第88戦 (7月31日)
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6回11人攻撃で今季最多7点

上坂“満塁一掃”二塁打

 これを完勝と言わずして、何を完勝と言うべきか――。阪神が打っては、6回イッキに今季最多の7得点。上坂、赤星、浜中の少年隊連続タイムリーで、甲子園を沸かせた。投げては谷中がヤクルト打線を3安打でプロ初完封。結局8―0でスカッと後半戦初白星を挙げた。これで7月は4つの勝ち越しで終了。ほんま、甲子園は夏祭りですわ。

◇31日◇甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
ヤクルト

阪 神
×
【ヤ】(敗)入来、ハースト、五十嵐、島田―古田
【神】(勝)谷中―矢野
【本】矢野7号(4回、ソロ=入来)

少年隊連続タイムリー

 上坂が赤星が浜中が、縦横無尽にマンモスを駆け巡る。快音快音、また快音。次々にホームを駆け抜けたベンチでは、ナインの手荒いハイタッチと野村監督の笑顔が待っていた。連敗を3で止めた後半戦初白星は8―0、痛快過ぎる首位ヤクルト撃沈だ。ハイライトの6回、今季最多の1イニング7点を奪って勝負を決めたのは「平成少年隊」がカッ飛ばした、3連続タイムリーだった。

 4回に先制7号ソロを放った矢野が、このビッグイニングも中前適時打、先発入来をKOしたのが呼び水だった。続くエバンスも2番手ハーストから左翼線適時打を放ち、なお2死満塁。ここでまず、1番上坂が弾丸ライナーの中越え二塁打で、一挙3人をホームに迎え入れた。「1回と3回に三振した時、マウンドで入来さんに『ヨッシャー!』って叫ばれたんで、何かで仕返ししてやろうと思ってたんです」。二塁ベース上、上坂はリベンジの「ヨッシャー!」絶叫、両こぶしを突き上げた。

スタメン
阪 神
ヤクルト
上 坂真 中
赤 星宮 本
浜 中稲 葉
桧 山ペタジーニ
広 沢古 田
矢 野岩 村
エバンスラミレス
沖 原土 橋
谷 中入 来

 この時点ですでに5―0。だが勝利に飢えた若者は“満腹感”を知らない。続く赤星が中前打で上坂を返すと、さらに浜中までもがこの日2本目となる左中間二塁打で赤星を生還させた。まさにダメ押しのダメ押しとなる一挙7得点。「きょうは(後半戦)初戦のつもりで気持ちを入れ替えた。あの場面は勢いで打たせてもらいました」と赤星が笑えば、浜中も「後半戦白星がなかったんで、何としても勝ちたかった」と、気迫の一撃に胸を張った。

 少年隊、最年長の赤星が25歳、上坂が24歳、そして1番下が浜中の23歳とそれぞれ一学年違い。遠征先では一緒に食事に出かけたり「だれが東山(紀之)なんやって冗談も出たりしますよ」(浜中)と言うほど仲がいい。もちろんグラウンドでの息もピッタリだ。1番上坂が「2番の赤星さんが粘ってくれるタイプなんで、僕は持ち味通り思い切り初球からいける」といえば「僕は浜ちゃんにつなぐことだけを考えてます」と赤星。あとは「前の2人がチャンスを作ってくれる」と意気に感じる浜中が魂の一撃をブチかまし、打撃部門の勝利の方程式は完成する。

 球宴期間をはさみ、12日間も待ち焦がれた白星。それを運んでくれたのは、8得点中5打点を叩き出した自慢の若虎トリオ。しかもどちらが首位か分からない「強い虎」を見せつけてくれただけに、野村監督はエッヘンだ。「うちは少年隊ですから。打てば点が取れる」。8月戦線真夏の大逆襲も、この3人が引っ張ってくれるに違いない。

矢野V弾&好リード

 沈滞ムードのチームを目覚めさせたのは、矢野のバットだ。「ちょっと(打球が)上がり過ぎたんでね、まさか入るとは思わなかったんですよ」。先制の7号ソロ本塁打。4回2死、入来のスライダーをバットに乗せた打球は、放物線を描いて左翼スタンドに先制弾が飛び込んだ。「あの1点だけじゃ(勝敗は)しんどいと思ってたんでね。今は精神的に楽に打席に立ててます」。1点リードの6回1死一、二塁では、2点目となる中前適時打で勝負強さをアピールした。

 マスクをかぶっても谷中を好リード。ヤクルトの強力な左打者を封じ込んでみせた。「内角を意識させるのは大事なことですからね。そういう球を(谷中が)持ってるということはリードしやすいです」と若手を祝福。V弾含む2打点と好リードで文句なしの働きだった。

<写真=矢野は4回の先制7号に続き、6回には中前にタイムリーだ>

谷中泣けた〜プロ初完封

3安打ヤ斬り

 浜風に乗る「あと1球コール」が心地いい。先発谷中がたった1人でマウンドを守り抜いた。「いつも成本さんを見て気持ちいいのかなと思っていたんです。点差もあって、気持ちよく聞けました」。最後の打者ペタジーニが中飛に倒れてゲームセット。首位ヤクルトを相手に今季4勝目、堂々のプロ初完投初完封勝利をやってのけた。

 高校時代から憧れていた甲子園でメモリアル勝利。お立ち台にも上がった。「高校野球でみんなが目指している場所。今、自分がそこに立ててうれしい。ボクは4回戦で負けました。坪井とか今岡にボッコボッコにされましたから」。泉州高3年の夏、大阪府大会で坪井らがいたPL学園に敗戦。“苦い思い出”すら不思議と懐かしく感じる。その遠かった甲子園で、忘れられない1勝だ。

 今年5月5日、平尾とのトレードで阪神に移籍した。「シーズン初めは正直、やばいなと思ってました」。今年限りでの解雇も覚悟していたほどだが、新天地で出直すチャンスを得た。与えられた背番号は1。文字通り「1」からの再出発だった。先発、中継ぎとフル稼働だが、試合で投げられることが楽しくてたまらない。

 この日も打者の内角を果敢についた。MAX143キロ。4回表、ペタジーニのバットを折った球(二ゴロ)だ。切り札“真っスラ”を有効に使い、許した安打は3本だけ。4三振無四球1死球、114球の“省エネピッチ”。5回以降は無安打の快投だった。

 野村監督も「お見事。左中心。真中、稲葉、ペタジーニ、岩村と左が続くから、あの“カミソリ真っスラ”。(クセ球が効いた?)そういうこっちゃ。あの天性の“真っスラ”が武器やから、それを中心に他の球を覚えてくれればな」と称賛した。試合後も「谷中コール」がしばらく響いた。「背番号1」がやけに大きく見えた。

 ☆谷中真二(たになか・しんじ)1973年(昭48)5月15日、大阪生まれ。泉州高から小西酒造を経て、96年ドラフト3位で西武に入団。昨年まで1軍では60試合に登板し5勝5敗0S。今年5月に平尾との交換トレードで阪神に移籍し、6月13日の中日戦で移籍後、初勝利を挙げた。176センチ、78キロ。右投げ右打ち。推定年俸2250万円。

(39勝49敗:5位)


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