98年タイガース戦跡 第2戦(4月4日) 今は「忍」の一字
新打線への期待が大きかった分だけ、“裏切られた”ショックは大きい。完敗の瞬間、満員の左翼阪神ファンから一斉にメガホン、弁当の空箱が投げ込まれた。ナインが乗り込むバスの前では、「ふざけるな!!」と殴り書きされた段ボール製横断幕までお出迎え。その前を「きょうは何も話したくありません」という檜山をはじめ、大豊、新庄らが無言の行列を作った。 まさか、まさかの開幕2連敗。しかも相手は昨年17勝とお得意さんだったはずの横浜…。オープン戦の打線爆発がウソのような沈黙ぶりに、ファンのイライラは頂点に達していた。 ヒットは出た。だがここ一番でつながらない。一枝ヘッドがうめく。「重量打線はハマればすごいが、外れると歯止めが利かなくなるわな」。初回無死満塁ではパウエルが三塁ゴロ併殺。6回無死二塁、7回1死満塁の絶好機はそれぞれ2番檜山以下、ハンセン、パウエル、大豊、新庄が音無しで無得点…。やっと出た8回のパウエル1号は無走者と、これ以上ない効率の悪さ。結局横浜を上回る9安打もわずか2得点のチグハグぶりだった。 「初回やねえ。(先発の)三浦は良くもなかったし、一気に行かんとアカンわ。それが今年のウチの特徴でもあるのに…」。前日の1安打完封負けに続く完敗に、吉田監督も頭を抱えた。自ら「今年のキーマン」に指名した檜山、大豊、新庄はまだヒット1本すらない。特に大豊は7打数4三振と季節外れの扇風機状態だ。一方で代打出場の平塚が2安打、オープン戦5割以上の7番山田が猛打賞…。 打線組み替えか? だが吉田監督はキッパリ言い切った。「信頼してもう少し使います。1試合や2試合で変えていたんでは、信頼関係も何もありません。当分、このオーダーで行きますわ」。それは自らに言い聞かせる呪文のよう。あるのは「忍」の境地か。だがもし、きょうも完敗で3タテを食らえば…。 「とにかく、前向きに行こうや!」。試合後の宿舎ミーティングで飛ばしたゲキは一言だけ。ただジッと耐え、“春”を待ちわびる指揮官。いきなり立たされた序盤の正念場で、果たして孝行息子は現れるのか…。
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