| 第111戦 (8月29日) |
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G倒弾・広沢、六甲おろし歌う総立ち4万8000虎党と広沢の美声?が甲子園に響きわたった。公約だったお立ち台での「六甲おろし」を大合唱だ。巨人に引導を渡す10号V弾は6回に飛び出した。この1点を井川が守りきり、完封で8勝目。TG戦で痛快1―0勝利。オマケに広沢の美声…この夜の虎党は大満足だ。
「ドキドキしてます」ドキドキ、そしてワクワク。宿敵巨人を広沢の1発で下した試合後の甲子園は異様な期待感に包まれた。本当に歌うのか? いや、現役のプロ野球選手が、お立ち台で六甲おろしを歌うはずなどない…。だがベンチに居残ったほとんどのナインが“空気”を作っていた。 「今歌わな、いつ歌うんや」とせかす松井ヘッドに、桧山も「みんな楽しみにしてますよお」。そして井川のインタビュー後、ついに覚悟を決めた背番号31が姿を現すと、甲子園のボルテージは最高潮に達した。「ドキドキしてます。きょうここで、六甲おろし歌います。みなさん一緒に歌いましょう!」。プロ野球史上初、ヒーローの甲子園ライブ開演宣言に4万8000観衆は総立ちとなった。
♪ろおっこう おろーしにー さああっそおうとお〜 揺れる甲子園。ダミ声がかった広沢節がファンの熱唱とともに響き渡った。ベンチでは福原やカツノリらも手拍子の大声援。「2番も2番も!」。そうせかす桧山に「2番、3番までは知らないんだ。勘弁してよ。アー、恥ずかしかったあ」と照れまくる広沢。「でもみんなとの約束だったからね。ホッとしたよ」。照れ笑いで引き揚げて来た表情には、連敗を4で止め、ファンとの約束も果たした男の充実感があった。 6月21日巨人戦(甲子園)でサヨナラ打。その時「次サヨナラ打ったらお立ち台で六甲おろし歌います」と宣言した。だが「会う人会う人、次お立ち台で六甲おろしですね」と勘違いされた。そして一大決心。8月14日広島戦(大阪D)でヒーローになった時、「次甲子園のお立ち台に立ったら…」と宣言し、ついにこの日を迎えた。 六甲おろしにまつわる1つの思い出を懐かしそうに振り返った。「ちょうど僕がヤクルトに入団した1年目、神宮で阪神がリーグ優勝したんだ。掛布さんや岡田さん、バースたちがいて、スタンドは連日黄色一色の阪神フィーバーだった。だから六甲おろしの1番だけは知ってたんだ」。敵として、頭の片隅で覚えた六甲おろしをまさかお立ち台で歌うことになるとはこれも不思議な因縁だ。 右手には根元が折れたバットが握られていた。0―0の6回2死。高橋尚のスライダーを左翼ポール際に運ぶ、決勝10号ソロを生んだバットだった。「バットが折れてホームランなんて、生まれて初めて。でもあの場面、井川が気迫の投球を続けてたし、それがおれにも伝わって来たんだ」。同じ北関東出身の井川とは自主トレを一緒に行う間柄。「きょう試合前、井川にいってたんだ。おれが勝たせてやる! って」。巨人時代の97年以来4年ぶり2ケタアーチは、そんな後輩思いが生んだ一撃でもあった。「もういいでしょう。勘弁してよ」。アンコールをやんわり拒否した広沢だが、次のお立ち台ではどんなパフォーマンスが飛び出すのだろうか。
井川が27年ぶりG戦「1―0」完封気迫12K、8勝目気力の投球だった。井川は試合後、ロッカールームに直行した。「先にアイシングをさせてください」。囲んだ報道陣に一言いい残した。姿を現したのは1時間近く経ってから。「本当は今も氷で冷やしたいんです」。井川は右足スネを指差した。 肩、ヒジのケアだけではなかった。7回に川相の打球を受けた痛みが残っていたのだ。お立ち台では「疲れ? 大丈夫です」とファンを気づかっていた。痛みを感じさせない投球で自己最多12奪三振。対巨人戦の「1―0」完封は74年古沢以来。27年ぶりの快挙を気持ちで成し遂げた。 ヤマ場を何度も乗り切った。6回。「握りそこないました」と自らの野選などで1死満塁のピンチを招いた。打席には5番清原。「ピンチでは全力で投げることだけ考えた」。この日、最速144キロの速球で空振り三振。今季は中盤で崩れることが多かったが、無心の投球が一歩成長。8回表1死一、三塁のピンチも松井を同じ外角直球で見逃し三振。「リード? 最高でしたね」。ここまで22試合中18試合でバッテリーを組んだ山田は1軍登録抹消された。カツノリとは今季初めてのコンビだったが「去年組んだ時、いい結果が出てたんです」と影響はなかった。 最終回、疲れを気にした野村監督が「大丈夫か?」と聞いたが「大丈夫です」と即答。164球で最後まで投げきった。対巨人3勝目を挙げ、野村監督は「熱投、熱投や! よう投げた。あそこまで行ったら、井川と心中するつもりだった」と、試合後珍しく興奮。ところが井川は広沢の公約を知らず「お立ち台で歌う? そうだったんですか!」と驚くなどマイペース。広沢が熱唱するその下でスコアボードを見つめながら「ああ歌うのか」とぼんやり聞いていた。 カツノリが好リード今季2度目のスタメンマスク今季2試合目の先発マスクをかぶったカツノリが井川を好リードした。「井川は真っ直ぐがいいんで、それを頭に入れてリードした。こっちにも井川の気迫が伝わってきた」大汗をかきながら笑顔を浮かべた。 訪れるピンチの度にマウンドに駆け寄り「みんなで守っているんだから打たせろ! 打たせろ!」と励まし続け、完封勝利につなげた。「みんなの思いが1つになった」と満足そうな表情を見せた。前回7月13日の中日戦(甲子園)で先発出場した際にも新人の伊達をうまくリードし、勝利に結びつけた。野村監督にとってはまさに孝行息子だ。 監督は「息子のことは言いたくないが…」とうれしさをかみ殺しながら「よく創意工夫していたな。(巨人の打者を)うまく洞察していたんじゃないか?」と合格点を与えていた。 桧山、広角2安打前日(28日)の巨人戦で4番復帰即本塁打と仕事をした桧山がこの日も2安打で気合を入れた。初回、1死一塁から左前打でチャンスを広げると先頭で回ってきた4回にも中前へ弾き返し、左腕の高橋尚を相手に広角打法を見せた。ともに得点にはつながらなかったが巨人を相手の完封勝利にスッキリした表情。「とにかくチームに貢献できるように頑張るだけ」と選手会長らしく話していた。 (47勝63敗1分:6位) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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