Tigers

98年タイガース戦跡



第53戦(6月20日)藪とリベラでヒヤヒヤG倒

甲子園
巨 人
阪 神
 【勝】 藪  【S】リベラ 【敗】 趙

藪  「頼んだっ」。日本語が通じないリベラに藪が、一声かけずにいられなかった。9回表、1死満塁。修羅場のマウンドをリベラに託し、藪はベンチで祈った。

 リベラは広沢に右犠飛で1点差に迫られた。一打同点のタイトロープ。しかし、45日ぶりの「あと1球」コールの中、代打吉村をチェンジアップで仕留めた。甲子園連敗をストップするウイニングボールが新庄のグラブに収まった。5月6日以来だ。チーム6連敗、何より本拠12連敗で、黒星を止めた。

 久々、甲子園のお立ち台、乗るのはもちろん帰ってきたエース藪だ。「W杯もありますが、甲子園のファンを喜ばせられてよかった」。午後8時56分のゲームセット。サッカー日本代表の応援の前に、藪のセリフに拍手を送り、猛虎の勝利の余韻にひたった。そして、「六甲おろし」だ。

 寝違えて、左背筋を痛めた。登録抹消したのは、今月4日。プロ5年目で初めての戦線離脱は、エースと呼ばれる男に重くのしかかった。「2週間も休んだから、やらねばと思った」。自宅で見る、ナイター中継。トラはもがいていた。「巡り合わせなんだけど…。やはり気になりました」。ゲームが終わると、衛星放送にチャンネルをかえた。サッカーW杯の映像をながめ、野球のせつなさをまぎらわした。

 ブランクは無駄にしなかった。小山コーチに言われた「緩い球」を、リタイア期間にマスターした。「球種は内証です。巨人の打者に聞いてください」。試合後に煙に巻いたが、それは3年前にもトライした「パームボール」だ。球速を殺した変化球が、急所でG打線を惑わした。

 8回まで無四球の安定感だった。バックの好守もあり、三塁を踏ませなかった。だが、藪は言った。「まだ期待にこたえてないです」。最終回、リベラのリリーフを仰いだ甘さを責めた。

 藪の好投で、リベラも燃えた。前回18日の横浜戦で救援失敗した時とは別人だった。「負けたことは考えない。毎日ベストを尽くすからね」。借りを返す6月初セーブ10SPを、リベラは平然と言いきった。

 「明るいです。藪はローテーションの軸ですから」と吉田監督。復活したエースと守護神のリレーで、トラは2リーグ分裂後、通算対巨人戦499勝目(703敗51分け)を挙げた。死ぬのはまだ早い。大台リーチの白星は、どん底でも輝きは変わらない。

<写真上=久々の登板も、頼りになります。見事に連敗を止める好投を見せた藪は、ファンにガッツポーズ>

(21勝32敗)


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