98年タイガース戦跡 第33戦(5月19日)弓長右足つけ根故障
【勝】ガルベス
本心は「ピッチャー弓長」と告げたかった。同点に追い付いた7回裏、打者松井…。吉田監督が起用したのは右投手の井上だった。「弓長が腰が痛い、足が痛いと言うんで、使えなかったんです」。この緊急措置が、ゲームの流れをかえた。井上は松井、清原に連続二塁打を許し、あっさり決勝点。そのまま阪神は敗れた。
弓長はブルペンでモニター画面を、黙って見つめていた。虎投一軍12人の中で現在ただ一人の貴重なサウスポーはこの日、アクシデントに見舞われた。 福岡ドームでの練習中。外野で投手陣がダッシュを始めるとき、弓長だけがスパイクをまとめてベンチ裏に引き上げた。トレーナー室でマッサージを受け、ブルペンにこもった。猿木チーフトレーナーによれば「アップの時に右足親指の付け根が痛くなったそうです。ブルペンでランニングしてみたら大丈夫でしたが、投球ではおかしかった」と故障が発生していた。。今季15試合で防御率0・01の弓長だけにマウンドに立てない無念さはなかなか言葉にはできない。「万全ではない? ボクが言えることはありません」。試合終了までブルペンにいた弓長は、言葉少なにうつむいた。 4対3と1点リードの6回裏も弓長投入のタイミングだった。直前の攻撃で先発川尻に代打を送った。巨人の攻撃は左の高橋からで、2番手は郭李。ここ4戦で3試合目となる右腕は、一人相撲で勝ち越しを許した。 四球と失策で2死満塁。それでも後藤を一、二塁間のゴロに仕留めて、チェンジのはずだった。一塁ベースカバーに入った郭李に和田からの送球…。完全にアウトのタイミングで、ボールは郭李のグラブからこぼれた。「走ったんだけど…悔しい」。自らのキャッチミスで、逆転勝ち越しの2点を与えた。 「若手に修羅場を乗り越えてほしかったのですが」と吉田監督。8回には新人山岡が松井に2ランを浴びた。経験の少ない投手に頼るしかなかったのが悲しい。 最悪、弓長が離脱となれば、代わりは古溝か江坂の昇格。二人とも一軍で打ち込まれて登録抹消された左腕だ。クリーク、メイの昇格には時間がかかり、左肩痛の田村は復帰のメドさえ立たない。単なる連勝ストップ以上に、サウスポー欠乏症の重い影がトラにのしかかってきた。
<写真=6回2死満塁のピンチ、後藤のセカンドゴロでベースカバーに入った郭李が和田の送球を落球し逆転される> (15勝18敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報] ![]() |