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藪633日ぶり勝ち星
知らぬ間に拳を握り締めていた。マウンドを降りながら、藪はガッツポーズを繰り返した。2度、3度…、何度も。「全然覚えてないんだ」。663日ぶりの白星をつかんだその時、頭の中は空白だった。 初めて披露した背番号「4」。藪は別人に生まれ変わっていた。初回の先頭石井琢との対決。2球目内角直球は胸元を突いた。この日最速145 キロ を計測。「気合だけは抜かないように投げた」。左打者へのクロスボールは全盛期の強気投球をほうふつとさせた。開幕に向け、完全習得したカットボールも効果的に使った。そして緩い球。同じ初回の3番鈴木尚は内角攻めの後、フォークで三振を奪った。これにカーブも加え、コンビネーションは抜群。6回まで二塁を踏ませなかった。中盤を終えたとき、星野監督のゲキが飛ぶ。「このまま完封しろ!」。ベンチは復活劇を完成させようと一体になった。 「長かったね」。藪は試合後、そうつぶやいた。最後に勝ったのは、00年6月8日。昨年は屈辱の未勝利。自分自身への怒りは相当なものだった。今年3月初旬のこと。選手名鑑に載った自らの成績を見ながら、こう言った。「この2年間の成績はボールペンで消しておいてくれ。俺は寝ていたんだ。眠っていたんだ」。登板前日の1日夕方には家族のいる自宅に電話した。「背番号4が早く見たい」。陰で支えてくれた祐基子夫人(34)の言葉が励みになった。さまざまな思いをこの試合にぶつけた。 完封は逃がしたが、6安打1失点の完投はチームをさらに加速させた。星野監督は「去年勝っていないのが信じられない。いいバランスで投げていた」。井川、ムーアとの三本柱完成を喜んだ。 藪の目に涙はなかった。「もっと先だよ」。優勝で感激の涙を…。藪は大きな目標に向かって歩み始めた。 <写真=1年10カ月ぶりの勝利を挙げた藪(右)は、矢野と抱き合って喜ぶ> <データセンター> ▼阪神藪が前回、勝利投手になったのは、00年6月8日の巨人12回戦(東京ドーム)だった。6回 2/3 を投げて3失点。打線の援護もあって6勝目をマークした。また、完投は同年4月27日広島5回戦(甲子園)で、4安打8奪三振で完封勝利となった。また藪が横浜戦に勝ったのは98年4月21日(甲子園)以来4年ぶりのこと。
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