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トラ惜敗も仙さん「川尻生まれ変わった」
川尻はふとつぶやいた。「神宮も変わったね」。連勝が3で止まった試合後、バスが待つ左翼スタンド奥までの道のり。敗戦にもヤジを飛ばすファンはほとんどいなかった。メガホンが投げ込まれた昨年とは違う。4月26日に登録を抹消されて以来、2度目の昇格だったが、前回の1軍滞在は中継ぎ扱いで10日間だけ。今季初先発のこの日、星野阪神の変ぼうを肌で感じた。そして川尻自身も変わっていた。 降板した6回まで4度先頭打者を出塁させる苦しい展開。昨年ならズルズル失点を重ねていた。しかし川尻は我慢の人だった。コーナーを突く丁寧な投球。特に左打者の外角低め直球がさえた。5回まで5安打打たれながら無失点で切り抜けた。「最低限の仕事はできた。次になんとかつなげようと思った」。打線の援護のない孤立無援のマウンドで粘りを見せた。 苦悩の日々があったからこそだ。ファームで好投しても、お呼びがかからない。先発陣が低迷した6月でさえも。それでも川尻は腐らなかった。「地道に投げていくよ」。鳴尾浜球場でこう話したこともあった。6月28日のウエスタン・ダイエー戦で5安打完封。地道な姿勢は33回 2/3 連続無失点となって表れた。 それだけに6回の失投が悔やまれた。無死一塁から4番ペタジーニに決勝2ランを浴びた。130キロ直球が真ん中に入った。「あの1発だけだ。自分なりの投球はできた」。6回2失点で初黒星もローテーション入りを決定的とした。 降板後、川尻はベンチで星野監督の叱責を受けた。「もっと慎重にいけ!」。しかしそれも期待のあかし。星野監督は「あれだけ投げとったらいいんじゃないの」と好投を認めた。昨オフはメジャー移籍問題で揺れた。1月24日の残留会見で川尻はこう言っている。「星野さんの下でがんばりたい。熱い野球をやってみたい」。遅れてきたサイドハンドがチーム再浮上の一端を担う。
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