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阪神広沢引退「星野監督に迷惑かけられぬ」

 球界最年長41歳のベテラン広沢が「日本一」を花道にユニホームを脱ぐ。阪神広沢克実内野手が、今季限りで引退の意向を固めていることが22日、分かった。19年目の今季はシーズン終盤に活躍。体力にはまだ自信をもつが、常勝軍団を目指すチーム編成などを考慮し決断した。日本シリーズを最後の舞台に現役に別れを告げ、引退後は野球解説者の道へ進む。

やる気は満々…でも潔くタテジマ脱ぐ

 いぶし銀の活躍で甲子園を沸かせた広沢が、タテジマを脱ぐ。優勝を決めた15日以降は、1軍登録を抹消されて、日本シリーズに向けて2軍で調整中。広沢自身、巨人時代の96年以来7年ぶりに臨む大舞台を最後に、現役に別れを告げる意向を固めた。

 この日、広沢は来季に関する取材に「来年もやる気は満々です。でも、決めるのは監督。これから監督と相談します」と明言は避けた。だが親しい球団関係者には「まだやりたい気持ちもあるが(チーム編成上)迷惑はかけられない」と話している。明大の先輩である星野監督にも「来年、もしふがいない成績で終わるより、優勝を花道にした方が」という考えがあるという。監督の温情、年齢、世代交代の波を考慮した上で引退の結論に至った。

 体力的な自信は失っていない。打撃練習ではアリアスに並ぶ「飛ばし屋」ぶりで「若いやつは何をやっとるんやろな」と星野監督を笑わせた。浜中、桧山、片岡とケガが続き4番不在となった8月末は、八木とともにその穴を埋めた。特に8月28日の巨人戦(甲子園)では、2打席連発を含む3安打6打点と爆発し、2年ぶりのお立ち台にも上がった。

 ただ、その試合後も「目の衰えは感じる。視力じゃなく動体視力がね。0・0何秒の世界で戦っているわけだから『きょうはボールが見えるか』という不安はいつもある。でも大丈夫。オレには経験があるから」と打ち明けた。ひっそりと忍び寄る「衰え」を感じ始めた。それも現役を退く要因のひとつになったのは、間違いない。

 渡り歩いてきたヤクルト、巨人、阪神の3球団で4度の優勝を経験した。豪快な打撃に加え、阪神に移ってからは、そのキャラクターも愛された。2年前の8月29日、巨人戦で決勝アーチを放ちお立ち台に上がったときは、公約通り「六甲おろし」を独唱。ファンだけでなく、その明るさはベンチも盛り上げた。

 引退後は、星野監督も解説者を務めたNHKで野球解説者の道を歩むことが濃厚。だが広沢には大きな目標が残っている。「今は日本シリーズのことしか考えられない」。8月28日のお立ち台で広沢は絶叫した。「きょうは六甲おろしは歌いませんよ。日本シリーズで優勝したときにやりましょうや!」。リーグ優勝を決めた今月15日の甲子園。星野監督がインタビューを受ける間、広沢は一塁ベンチ前に並んだナインの1人1人と熱い握手と抱擁を交わした。それは広沢なりのナインへの感謝の儀式だったのかもしれない。そして最後は、ファンとの約束を胸に、日本シリーズで完全燃焼するつもりだ。

 ◆広沢克実(ひろさわ・かつみ)1962年(昭37)4月10日、栃木県生まれ。小山から明大入学。リーグ戦通算18本塁打、84年のロス五輪で金メダルを獲得。同年ドラフト1位でヤクルト入団。タイトルは91、93年に打点王、ベストナイン4回。94年オフにFAで巨人に移籍したが、99年オフに自由契約となり阪神に移籍した。185センチ、99キロ。今季年俸は4200万円。家族は誠子夫人と2男。


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