第82戦 (7月17日)
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球団史上初、3連続サヨナラG倒

上坂が決めた!5連勝だ、4位だ

 阪神の歴史に歓喜の1ページを刻んだ。球団史上初の対巨人戦3試合連続サヨナラ勝ち。まさに手に汗にぎる伝統の一戦。決めたのは9回裏、上坂だった。4万3000観衆の歓喜、歓喜の甲子園。沖原も打った、赤星も打った。福原は抑えた。若虎たちの活躍で阪神は今季初の5連勝。しかも4位浮上だ。

◇17日◇甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
巨 人

阪 神
1X
【巨】上原、(敗)条辺―阿部、村田真
【神】井川、遠山、(勝)福原―山田、矢野

ノムさん「きょうは選手が全員神様に見えた」

 振り向けば、阪神ベンチを飛び出したナインが、襲いかかって来る。もう走らなくていいのに、上坂は逃げるように二塁ベースまで駆け抜けた。遊撃後方で矢野、カツノリに引き倒されると、あとはもみくちゃだ。上坂だ。上坂が決めた。4万3000人のマンモスを総立ちにさせたG倒は、痛快すぎるサヨナラ劇。そして今季初の5連勝、ついに4位浮上だ。お立ち台のヒーローも感極まっていた。

スタメン
阪 神
巨 人
上 坂仁 志
赤 星二 岡
浜 中江 藤
桧 山松 井
八 木清 原
エバンス高橋由
山 田元 木
沖 原阿 部
井 川上 原

 「何か自分でも興奮しました。絶対何とかしたかった。打つ、絶対打つって念じながら、打席に入りました。ベンチのみんなも『上坂に回せ!』って叫んでくれてたし…」。

 9回裏2死一、三塁。巨人2番手条辺から放った三遊間真っ二つの一撃は、野村監督の誕生日を飾った6月29日ヤクルト戦以来、自身2度目のサヨナラ打だった。そして66年の猛虎史に、新たな1ページを刻む快打でもあった。今季9度目サヨナラ勝ちも驚異だが、巨人戦3試合連続のサヨナラ勝ちは、球団史上初の快挙。「100年後にも名前が残る? 僕、そんな時まで生きてませんよお」。思わず照れたが、すぐ真顔になり「今は延長になれば負けないサヨナラのムードがあります」と声を大にした。

 新妻に贈る最高の晴れ姿だった。この日のスタンドには、昨オフ入籍した華奈子夫人(25)を招待。「そりゃあ食事の面とか、結婚してより野球に集中できる環境をつくってもらってますよ」。昨年、時間の都合でできなかった披露宴は今オフ、2人の地元名古屋で行う。だがその時、恥ずかしい成績では顔向けできない。社会人の王子製紙春日井時代は野球部のチアガールだった華奈子夫人。ずっと自分を応援してくれる妻への恩返しは、グラウンドで結果を出すことだった。

 2点を追う5回にも、上原から適時打を放って同点の口火を切った。守っても2回、阿部の二ゴロを「秋のキャンプですごく練習した」逆シングルトスで芸術的な併殺を完成、ピンチを防いだ。2安打2打点、そして美技。攻守にわたる大活躍には、一家の主としての決意がこもっていた。

 野村監督も最高の笑顔だ。「きょうは選手に助けてもらいました。サインが全部バレてる。きょうは選手が全員神様に見えた。(ホテルに)帰ったら榊を持って、パンパンだ」。最後は両手を合わせるお祈りポーズまで作り、ロッカーに消えた。スクイズ、エンドラン失敗など、ことごとくサインを読まれていただけに、負けてもおかしくない試合。それを上坂を中心とする「若い力」で、引っ繰り返したのだ。2点先制されても上原に食らいつき、最後まで諦めない粘りと集中力。自信を深めた若虎軍団が、3タテをもやってくれそうな勢いだ。

今季9度目サヨナラ

 <データ>▼阪神のサヨナラ勝ちは今季9試合目。7月14日の中日18回戦に続く2試合連続サヨナラ勝ちとなった。巨人に対しては6月20、21日に続き3試合連続のサヨナラ勝ちで、阪神の歴史では1980年5月23、24日の2試合連続はあるが、3試合連続は球団史上初。▼今季のサヨナラ勝ちのうち、決勝打を放った選手のうち、上坂(2回)、赤星(2回)、浜中(2回)と若手が半分以上を占めている。

沖原、お膳立て二塁打

赤星もいい仕事

 「F1セブン」の加速はもう止まらない。赤星、沖原がきっちり役目を果たし、上坂のサヨナラ打につなげた。拙攻でチャンスをつぶした9回2死。ため息が甲子園を包んだが、沖原だけはあきらめていなかった。条辺の直球を弾き返し、中越え二塁打で再びチャンスメークした。これが和田の敬遠、上坂の痛快打へ続いた。「とにかく勝ててよかった。ホッとしています」と貴重な一打に満足感を漂わせた。

 赤星も負けてはいない。5回のタイムリーを含む3打数2安打1打点と奮起。「意欲をもって積極的にいくしかないですよね。何としても1点とっておきたかった」と前向きな気持ちが好調を持続させている。これで打率を2割7分2厘まで押し上げた。巨人戦サヨナラ3連勝の殊勲甲は文句ナシで「F1セブン」だ。

八木、超美技で貢献

 劇的幕切れにベテラン八木も興奮ぎみだった。サヨナラシーンにこそ絡まなかったが、8回2死一、三塁のピンチで代打清水の一塁線を抜ける当たりを好捕。勝ち越し点を防いだのだ。「一瞬、ファウルかと思ったけどね。でもよく反応できましたよ。アウトにできて良かった」。いつもはバットで“神様”を演じるベテランだが、この日はファーストミットでチームを救った。

福原、9回満塁で清原K斬り

落ちた宝刀フォーク

 劇的なサヨナラ勝ちを呼んだのは、福原の熱投だった。

 9回表2死満塁。満塁男・清原が打席に入った。タテジマ浮上のカギを握るセットアッパー福原と豪打清原。1球ごとに交錯するため息と歓声。カウント2―1。ここが勝負の分かれ目だった。矢野が外角に構えたところに、福原のフォークはストン! と落ちた。清原のバットが空を切った瞬間、真剣勝負を満喫した4万3000人ファンから拍手が送られた。

 「(先発の)井川が頑張ってたんで絶対に抑えないといけないと思っていました。たなぼたの白星? でも(自分も)勝てない日がありましたから。こういう時があっていいんじゃないですか」

 プロ3年目の開幕は先発で迎えた。それも、野村監督からは、右のエース候補と期待された。だが、150キロを計測する速球を武器にしても、淡白な投球は要所でいつも痛打を浴び続けた。ついに野村監督が先発からセットアッパーへの配置転換を決断。

 8回表2死一、三塁から登板。木戸バッテリーコーチからはハッパを掛けられた。「1点も2点も一緒や。(野村)監督は9回に1点取る言うとるからな。思い切っていけよ」。代打の代打となった清水を一ゴロ。八木の好守もあって、巨人に勝ち越しを許さなかった。

 9回も封じ、リリーフに回って4試合目で、7月5日中日戦(ナゴヤドーム)以来の今季6勝目が転がり込んだ。抑えの成本も温存できた白星は、チームにとって格別な価値があった。

井川、意地2失点

 3連敗中と不振の井川が意地の力投を見せた。序盤こそ不安定だったがシリ上がりに調子を上げ、7回6安打2失点。巨人の重量打線相手に復調のきっかけをつかんだ。それでも本人は「野手に助けてもらいました」と謙虚に試合を振り返った。前半戦は6勝8敗。勝ち星は足踏み状態だが、防御率2・65での折り返しは立派。21日からのオールスターゲームに初出場が決まっている。監督推薦してくれた長嶋監督にも恩返しできた。スターぞろいの球宴が完全復活の場となれば、後半戦も楽しみだ。

(36勝46敗:4位)


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