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燃えたG倒!浜中14号サヨナラ弾 見たか巨人、これが猛虎魂だ。藪、桧山が傷つき倒れた。序盤は劣勢…。手負いの虎はそこから立ち上がった。緊急登板の投手陣が踏ん張れば、矢野がセーフティーバントを決め、今岡が同点打。仕上げは浜中のサヨナラ弾だ。5万観衆も酔いしれた浪花節ドラマ。まだまだ虎は死なない。
星野監督うならせた「輝いて見えたな」
高く右手を突き上げた。打球は左中間スタンドへ吸い込まれていく。「完ぺきだった。打った瞬間、ガッツポーズしました」。走りながら、浜中は思わずベンチに顔を向けた。興奮のナインの中で、星野監督はヒーローを凝視した。「輝いてみえたな」。24歳の右手が神々しく映った。サヨナラ14号ソロ。奇蹟だ。7月24日、甲子園に奇蹟が起こった。 浜中はプロ生活6年目で初めての決意をした。3―3の同点で迎えた9回裏2死。「イチかバチか、ホームランを狙ってやろう」。ベンチから伝わってくる雰囲気がそうさせた。「あの場面、僕に何を期待しているかと言ったら、ホームラン。自分で狙っていこうと思った」。強い決意はカウント2―3からの6球目まで続いた。135キロ真ん中へのスライダー。浜中のバットは完ぺきにとらえた。 猛虎は死の淵にいた。前夜の敗戦で貯金は「1」。首位巨人とのゲーム差は9・5ゲーム差に開いた。星野監督が口にしたデッドラインの10ゲーム差はすぐそこまで迫っていた。しかも、この日は序盤に信じられない光景が連続した。2回先発藪が左脇腹痛を訴え、急きょ、マウンドを下りた。その余韻も覚めないうちに、今度は右翼の桧山が飛球を追い、フェンスに左肩を強打。そのまま青ざめた表情でロッカールームに直行した。わずか1 イニング の間に、右のエースと主軸が姿を消した。星野監督は「嫌な雰囲気で試合が始まった。(主力2人が登録を)抹消だろう」。終戦の2文字が近づいていた。 そんな瀬戸際でチームは一丸となった。どうして踏ん張れたのか? 決して勝負を捨てない闘将の姿があったからだ。サヨナラアーチの浜中は言った。「監督自ら、声を出していた。ハッパをかけていたんです」。就任1年目のスローガンに「ネバー・サレンダー」を選んだ男はこの言葉を忘れてはいなかった。 そしてナインは「ガムシャラ」を取り戻した。1点差に迫った8回。先頭の矢野が意表をつくプッシュバント。「何とかしたかったんだ」。巨人仁志が二塁方向へ動くのを見逃さなかった。一、二塁間に転がし、失策も誘発。一気に二塁を陥れた。そして1死三塁で今岡だ。右翼線への同点タイムリー二塁打。この日、2本目の適時打は17度目の猛打賞を飾る。「みんなで勝ったゲーム。今季を象徴するゲームなんです」。試合後、今岡はまくしたてた。開幕時の結束力がナインを突き動かした。 最終回、星野監督も無心だった。同点だったが、独断でバルデスをマウンドに送った。「ええもん(投手)からいけ!」。この即決には、通訳も遅れて、マウンドに向かったほどだった。 甲子園での巨人戦連敗を「3」で止め、貯金ゼロを阻止した。星野監督は「明日勝ったら乗っていける。残っているもんで頑張っていかなアカン」。藪、桧山を失った。それでも虎は死なない。歴史に残る大きな1勝だった。 <写真=9回裏2死、浜中おさむ(中央)は左越えにサヨナラ本塁打を放ち大喜びするナインの待つ本塁へ万歳をしながら生還>
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