第51戦 (6月3日)
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福原が44日ぶり白星

完封リレーでテール脱出

 福原、お前のマウンドにシビれたで! 福原が8回5安打0封、しかも11奪三振の圧巻ベイ斬り。4月20日以来、実に44日ぶりの白星を、自らの右腕でもぎとって3勝目を挙げた。9回のマウンドは、守護神成本に譲り2人で完封リレー。前日2日に転落した最下位も1日で脱出した。

◇3日◇甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
横 浜

阪 神
×
【横】(敗)三浦、竹下―谷繁
【神】(勝)福原、(S)成本―矢野

福原、5安打斬り3勝

 フェンスにへばりつけたファンの列は一塁アルプスまで続いた。誰もがお立ち台の若きエースを祝福しようと必死だ。福原が帰ってきた―。4月8日の横浜戦以来、甲子園では2度目のヒーローインタビューは照れながら口を開いた。「チームに迷惑をかけてきた。それを取り返そうと思って投げた。本当にうれしいです」。言葉の節々でファンは大歓声を上げる。長かった。4月20日(中日戦)以来、実に44日ぶりの3勝目は、8回5安打0封。しかも11奪三振のベストピッチだった。

スタメン
阪 神
横 浜
上 坂石井琢
赤 星種 田
浜 中小 川
クルーズ鈴木尚
桧 山サンダース
矢 野佐 伯
今 岡谷 繁
藤 本金 城
福 原三 浦

 今季11度目の先発マウンドには、これ以上ない気迫がこもっていた。調子を崩し、勝ち星から見放された時期もあった。調子がよくても打線の援護のない日もあった。それが1カ月以上も続いた。先月30日の練習中には野村監督に「先発、やめさすぞ」と、思わぬ通告を受けた。その時は「いやです」と返したが、この日の内容次第では冗談で済まされなかった。しかも、前日2日にチームは最下位転落。横浜戦3連敗阻止の重荷も背負っていた。

 「0点に抑えれば勝てるだろうと思っていた」。さまざまな重圧を、右腕1本で振り払った。圧巻は6回表だった。連打を浴び1死一、三塁のピンチを招いた。「ああいう場面は開き直るしかなかった」。4番鈴木尚を迎えても、福原はひるまない。カウント2―3から136キロフォークで空を切らせた。一塁走者が二進し、続く打席はサンダース。しかし、今度はフルカウントから147キロストレートを外角いっぱいに決め、見逃し三振に封じた。「気持ちは最少失点。ゼロに抑えられてよかった」。引き締まった顔に、初めて安ど感が漂った。

 134球の熱投は11奪三振につながった。昨年5月2日の横浜戦(甲子園)での12Kに次ぐ、自身2度目の2ケタ奪三振。「これまでも低めを意識していたけど、抜ける球が多かった。でも今日は真っ直ぐとスライダーがよかった」と振り返る。完封目前も9回はベンチ。野村監督も「(福原の白星は)久しぶりか。交代? 130球以上投げていたし…。1年は長いし、まだ来年もあるんやから」と目を細めた。

 横浜3連戦は井川、カーライルで連敗こそしたが、先発投手の内容は悪くなかった。最後にエースが華々しく復活し、最下位生活は1日で脱出。虎の戦いはまだ終わっていない。

登板日に必ずお宮参り、母の祈り通じた

 快投の陰には母の愛があった。広島県三次市に住む福原の母・恵美子さん(49)は先発が予想される日には必ず「お宮参り」に出かける。自宅近くの八幡神社を訪れ「いいピッチングができますように」「悔いのない投球ができますように」「ケガがないように」と祈る。これはプロ入りしてから、今まで欠かしたことがない。

 この日も昼前に予定通り参った。その後、夫邦彦さん(49)と自宅でテレビ観戦。「最高にうれしい。よくがんばった。試合開始から顔が違っていたんですよ。気合が入っていたんでしょうね」と声を弾ませていた。母の祈りが息子に通じた瞬間だった。

福原に急転バントエンドラン

4番クルーズに代打八木

 天敵三浦攻略へ、横浜3連敗阻止へ、野村さい配に選手がこたえた。0対0の8回裏。まずは三浦に相性のいい山田が代打に送られた(ここまでの対戦成績3割7分)。左前打で出塁すると代走田中。無死一塁で福原が打席に入った。

 ◆勝負その1「バントからバントエンドランに切り替え」 バントと読んだ横浜内野陣は1球目から厳しいチャージをかけてきた。バントがうまくない福原は2球目をファウル。ボールを挟んでカウント1―2から、ベンチはバントエンドランのサインに切り替えて田中をスタートさせる。決していいバントではなかったが三塁に飛んで田中が二進に成功。試合後、野村監督は「シフトの裏…」とポツリ漏らした。

 1死二塁。上坂が倒れた後の赤星が勝ち越しの中前タイムリー。続く浜中も右前打で2死一、二塁。打者クルーズで、横浜森監督は左腕竹下を投入してきた。

 ◆勝負その2「4番クルーズに代打八木」 三浦降板の後、今度は森監督との知恵比べだった。「クルーズは昨日も竹下にやられていたから」と柏原打撃コーチ。その八木が中前に適時打を放つ。「びっくりした。もしかしたらと思ってスイングはしていたけど(気持ちの)用意はしていなかった。4番(クルーズ)の代打だったからね。センターから右を狙う意識でいた」。

 6月1日横浜戦でも同じような場面があった。0対0の8回表1死一塁。野村監督は横浜ベンチのエンドランを読んでいながら防げなかった。それが得点につながり敗戦。逆にこの日の攻撃で“お返し”。8回の2得点は、野村監督自身、内心ほくそえんでいたに違いない。

赤星、中前V打

8回2死二塁

 スコアボードに待望の1点を記したのはF1セブンの赤星だった。両軍0行進で迎えた8回2死二塁。カウント0―1から三浦のスライダーを中前へ弾き返す。代走田中がホームを踏むと、66・5キロの小兵は右手で握り拳を作った。

 「(同級生の)福原が好投してたし、絶対に打ってやろうと思ってた。前回は三浦さんに全くバッティングさせてもらえなかったけど…いい投手から打ててうれしい」

 マウンドの三浦とは開幕直後4月7日に対戦。3の0に抑えられた。それから約2カ月…全く歯がたたなかった相手に、この日2本目の安打で1点をもぎ取った。第1打席の1回無死一塁で送りバントを失敗(小フライで併殺)したが、そのリベンジも同時に果たした。「今は自信を持って打席に入れています。この調子を維持したい」。3割をキープする足のスペシャリストは、バットでも頼もしい存在になってきた。

成本、冷や汗8S

 守護神成本がヒヤヒヤの8セーブ目を挙げた。2点差9回に福原のバトンを受けたが、いきなり佐伯、代打井上に連続安打を浴びて無死一、二塁。1発が出れば逆転の大ピンチにスタンドもどよめいたが、そこから金城を併殺に打ち取って平常心を取り戻した。「とりあえずホッとした。ゲームをつぶさなくて良かったよ」。自身もドキドキの逃げ切りに、苦笑いを浮かべていた。

(20勝31敗:5位)


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