98年タイガース戦跡 第11戦(4月16日)逆転今季初連勝
2点を追う7回裏だった。1死二、三塁から代打桧山が四球を選んで満塁となる。ベンチを小走りに出た吉田監督は、坪井を呼び寄せた。「あの交代でっか? 当然のことです。全員でやると、ことあるごとに言ってますんで」。吉田監督は迷わず、切り札の背中をたたいた。 ドリスキルとは初対戦だ。八木には「資料で持ち球は知っていたが…」ほどの準備しかなかった。だが、昨季、代打で4割5厘、17打点と打ちまくった集中力がみなぎっていた。「毎度、得点圏に走者がいるんだよ。集中力だってつくよ」。 初球から打ちにいった。ファウル。「四球の後で、狙っていた高目だったから」と気にしなかった。2球目の外角スライダーを見逃しての3球目。同じ軌道のスライダーを叩きつけた。前進守備のショート右横を抜けた。2者を返す同点タイムリーに、前夜以上の歓声が八木を包んだ。 しかも…。まさにラッキー7だ。7回裏のミラクルが、この一打から起こった。一塁走者桧山が、強引に二塁ベースを蹴って三塁に向かった。無謀か。センター飯田の送球が追い掛けてくる。と、ベース手前で桧山と交錯した白球がファウルゾーンに転がった。これで桧山は逆転のホームイン。切り札投入がズバリとはまり、怖いぐらいの痛快劇だ。 八木は神がかりだ。前日は和田で、この日は坪井。代打八木は1、2番の上位打者に対して送られた。「前の桧山の四球が大きい。一気にいく場面でした」と一枝ヘッドコーチも流れを感じていた。何より八木が「メチャメチャ燃えていた」とこの時を待っていたのだ。 今季初の連勝。それも昨季20敗した苦手ヤクルトをたたいた。「苦しいスタートでしたので、勢いをつけていきます」。吉田監督の反攻宣言にも、力がこもった。これで借金は3に減った。開幕ダッシュ失敗の後遺症を、ベテランのバットが振り払った。 (4勝7敗) [98タイガース戦跡目次] [阪神情報へ] ![]() |