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ムーア1安打完封「ビッグウインだ」
内野ゴロで16アウト
いつも以上に強かった。「ヘイ、ムーア、ナイスピッチング!」。快挙の代わりに、ナインが手を、肩を、腰を何度もたたいてねぎらった。中日のスコアボードには、きれいに9個の「0」。すぐ横の安打表示は「1」。ノーヒットノーランは惜しくも逃した。が、1安打完封勝利にチーム全員が過去4勝以上の祝福をくれた。「自分はゴロを打たせる投手。ノーヒッターなんて考えてなかったよ」。勝利の美酒が逃がした大魚を忘れさせた。 初回こそ2四死球とわずかに乱れた。が、2回以降は二塁も踏ませぬピッチング。最速143キロの直球で内角をえぐった。右打者の外にはチェンジアップ。左打者にはSSS(スーパー・シークレット・スライダー)。27アウトのうち実に16アウト(併殺1)を内野ゴロで取った。「内野手に感謝しないとね」とバックへのお礼も忘れない。6回、ただ1本だけ投手バンチに右前打を許した。しかし「バンチはグッド・ヒッターだから」と悔しさは見せなかった。 ホームベースの向こうに頼れる女房役がいた。「何が1番良かったかって? 矢野さんが戻ってきたことだよ」。5日広島戦の4勝目以来、2連敗中だった。前回19日中日戦は7回2失点と好投しながら敗戦投手。「他の捕手がどうというわけじゃない」とはいえ、勝てないもどかしさに悩んでいた。「トレイ、 リラックスしていこう」。この日の試合前、ブルペンで矢野が声をかけてくれた。サインに首を振ったのは、全115球で1球だけ。矢野への全幅の信頼が、快投を呼び、ムーアのトンネルにも光が差した。 矢野も試合中、星野監督に予言していた。「今日は大丈夫です」。ミットに伝わる感触を、援護の遅さを危ぐする指揮官に伝えた。予言どおりの完封劇には「0点で抑えてるのに文句言ったらアカンやろ」と闘将も苦笑いで脱帽した。 まだまだ、首位巨人の背中を見失うわけにはいかない。「引き離されないように付いていかないとね」。ムーアもこの試合の大事さを知っていた。「ビッグ・ウイン!」。助っ人の大号令で、猛虎の追撃が始まった。 <写真=1回裏1死二塁、福留の遊ゴロとなった打球に気迫いっぱいに飛びつくムーア>
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