Tigers

98年タイガース戦跡



第46戦(6月7日)八木サマ復活の一撃

7日・札幌
阪  神
横  浜
  【勝】川尻 【敗】斎藤隆
八木  10メートルを超える逆風を突いて、八木の打球はグングン伸びた。弾丸ライナーは左翼頭上を越えてフェンスへドカン。弾ける白球を追う鈴木尚をアザ笑うかのように二走坪井が、そして一走今岡までがホームを駆け抜けた。八木だ。ここ一番はやっぱり八木だ。1点リードの6回1死一、二塁。「あの逆風の中、貴重な2点でしたで」。吉田監督もベンチから身を乗り出した神様の一撃が、負ければ最下位転落の危機を救い、虎を連勝街道に乗せた。

 「最近いい場面でヒットが出てなかったからね。何とかしたかったんよ」。二塁ベース上、八木は思わず照れ笑い。一振り稼業から“お家の一大事”に4番を任され6試合目。「ちょっと疲れ気味やったかな」と福本打撃コーチが言うように、さすがの神様もここ2試合ヒットがなかった。もう神通力も消えたのか…。そんな矢先の12打席ぶりの快打だった。

 得点圏打率もチームトップの4割6分6厘に上げた一撃は、8日に33歳となる自らへの前祝い。2日連続北海道の青空に響いた六甲おろしが、最高のバースデーメロディーとなった。「これをきっかけにドンドン打ちたいね」。北の大地で神様復活。だが八木にとって、6月7日こそが特別な一日だった。

 この日は2年前に亡くなった父章さんの三回忌。法要は岡山の実家で営まれていた。当時八木は右肩を痛めた上、左ヒザ故障で一年間の二軍生活。キャッチボールから野球のイロハを教えてもらった父に、今のような雄姿を見せることなく「心配をかけたまま」の別れだった。あの日以来誓った完全燃焼。「グラウンドでの活躍がオヤジへの一番の供養です」。天国の父へ捧げた、こん身の一振りだった。

 これで北海道シリーズは4連勝。「でもここでは前にものすごく負けてますやん」。吉田監督は第1次政権に始まる1976年から「16連敗」の悪夢を苦笑するが、投打の歯車は確実にかみ合ってきた。初回は3番2試合目のパウエルが連日の先制適時打。先発川尻が踏ん張って3、4番が打つ理想的な形での完勝だ。最下位まで1差。だが、首位までもまだ6G差。

 「先発がしっかりしてくれてるんで、チームもこれから上がって行けると思う。ドンドン勝ち続けたいね」。最後に選手会長はキッパリ。9日の巨人戦(甲子園)からの6連戦では、まず本拠地9連敗を止める。北の大地で虎がよみがえった。

<写真=やっぱりアンタが頼りです。2点二塁打の八木は、札幌のファンの祝福にこたえる>

(20勝26敗)


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