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「さすがエース」井川10勝

 井川の額に汗がにじんでいた。最大のヤマ場は3点リードの6回。1死一、三塁。1発出ればたちまち同点。マウンドで大きく息を吸った。こん身の力を込めた。外角低め142キロ直球で清原を浅い右飛。続く福井はオール変化球で、2―2からチェンジアップで空振り三振。珍しく帽子をとり、汗をぬぐった。

 絶対に譲れない一戦だった。負ければ貯金なし。同一カード3連敗。まして相手はルーキー真田だ。試合前の星野監督は「こっちは井川や! レベルの違いを見せる? そうや」と、井川にハッパをかけるように送り出している。序盤はボールが高めに浮いた。「調子が悪くて大変でした」。初回2死満塁のピンチは福井を一ゴロ。「1点入っていればわからなかった」(佐藤投手コーチ)が、エースの意地でしのいだ。8回を5安打1失点。昨季の9勝を上回る自身初の2ケタ10勝で、ハーラートップに並んだ。「去年以上の成績が目標だったんで良かったです」。

 2試合連続となる中4日での先発。「それなりに調整してきたんで」。前回の2日ヤクルト戦(神宮)での完封勝利後、首脳陣から指示を受けたのは「腸回復」だった。たくさん食べる。よくかんで食べる。井川は食生活の基本を忠実に実践した。エネルギー吸収を促進し、疲労回復を早めた。8回の123球目、松井に空を切らせた最後のボールは、この日最速の144キロ直球。疲れなどどこ吹く風だった。

 「さすがエースやね。よく粘った。最初はどうなるかと思ったけどね」。星野監督も井川をたたえた。もちろん、手放しではない。「俺は井川をもっと上のレベルで見ている。だから厳しくなる。阪神のエースなんて簡単。日本のエースにしたいんや」。いまや押しも押されもせぬ虎のエース。井川の進化はまだまだ続く。

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