Tigers

98年タイガース戦跡



第24戦(5月5日)新守護神、リベラ初星

【勝】リベラ【敗】川上
中  日
阪  神

リベラ  リベラはアナウンスの前に、ブルペンから第一歩を踏み出していた。マウンドに向かう2メートルの大男に、スタンドがどよめく。「え、まだ8回やで…」。それはすぐさま、期待の大歓声に変わった。「ピッチャー、リベラ」。お決まりの9回まであと1イニング。でも、守護神の“降臨”は今しかない。

 2点リードの8回、先発藪がつかまった。連打で無死一、三塁。「だれが1回だけと決めたんだ! 台湾でもメジャーでも、2回くらいは投げてきたさ」。前日4日には中継ぎ陣が総崩れ。リベラにバトンを渡せぬまま、広島に逆転負けしていた。連敗中のベンチも、もちろんリベラ自身も、未体験ゾーンへの突入にためらいはなかった。

 が、守護神の心意気は空回りして、ゲームはここからうねりまくった。李の右犠飛、立浪の右翼線二塁打でまさかの同点―。「あれだけ走者がいて…苦しい場面でした」と吉田監督。その裏、今度は勝ち越しの舞台をリベラが呼び込む。今岡を一塁に置いた、来日初打席。小さく体を屈めた4球目に、投手川上の前にバントを転がした。「2回ファウルの後に、よう決めよった」(福本打撃コーチ)。本西の決勝打はベンチ前で、2イニング目に向けたキャッチボールをしながらしっかり見ていた。

 最終回。苦しんだ割に最後の9回はあっけなかった。関川に内野安打を許すが、山崎を右飛。来日最多の25球目はライナーで二塁今岡のグラブに収まった。関川が戻れずに併殺。「あと一人コール」を聞く間もなく、試合を決めた。防御率0・01を守り、初勝利を手にした。

 実は「1回限定」の解除される日を、リベラは待っていた。雨天中止となった2日の練習で、30球の投げ込み。「何日も投げない方が、実戦で困るんだ」。リリーフ陣としては異例の休日ピッチングも、リベラにとっては当たり前のこと。

 「勝つ試合は苦しい。でもこれが経験になるんです」と吉田監督は冒険でつかんだ1勝をかみしめた。「1回以上でも、必要があれば行くぜ」。当然といった顔でベンチを出たリベラは、通路の報道陣をさえぎって、ベンチ裏のウェンディ夫人とデニスちゃん、ジェシカちゃんに笑顔をみせた。日本での「子供の日」。先月下旬に来日した4歳と3歳の姉妹に特上の贈り物をしたパパは、気が付いていなかった。5月反攻にかけるトラにとって、2回まで抑えられるリベラの存在は大きい。

<写真=こどもの日にパパからでっかい贈り物、来日初白星に大喜びのデニスちゃん、ジェシカちゃん(手前から)とウェンディ夫人(左奥)に囲まれ、幸せそうな笑みを浮かべるリベラ>

(11勝13敗)


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