98年タイガース戦跡 第17戦(4月25日)巨人戦史上初の初回9失点
神聖なグラウンドに残飯と丼の器が飛び散った。コロコロ転がる瀬戸物の器を、ナインは正視できなかった。2回表、宿敵巨人に10点目を献上した吉田阪神のベンチ前…。ボクシングのTKO負けを宣するタオルのように、トラファンが試合を見捨てた瞬間だった。 甲子園は今季初の5万5000人だった。4月では異例の大入り満員。燃えるはずの伝統の一戦で阪神は、今季ワーストの13点を失なった。ミジメなやられっぷりに、吉田監督は試合後、ひたすらザンゲした。 「超満員のお客さまが入ってくれたのに、申し訳ない大敗。1球の重さを教訓にせなあきまへん」。1回裏の攻撃に入る前に、すでに9点を失った。対巨人戦では史上最悪となる屈辱的な失点だった。 原因をたどれば、チームリーダーのミスがきっかけとなった。先発クリークが2点を失い、来日最短となる2/3でKO。それでも2死一、二塁で、2番手山岡は川相をセカンドゴロに仕留めた。「やれやれ…」のムードが漂った瞬間、和田がこの打球を握りそこなう! 「大事にいった? いや、とらないかん打球だった…」。3回までで交代した和田は、小声で話した。それもそのはず。このタイムリーエラーから山岡と3番手古溝が、何と6連続安打を浴びる大崩れ。普段は降板投手にも拍手を送る“温かい”甲子園のファンが、完全無視する白けムードになった。 2回の3失点でドンブリ攻撃。最終回に中継ぎエースの伊藤までが“病み上がり”の代打清原に2号ソロを打たれ、試合後はこれでもかとメガホンが降り注いだ。打線は2点を返すのがやっと。殴られっぱなしのG戦連敗に、ファンのいらだちは頂点に達した。 「貴重な1敗です。ペナント(レース)にどう生かしていくかです」と吉田監督は、自らに言い聞かせた。6連勝の上昇気流が消えて、借金1とトラの正念場。このウップンを晴らすには、G倒以外に説得力はない。
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