Tigers

98年タイガース戦跡



第7戦(4月10日)大豊、3安打3打点

【勝】中込【敗】ミンチー
広 島
阪 神

投打のヒーロー中込(右)と大豊はファンの声援に応えながらガッチリと握手
中込と大豊
 眠っていた男を、甲子園が呼び覚ましてくれた。大豊がマンモスで生き返った。地元本拠地での今季開幕戦。お立ち台に上がった背番号55は、虎ファンの拍手を全身で受け止めていた。

 「やらねばならない、という責任感がありました。チームの状態も今イチ乗れてなかったので、今日は本当に良かった」

 口火を切ったのは2回だった。広島に1点先制された重苦しいムードを、悩み続けた男が振り払った。「気持ちで打ったよ」。ミンチーの外角シュートをバットの先端で捕らえ、左前へ。2人を迎え入れた。3回には101キロのチェンジアップに泳ぎながら、残ったバットと意地で5点目を弾き出した。8回の右前打加え、3安打3打点の大活躍。タテジマ初の猛打ショーだった。

 「ちょっと話を聞いてくれませんか。実は一本足をやめようと思ってるんです」。大豊が一枝ヘッドの部屋をノックしたのは、名古屋へ移動した7日の深夜のこと。名古屋に自宅がある大豊は、同地での遠征はチーム同宿を免除されている。しかし自宅へは戻らず、悩みをぶちまけた。玄関を開ければ2人の子供が争って太い腕にぶら下がってくる。時間を許せば幼稚園の送迎をする子煩悩な男。単身赴任の大豊にとって、家族と合うのは何よりの喜びだ。その時間を裂いてまで探していたトネンル脱出のカギを、ようやく見つけた。

 「大豊がいいところで打ってくれました。練習して、練習して、練習して、結果はいつか出ると思ってました」。吉田監督もほめちぎった。5番から7番へ降格したのは、元キングの意地を期待したからだった。打つべき人が打てば、チームにも勢いが出る。大豊効果でイケイケ攻撃に便乗したハンセンが「久しぶりに甲子園に帰ってきて、大勢のファンの前でいい仕事ができたよ」と、3回に左適時二塁打。その直後には、新庄が広島守備陣の連係の乱れを付いてホームへヘッドスライディング。虎ファンで埋まったスタンドは、万歳万歳の連呼が続いた。

 「ホームグラウンドですし、選手の気持ちも、勢いといいますか、グワァーとしたものを感じました。久々にノビノビやったんと違いますか。何か感じながらやってたと思います」

 吉田監督もマンモスに感謝した。センバツ高校野球のため、オープン戦中盤から離れ、実に26日ぶりの甲子園。5年連続黒星が続いていた地元開幕もストップした。まだまだペナントレースは始まったばかり。日本一の球場で、虎が最高の再スタートを切った。

(2勝5敗)


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