98年タイガース戦跡 第47戦(6月10日)甲子園ワースト10連敗
【勝】ガルベス 【敗】吉田豊
虎完敗の瞬間、ライトスタンドから男性ファン3人がグラウンドへ雪崩れ込んだ。これがせめてもの“気晴らし”か。外野芝生を走り回って警備員が取り押さえるまで、場内は騒然となった。ファンへの厳戒態勢が敷かれる甲子園にあっては、珍しく異様な光景。それほどイライラも、頂点に達した歴史的1敗だった。
マンモスで勝てない。六甲おろしが歌えない。ついに甲子園10連敗。戦前にもなかった62年の球団史の中に、新たな「汚点」を残してしまった。5月6日の中日戦を最後に、甲子園白星はもう1カ月以上ない異常事態だ。札幌での横浜戦連勝で波に乗りかけた矢先、吉田監督も頭を抱えた。「意識はしてませんが、勝てませんなあ。地元で…。記録? はあ、そうですか」。屈辱を圧し殺し、声を絞り出した。 これが“鬼門”の恐ろしさか。1ー2で迎えた4回2死二、三塁。吉田豊の直球は魅入られたように、ド真ん中へ。何と投手ガルベスに2点中前打を許し、試合は決まった。「投手に打たれたら話にならない」。移籍初黒星の吉田豊は吐き捨てたが、打線も不発。平塚復帰、桧山&新庄のWスタメン落ちなど、今季34通り目の新打線もガルベスに沈黙した。福本打撃コーチは「ガルベスはストレートに力があって、平塚も差し込まれていたなあ」と7安打2点で脱帽。借金は7となった。 ファンは敏感だ。6回仁志に浴びた6点目のダメ押し犠飛で、客はゾロゾロ席を立ち始めていた。「ワールドカップの方が気になるしねえ…」。まだ4回も攻撃があるというのに、会社の同僚3人とやって来た中野耕一さん(30=会社員、大阪市)はテレビ観戦のため一足早く家路へ。サッカーに食われても仕方ない。 甲子園では11日から4連戦が続き、不名誉記録更新の重圧もかかる。「意識はないと思うけど…。思わないでおこうと思ってる。みんなそうだと思う」。選手会長八木は自分に言い聞かせるよう言った。このままでは、六甲おろしも忘れてしまう。 <写真=本拠地でついに10連敗、よそで勝っても、われらが甲子園で負けとったらあかんでとゲーム終了後にファンがグラウンドに乱入、悲しい結末や> (20勝27敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報] ![]() |