98年タイガース戦跡 第18戦(4月26日)八木G倒お返しV打
マンモスが地鳴りのように沸いた。溜まりに溜まっていたウッ憤を吐き出すように黄色いメガホンが乱打され、激しく揺れた。前夜の記録的大敗に続き、負ければ地元甲子園で屈辱のG戦3連敗。だがこの男の一振りが一瞬にしてすべての暗雲を切り裂き、勝利を呼び込んだ。八木だ。またも八木だ。代打の神様は、やっぱり裏切らなかった。 まだ4回の0―0。だが1死満塁のチャンスに、吉田監督はベンチを飛び出した。「迷いはまったくありません。あそこは当然、勝負所です」。今季最も速い4回の八木起用。しかも二人しかいない捕手矢野に代打…。外れた時の、ショックは計り知れない。それでも指名された指揮官の信頼に、八木は燃えた。「攻める監督なんで、代打の出番は、だいたい分かるようになりました。チャンスで打たせてくれるのがうれしいんです」。 勝ったのは執念。斎藤雅の外角カーブに食らいつき、バットを折りながらも中前へ運んだ。三塁走者平塚に続き、二塁の大豊まで巨体を躍らせ決勝のホームを駆け抜けた。「昨日、おとといと悪い流れだったんで、何とかここでチームのムードを盛り上げたかった。きょうは絶対落とせないゲーム。気持ちで打ちました」。一塁ベース上、照れ笑いを浮かべた勝負師に5万大観衆は万歳、万歳の大合唱を贈った。 一枝ヘッドが「様様や!」とうなった代打成績は、これで11打数5安打8打点1本塁打。驚異の代打率は4割5分5厘まで跳ね上がった。福本打撃コーチはいう。「単にベンチに座ってボーッとしてるだけやない。見て、しっかり配球を読んでるよ」。今季初のV打点は、この日変化球主体の斎藤雅を読み切り、「頭にあった」というカーブを叩いての快打。それは今季ベンチで最も大声を出し、チャンスもピンチも声をからしている選手会長が体で示した「一丸野球」の手本だった。 「きのうのきょうで、ホンマ大事なゲームでしたわ。そのことは試合前に選手にも伝えましたけど、八木がホンマよう打ってくれましたわ」。またも神がかり的サイ配をズバリ的中させた吉田監督も大絶賛した。勝つと負けるでは天国と地獄の一戦を制し、一夜にして5割復帰だ。さあ、あすからは昨年胴上げの屈辱を味わった神宮でヤクルト叩き。虎が再び、上昇気流に乗った。 (9勝9敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報へ] ![]() |