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矢野V打!阪神3夜連続「サヨナラ劇場」 夏の甲子園はドラマチックだ。相手野手のエラーも誘発して星野阪神が3夜連続のサヨナラ勝ち。なんと22年ぶりの3戦連続サヨナラショーで2位浮上。球児に本拠を明け渡すまで甲子園でまだ8試合もある。劇的ドラマはまだまだ続く。
矢野、左足首痛おし強行出場…「メチャクチャ嬉しい」
総立ちのライトスタンドに向かって、矢野が駆けた。左足首には痛みがあった。もうそんなことは関係なかった。一塁ベースを突き抜け、そのまま外野の緑の芝を蹴った。「声援が後押ししてくれた」。何よりもまずファンと喜びを分かち合った。これは真夏の夜の夢か! 3夜連続のサヨナラ劇に甲子園が揺れた。 固い信頼が劇的ドラマを生み出す。9回裏。先頭の関本が三塁強襲の内野安打で出塁。続く矢野は星野監督のひと言に奮い立った。「ゲッツーでもいいから、思い切っていけ!」。セオリーなら送りバント。しかし、この土壇場で闘将から使命を託された。カウント2―0と追い込まれたが、逃げの気持ちは全くない。「苦しい状況だった。でもランナーをかえそうと必死だった」。9回表には1死満塁の大ピンチを強気のリードで乗り切っていた。3球目。叩きつけた打球は三遊間を破る。矢野の気迫がさらに幸運を呼んだ。処理を焦った左翼手の蔵本が打球を後ろにそらした。ボールが転々とする間に、一塁走者の関本が一気にホームを踏んだ。空っぽになったベンチ。ナイン総出で外野へ駆けるヒーローを追いかけた。 「メチャクチャうれしいです!」。お立ち台の上で矢野は絶叫した。張り詰めた神経を緩めた瞬間だった。実は、前夜25日の巨人戦でアクシデントがあった。9回裏のサヨナラ走者だったが、その走塁中に左足首をねんざ。痛みも腫れも残っていた。この日の試合前練習では、ティー打撃を数分行っただけ。それでも「大丈夫、大丈夫」と気丈に振る舞った。 矢野には責任があった。24日巨人戦で藪、桧山が負傷。診察を受け、球場に帰ってきた2人に「しっかり治して帰ってきてくれ」とメッセージを送っている。だからこそ、満身創痍(そうい)のチームを見捨てることはできなかった。4月13日の横浜戦(甲子園)で左肩鎖関節を脱臼した際には復帰に1カ月以上費やした。その間、電話でナインを励ましていた。「ケガしたヤツの気持ちはわかる。そいつらの分までやろう。出られない悔しさを考えれば…」。 意地もあった。中日時代の97年オフ。当時の星野監督から阪神にトレードに出された。矢野は「見返すつもりでがんばってきた」と話していた。志願の強行出場は当然。5回には同点の2点二塁打を放った。矢野はこの日、闘う集団の象徴となった。 ケガ人が増えるたびに、チームの結束力は強くなる。3戦連続のサヨナラ勝利は22年ぶりだ。星野監督は「もうサヨナラはええわ。勝ってくれればいい」と苦笑した。だが、首位巨人に食らいついていくナインに、確かな手ごたえを感じ始めている。ヤクルトが敗れ2位浮上。真夏の夜の夢はまだまだ続く。 <写真=9回裏無死一塁、幸運なサヨナラ打を放った矢野はアリアスに抱えあげられる>
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