| 第81戦 (7月14日) |
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浜中だ!12回サヨナラ4連勝!!最下位脱出…熱すぎる甲子園サヨナラだ! 4連勝だ! 若トラパワーで最下位脱出だ! 阪神が執念の粘りを見せた。中日に2度、突き放されても追いつき、そして延長12回、浜中が決めた。主役は成長中の若トラ軍団。低迷の虎に光が見えてきた。
今季最長4時間25分白球が左中間を破った瞬間、浜中の両腕は天を突き上げていた。あとはもうナインからもみくちゃ。ヒーローが再びガッツポーズを突き上げた時、奇跡を待っていた3万6000観衆はうねり、激しく揺れた。突き放されても2度追いついた今季最長4時間25分のドラマはあまりに劇的なエンディング。サヨナラだ。4連勝だ。そして最下位脱出だ。ミラクル・タイガースを演じ切った23歳の3番打者は、お立ち台でも興奮しまくっていた。 「きょうはヒット1本も打ってなかったし、自分で決めるつもりでいきました。僕は思い切りの良さが持ち味だし、思い切りいきました」。
舞台は12回。先頭上坂がこの日4本目のヒットで出塁、今岡のバントでお膳立てされた1死二塁のチャンスだった。それは鳴り物応援が終わっても、勝利を信じてくれたファンのため。そして信頼する先輩、今岡のために中日小山の0―1からの2球目、143キロ直球をフルスイングした。「今岡さんが10回にホームラン打ってよく追いついてくれたし、12回ははバントでつないでくれた。だから今度は、何としても僕が打ちたかった」。 1点を追う9回矢野の同点適時打に続き、2点を勝ち越された10回には今岡が同点2ラン。2度目の奇跡”を起こした今岡とは2年連続で、自主トレを一緒に行った仲間。1月、寒風の和歌山南部町の山間を2人で黙々と走り、凍るような寒さの中、バットを振り続けた。その時まだ1軍定着すら出来なかった浜中を励まし、アドバイスを送ってくれたのが今岡だった。そして誓い合った。「レギュラーで一緒に試合に出て、俺たちでチームを盛り上げて行こう!」。その先輩が目の前で見せた渾身プレーに、浜中も燃えずにはいられなかった。 サヨナラ打はプロ初アーチをサヨナラで飾った5月13日広島戦(甲子園)以来、2度目になる。「あれが大きな自信になったんですよね。それまで4年間すごく期待されてたのに全然打てなくて、苦しかった。でもあのホームランで吹っ切れたんです」。自信という最強の武器を身につけた若トラは今やすっかり堂々の3番に成長。桧山と並んで最も期待出来る打者に進化した。 もちろん、野村監督も興奮を隠せない。「すごい試合や。こういう試合が出来るのは、若い子が力をつけて来てる表れや。投打とも若い子が育ってないと、こういう試合は出来ない」。敗色濃厚だった試合を劇的にひっくり返したのだから無理ない。さあ15日は今季初の5連勝を目指す。今の虎にはそれだけの力がある。 浜中と一問一答――あの場面どういう気持ちで打席に入ったか 浜中 とりあえず上坂がつなげてくれた。全力で思い切っていくことだけ考えて振りました。 ――打った瞬間は 浜中 抜けてくれ、と思いながら走った。抜けてくれてよかった。 ――前の打席にもチャンスで回ってきたが 浜中 きょうは1本も打っていなかった。自分で決める思いでバッターボックスに入った。打ててよかった。
上坂がプロ初の4安打頼れる1番、あわやサイクル頼れる1番打者・上坂は豪快に笑った。「最後に一発を狙ってた? それはないけど左翼席を見て打ったら右前にポトリと落ちましたね!」。延長12回、サヨナラ勝ちのキッカケとなる右前打はこの日の4安打目。1試合4安打は「2軍でも経験ないです」とプロ初体験だ。 本塁打が出れば大変なことになるところだった。初回、先制点に結びつく三塁打を放つと3回には右中間を破る二塁打。さらに2点を追う延長10回には先頭で打席に入り、今岡の同点弾につなげる左前打をマークした。延長12回の第6打席で一発出ればサイクル安打の達成。しかもサヨナラ…。夢のようなシナリオが描けなかったが、貢献度は計りしれない。「今日はよかったですね! すべてがよかった!」。上坂は小さな体全体で喜びを表していた。 今岡が起死回生の2ランチームを、ファンを地獄から引っ張り上げる一撃だった。2点勝ち越された延長10回。あきらめムードが甲子園に充満する中、左手甲を痛めている今岡が打った。無死一塁、カウント1―1から中日遠藤が投げた138キロの浮いたストレートをたたく。打球は起死回生の同点4号2ランとなって左翼席中段に飛び込んだ。 「ビックリしたって? ボクもビックリしましたよ! 左手甲の痛み? 試合に出ていれば痛みなんか忘れていますよ。みんなも必死だし、ボクも必死なんです! とにかく勝ってよかったです!」。感情を表に出さない男は珍しくキッパリと言い切った。 12日の横浜戦(平塚)で守備についている際に左手甲を痛めた。「自分でもどうなったか分からないんです」と首を傾げるが痛みがあるのは事実。前日、そしてこの日とテーピングでグルグル巻きにして試合途中から出場。そんな状態で同点本塁打を放ち、土壇場の延長12回には犠打も決め、サヨナラのお膳立てを作る大仕事をした。 地元の兵庫出身、ドラフト1位入団のエリート。淡々としたプレー・スタイルが、がむしゃらさを要求する野村監督のイメージには合わず、99年の就任当初から試練の日々が続いている。だが値千金の一発に野村監督も笑顔を見せ「今岡の本塁打? びっくりするがな〜」。今岡が新たなスタイルを築き上げようとしている。 川尻、今季初星川尻にようやく、今季初勝利が転がり込んできた。「ラッキーです。ラッキーのひと言。浜ちゃんが、よく打ってくれたよ」。延長12回に登板。抑えた直後に、チームはサヨナラ勝ち。川尻は春先からの不調に加え、勝ち運にも恵まれず先発で6敗。2軍落ちも経験し、6月下旬再登録の後は中継ぎに徹し、毎試合のように登板している。背番号と同じ今季19試合目、やっと女神が微笑み、遅まきながらの1勝。これが自身通算50勝目、プロ7年目のメモリアル勝利でもあった。 ハンセル7回1失点終盤こそ、目まぐるしい展開だったが、ゲーム前半の主役は、7回を1失点に抑えた先発ハンセルだった。「自分の勝利より、チームの勝ちだよ」。ハンセルは好投しながらも、白星がつかず、5月31日(広島戦)で3勝を挙げて以来、勝ちがない。しかし、この日も散発4安打。山崎武のソロアーチだけでしのぎ、防御率は2・67。井川を抜いてチームトップ、リーグでも3位に躍進した。 カツノリ、よかったカツノリがホッとひと安心だった。同点の8回表、ファーストの守備に入ったカツノリは、無死一塁から関川のバントをお手玉。オールセーフで、その直後に勝ち越しの1点を献上した。「ほんと、よかった。ほんと、申し訳ない」。チームが終盤粘りを見せ、そのミスは敗戦につながらなかったが、恐縮の試合後だった。起用した野村監督も「余計なことをした。次の(8回裏の)登板が岩瀬と思ったから(右のカツノリを9番一塁で)使ったのだが…」と苦笑だった。
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