98年タイガース戦跡 第12戦(4月18日)9回2死から炎の大逆転!
1点ビハインドの9回表2死二、三塁。カウント2―3。あと一球の土壇場から、試合をひっくり返した。巨人の守護神・野村が投げた7球目の132キロスライダー。「抜けていった時は、本当にうれしかった」。年俸4900万円の4番が見せた意地が、オリックスの元同僚の野村の気迫を上回った。9―8。驚異の粘りに、レフトスタンドの虎ファンが総立ちになって、万歳を繰り返す。実に痛快な、そしてそう快な大逆転劇だった。 興奮していたのは、ファンや選手だけではなかった。吉田監督のノドもカラカラに乾いていた。「えらい試合でしたな。ちょっと、(話することを)まとめてきますワ」。水をグイッとひと飲みしてから、報道陣の輪に入った。 悩みに悩んで方針を変更したのは15日のヤクルト戦(甲子園)だった。それまで9試合、辛抱して使った不振のパウエルをベンチに下げ、新4番を平塚に託した。そんな吉田監督の期待に、平塚はバットでこたえた。絶体絶命の状況下を跳ね返した力は、これまで控えでじっと我慢してきた男の意地でしかない。「しんどい場面? 試合に出られない悔しさに比べたら、9回の緊迫感なんてどうってことないワ」。平塚にとっては、やっと回ってきたチャンス。横浜、オリックスと渡り歩いてきた苦労人だからこそ、簡単に手放すわけにいかない。技術でなく、気迫で放った逆転打。だからこそ、2倍も3倍もうれしい。 4本の3ランが飛び交った打撃戦。「押して、押して、押しまくりますわ」。東上前に宣言していた通り、攻めダルマに戻った吉田監督の執念が実った。新打線を組んで出直してから3連勝。久万オーナーの「巨人には絶対勝て」指令を守って、5割復帰まで残り借金は2。猛虎打線が復活した虎に、もう怖いものはない。 (5勝7敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報へ] ![]() |