立浪にも1球もストライクが入らず、同点の押し出し。さらに山崎にも決勝の押し出し四球を与えた時、皮肉にも警報から注意報に変わった大雨はピタリとやんでいた。これが天が虎に課した試練か…。中日の得点もこの2点だけとまさに無情、非情のスコールだった。 星野さんのしたり顔「悪夢みたいな感じでしたな。あの後、彼はベンチから離れず、頭を抱えてましたわ」。借金も最多の12に逆戻りした吉田監督も、運のなさを嘆いた。一方の星野監督は「結果的にこっちが正解やったな」。2夜連続白星を“もうけた”敵将のしたり顔が、恨めしかった。 <写真=星野パフォーマンスに負けたメイ。5回激しくなった雨に「中止したらどうなんだ」と星野監督は猛抗議。マウンド上のメイは雨としぶとい抗議にプッツン>
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