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星野監督笑顔の抗議、疑惑の被弾も余裕1敗
何であれがホームランやねん! 左翼席のフェンスの前で見た虎党も、テレビでVTRを見たファンも首をひねった7回、横浜村田のホームラン。何であれがエラーやねん! 6回には守備妨害らしき疑惑プレーで1失点。2度も続けてと思いきや、星野監督は怒りません。「まあ、まあ、まあ」の大人のコメントは、さすがやなぁ。優勝目前、1敗ぐらいで大騒ぎするのはやめましょう。 4回は“守備妨害”に飛び出すもすぐ撤退怒れる闘将も笑うしかなかった。「2度も抗議に出たって? 今日散歩してなかったんや、オレ」……。2度にわたる疑惑判定。しかし優勝秒読みの阪神にとって既に怒り狂う状況ではない。一瞬の猛抗議の後、素早く引っ込む。甲子園を埋めた5万1000観衆にとっては星野監督の楽しめるパフォーマンスだった。 疑惑その1 2点リードの4回表。1死一、二塁から横浜ウッズは遊ゴロ。遊撃藤本、二塁沖原と渡り併殺でチェンジ…と思った瞬間だ。沖原が一塁へ転送しようとした球が滑り込んだ一走内川の挙げた右腕に当たった。ボールが転がる間に三走金城は生還。沖原、藤本が血相を変えて「守備妨害だ!」と笠原塁審に詰め寄る。そこへ星野監督が駆けつけ猛抗議だ。だがすぐに撤退。ファンの拍手を浴び、ベンチに下がった。 「4回の抗議? 沖原が(走者に)あんなに差し込まれとったらアカン。でも内川は大けがするぞ、あんなプレーしとったら。あれはファイトとは言わん。あんなことしとったらショート、セカンドに狙われるぞ。オレもこわいわ」 試合後の会見でも相手選手に警鐘を鳴らすだけで、判定には文句を言わなかった。 疑惑その2 7回表、先頭で打席に入った村田の打球は左翼へ。フェンスに当たり、跳ね返ったように見えたが、三塁の小林塁審の判定は本塁打。左翼金本は「あれが入った言うのはあの人だけや。マンガみたいな話。(間違いが)明らかなんやから覆してもいいのにな」とあきれ顔だ。 もちろん、再び飛び出した星野監督も身振り手振りを交え、厳しい表情で抗議した。だがこれも意思表示しただけですぐに引っ込んだ。「疑惑の本塁打? まあ、まあ、まあ、まあ…。見間違いはあるからね」。普段の厳しさとは裏腹にそう笑うだけだった。 最初のプレーは逆転負けのキッカケになり、本塁打はダメ押し点。普通なら顔面蒼白で怒るところ。だが星野監督は笑った。それもこれも優勝に揺るがぬ地位にいるからこそ。こんなところで逆上しても得るものは何もない。史上最多の観客数を達成した記念すべき日、不思議なゲームとして18年ぶり優勝シーズンの1ページを飾ることになる。 【高原寿夫】
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