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井川が完投G倒「あんたが最高」 井川が巨人打線を力でねじ伏せた。井川慶投手(22)が初めて開幕投手の大役を務め、6安打1失点の完投勝利を飾った。星野監督に白星をプレゼントし、ベンチ前で抱き合った。巨人相手の開幕戦完投勝利は星野監督と並ぶ巨人キラーだった平松政次(大洋)以来27年ぶりの快挙。阪神はエースで快勝し、最高のスタートを切った。
125球1失点…初の大役で上原に投げ勝った
ヒーローインタビューを終え、井川は後ろを振り返った。空になったベンチの前で、あの人だけが待ってくれていた。「うれしかった…。期待にこたえられた」。ほほ笑み、両手を広げた星野監督の胸に飛びこんだ。5秒の抱擁。闘将の目は心なしか潤み、無数のフラッシュで光っていた。22歳のサウスポーは白い歯を見せていた。井川がやった。11年間閉ざされていた開幕勝利という重い扉をこじ開けた。 ハッピーエンドは突然やってきた。2点リードの9回裏1死一、二塁。松井、清原に連打を許し、嫌な雰囲気が漂っていた。得点圏に走者を背負ったのは、この日4度目。球が高めに浮き始め、明らかに疲れが見えていた。ピンチで迎えた7番阿部。バッテリーの気持ちは揺るがなかった。「打てるものなら、打ってみろの気持ちだった」と捕手矢野は言った。これが2人のキーワード。カウント2−0と追い込み、土壇場でも攻めの投球は忘れなかった。 3球勝負。高めに浮いた126 キロ スライダーを、阿部がとらえる。ショート藤本がライナーを弾くも、落ち着いて二塁封殺。あわてて三塁に向かった松井を狭殺プレーでしとめた。井川は「危なかった。運がよかった。藤本さんのトリッキーなプレーに助けられた」と予想外の幕切れに驚きの表情を見せた。紙一重の場面だったが、井川がテンポのいい投球を貫き、藤本の好守を生んだ。12年ぶり勝利に必要だった運をも引き込んだ。 開幕投手は1週間ほど前に佐藤投手コーチから告げられた。「ヨシッ、投げる日が決まった」と井川流の表現で初の栄誉をかみしめた。そして真っさらなマウンドへ。「最高でした」。感激はここまで。観衆5万5000人の異様な盛り上がりにも「大丈夫でした」と冷静だった。初回に最速145 キロ をマーク。先頭の二岡、仁志を連続三振に斬り、勢いに乗った。 平常心で投げるために、井川はキャンプ中、何度も同じ行動を繰り返した。他の選手よりも、30分早く宿舎を出た。温水プールで体を温め、ケガを予防するため。投手陣で毎日続けたのは、ルーキー安藤と2人だけだった。ブルペンでも、決まって最後に投球練習。他投手にペースに惑わされることなく、調整した。 これで完全にGキラー襲名だ。この日は巨人クリーンアップから5三振を奪った。上原にも初めて投げ勝った。「巨人? だいぶ見慣れてきました」。巨人戦通算5勝目に自信も膨らんだ。G戦31勝の左腕江夏と姿が重なる。井川が猛虎新時代を切り開いた。 <写真=6安打完投勝利の井川を抱きしめて喜ぶ星野監督>
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