| 第84戦 (7月19日) |
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“サヨナラの虎”神がかり7連勝またカツノリが決めた逆転の虎がまたサヨナラだ。7連勝で長嶋巨人を3タテだ。延長11回、カツノリが決めた。今季、10度目のサヨナラ勝ちで対巨人5連勝。前半ラストゲーム。甲子園を埋めた5万3000観衆が万々歳! 生まれ変わろうとしている「サヨナラの虎」。後半戦にこうご期待!
“バンザイ”G5連倒最後を決めたのは息子カツノリだった。南の足元を狙った打球がセンター前に抜けると、父親でもある野村監督はスクッと立ち上がった。一塁を回ったところで蜂の巣をつついたようにもみくちゃになったヒーロー。その時、指揮官の口元が一瞬だけ緩んだ。そして、がい旋してきたカツノリのお尻を左手で思い切りたたいて迎え入れた。
カツノリ 前半戦の最後にこんないい仕事ができてよかった。みんなの力で勝てた。最後は何でもいいからバットに当たれと願った。 劇的な瞬間が生まれたのは同点の延長11回だった。福原、矢野の連打と沖原の敬遠で1死満塁となる。打席に入る前、野村監督からハッパを掛けられた。「落ち着いていけ!」。最後はカウント1―1からのスライダー。打球はショートの右を抜け、力強くセンターに転がっていく。5時間3分の今季セ・リーグ最長試合に終止符を打った。 驚くべき今季10度目のサヨナラ勝ちは、チーム史上76年以来25年ぶりだ。それも前半戦の締めが宿敵巨人に3タテだけに父にとっても快感だった。 ノムさんも快感「オレの息子らしい執念」野村監督 カツノリはよく食らいついていった。あのへんがオレの息子らしい。執念? そうね。若手で勝ってるからね。 「監督3年目でチーム改革がやっとスタートできたのが実感です」と前半戦を総括した野村監督。今春キャンプで選手全員に「ノムラの考え・2001年」が配布された。190ページにも及ぶその教本は、こんなくだりで締めくくられている。「我々の原点は、なんといっても勝利への執念以外に考えられない。勝つんだという強い意志、勝ちたいという強い願望、負けたくないという強い根性を成熟させてもらいたい」。そして、最後は「今年はわたしも野球人生のすべてを賭けて挑む覚悟だ。全員でこの苦境を乗り越えていこう」と結ばれている。 進退のかかった監督3年目。1度は最大借金「15」まで沈んだチームは、ここにきて7連勝と息を吹き返した。そのタテジマを地獄から救ったのは、若手の台頭と息子カツノリのバットだ。監督の去就の話題に「それは会社の問題です。でも、監督の気持ちにこたえれてよかった」と話したカツノリ。顔は笑っていた。借金を「8」まで戻したサヨナラの虎。勝負のかかった3年目の野村阪神は、最高の形で前半戦を締めくくった。
矢野5安打&スーパーキャッチ6打席出塁3打点、MVPは君だサヨナラ劇の主人公はカツノリに譲ったが、MVPは間違いなく矢野だった。1回は同点適時打、3回は勝ち越し6号2ラン。その後も右前打、四球、中前打…快音は止まらない。延長11回1死一塁。サヨナラのお膳立てを作ったのも、矢野が放ったカウント2―3からの右前打だった。5打数5安打。6度の打席は全出塁。「4の4は経験あるけど、5の5は初めてですね。自分でもビックリ」。恐怖の7番打者がことごとく得点機に絡んだ。 「ベンチのムードがいいんで、みんなにつられて打っているだけですよ」 いや、この言葉は逆だ。少なくとも、この日は矢野に引きずられて虎打線が爆発した。巨人投手陣へ強烈なパンチとなったのは3回の勝ち越し弾。「少々、ボール気味でもいいと思って積極的にスイングした。詰まったおかげでキレなくて良かったです」。浜風にも乗った。見逃せばボールの球。流れを引き寄せる強引スイングで、虎ベンチに勢いを戻した。 昨オフにFA宣言して残留。中日から阪神へ移籍し、自身を育ててくれた虎ファンに感謝の意味も込めて今季から「矢野シート」を設置した。「今度はボクが恩返しする番ですからね」。この日はバットだけでなく、守備でもファンの視線を釘付けにした。1点リードの8回無死一、二塁。巨人川中の送りバントが三塁線への小飛球となると、矢野は飛び込んでキャッチ。飛び出していた二走高橋由は戻れずに併殺に。「1点勝負だと思ったしね。フライになってラッキーと思った」。ガッツあふれるプレーでもチームを救った。 試合後の野村監督もニンマリ。ただし「配球は悪かったけどな」と苦言も忘れなかった。6失点の反省を促したのは、求めるレベルが高いからこそ。次はバットや守備だけでなく、配球で指揮官をうならせれば言うことない。 福原がサヨナラ呼ぶ執念の激走7勝目もゲットだ、これぞ猛虎魂7連勝は投打にわたる福原の活躍なくしてあり得なかった。同点の10回から登板、2イニングを内野安打1本に抑えると、11回には先頭打者として、サヨナラのきっかけを作る内野安打で出塁。転がり込んだチームトップの7勝目は闘魂福原に贈る、神様からのご褒美だ。 特に光ったのは、打者福原としての勝利への執念だった。何しろ、左手甲の骨折後、打席に立つのは初めて。先発を回避し、セットアッパーに回った1つの要因は、骨折の影響で打席に立てないことにもあった。衝撃を吸収する特注グラブでしのいでいる患部は、いまだ完治していない。だが福原は「行けます!」と野村監督に伝え、打席に向かった。 そして11回、南からバットを折りながらの二塁内野安打。「手首は痛かったけど、なんてことないですよ」。そして1死後、矢野の右前打で一気に三塁まで走った。こちらは「キツかったですよ。足が切れるかと思いました」。この激走が巨人に重圧を与え、続く沖原敬遠、カツノリのサヨナラ安打を呼んだ。背番号28の背中に、忘れかけていた猛虎魂を見た1勝でもあった。 赤星がトップタイ15盗塁新人王争う阿部から初前半戦最終戦で、赤星がセ界の頂点に立った。2回、四球で出塁すると3番浜中の3球目に二塁へスチール。悠々セーフでリーグトップに並ぶ15盗塁目を決めた。「14じゃキリが悪かったんで、何とかもう1つ決めたかった。特に巨人戦で走りたいのがありましたから」。5球団中、唯一盗塁を記録していなかったのが巨人。特に1つ盗塁を刺されていた同じシドニー五輪メンバー、阿部から走ったことで喜びは倍増した。 「あいつは12球団でNO.1のキャッチャーですよ。全日本の時もキャッチボールするのがイヤでしたもん。こっちが必死で遠投してるのに、向こうはヒューって楽々投げ返してきて…」。思い入れのある元同僚は現在、新人王を争うライバル。現時点では阿部優位だが、赤星が盗塁王を取れば、逆転のWタイトルも夢ではない。阪神からの盗塁王は56年の吉田義男氏以来45年ぶりとなる。ドラフト4位ルーキーが快挙に挑む。 桧山も猛打賞2ケタ安打の阪神で、矢野とともに猛打賞となったのが4番桧山だ。まずは、3回裏に13試合連続ヒットとなる右中間二塁打。「シュート回転で逃げていくストレート。バットの先だったけど、うまく外野手の間を抜けてくれた」。ただ、1回の無死満塁、8回の2死一、三塁。そして打てばサヨナラとなっていた10回の一、二塁と3度のチャンスには凡退。打点なしの桧山には、ほろ苦い試合だった。 (38勝46敗:4位) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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