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トラ「魔の8回」6失点…G倒奪首失敗 星野阪神にとって悪夢のようなシーンが展開されたのは8回だった。完封ペースの藪がつかまる。リリーフした福原も巨人の勢いを止められない。6失点で逆転負け。甲子園TG決戦の初戦を落とし2差後退。3連敗。甲子園6連敗。イヤな数字は22日、井川にすべて消してもらおう。
甲子園が悲鳴に包まれた。勝利を確信した矢先の8回、大どんでん返しが待っていた。悲劇の主人公は右腕エース藪。それは悪夢としか言いようがなかった。 8回。藪が突然、崩れた。先頭の代打斉藤に右前打、続く阿部にも左前打。さらに代打後藤に中前打を浴びて1失点。なお無死一、二塁と追い詰められた。打席はこの日2安打の清水。ブルペンでは左腕遠山も準備していた。しかしベンチは動かなかった。 星野監督 代え時? やっぱり、(7回まで)ゼロだからな。 藪は7回まで完ぺきの投球だった。4安打無失点。5回以降は3人ずつで、巨人打線を“料理”していた。リードはまだ2点ある。ベンチは続投を決めた。清水にストレートの四球を与え、代打元木に初球を引っ張られた。左翼ホワイトが懸命に飛び込むが、わずかに及ばない。打球が転々(記録は二塁打)とする間に、2人が生還。3―3。藪の勝ちが吹っ飛んだ。濁流に飲み込まれるかのように、リリーフした福原も炎上した。今季最多の1 イニング 6失点。約35分も続いた巨人のパンチの嵐に5万人観衆も声を失った。 中盤までは完全に虎ペースだった。首位陥落して迎える甲子園での伝統の一戦。38日ぶりに正妻矢野が合流し、ムードも最高だった。2回に今岡、斉藤の連続適時打で先制。3回に浜中の6号ソロでお祭り騒ぎとなった。残るは藪の完投ショーを見届けるだけ。まさに天国から地獄だった。 「負けたような気がせんな、なんか。もったいないと言えばもったいない。いい流れできとったし、いい感じで若いやつもいい仕事しとった。藪? 完投ペースのいい感じやったがな」 星野監督は試合後、薄ら笑いを浮かべていた。7回を終えて78球。藪の球数とブルペンの中継ぎ陣を比較して続投を決めた。結果は裏目と出たが、悔いはない。藪のプライド、左腕不足のブルペン事情…さまざまなファクターを考慮しての結論だったからだ。「リードしている間は投げたいもんや。現役時代、オレも交代はイヤやったからな」。これが投手出身の指揮官の持論。だから「仕方ないです…」とつぶやいてロッカーに消えた藪を星野監督は責めない。「こういう時もある。今までいいピッチングをしてくれたんやからな」。 首位巨人に2ゲーム差、3位中日には1・5差まで迫られてきた。逆転負けのショックは大きい。だが救いはつまらないミスで負けたわけではないことだ。「大丈夫や、うん」。会見の最後を締めくくった星野監督の言葉を、今は信じるしかない。
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