| 第36戦 (5月13日) |
|
浜中、逆転サヨナラ3ラン母に捧げるプロ1号
待望!和製大砲お目覚め打った瞬間だった。ライトスタンドも一塁ベンチも総立ちになった。全員の視線は左翼席へ。後方に3歩ほど追ってあきらめた広島金本の頭上に、浜中のプロ初の放物線が描かれた。虎党待望の和製大砲の誕生は、劇的な逆転サヨナラ3ラン。プロ入り5年目、通算162打席目に飛び出した浜中の初アーチが、虎を土壇場で救った。 9回裏1死一、三塁。1点差に詰め寄り、なおも続くチャンスで浜中が打席に立った。初球ストライクの後、ボールが3つ。広島河野は明らかに苦しんでいた。カウント1―3ならサインは「待て」か。浜中は指を1本立てて「もう1回」と吉竹三塁ベースコーチに再確認した。「待てが出てるかなと思って…」。しかし、サインは「打ってよし」。次の球、河野が投じた129キロのスライダーを迷うことなく振り抜いた。「打った瞬間、入ったと思いました。走ってる間に(得点を)計算して、勝ったんかな…と。三塁を回ったらみんながいた」。浜中がホームベースを踏むと同時に歓喜の輪が弾けた。
どうしても打ちたい日だった。浜中は「母の日」のこの日、両親を甲子園に招待していた。1月の自主トレでは一緒にエアロビトレーニングをしたほど仲のいい母・恵美子さん(54)。「去年までは毎年、カーネーションを贈っていたんです。でも、今年は買いに行く時間がなくて…」。残念ながら時間の都合で家族は8回裏で球場を後にしたが、今年はカーネーションの代わりに、プロ初のアーチを届けた。 野村監督就任時から和製大砲として期待されてきた浜中。しかし過去4年、1軍通算61試合で本塁打は0本だった。しかも、今年は開幕2軍でスタート。「悔しかった。でも、いつかチャンスが来ると信じて、できり限りのことはしていた」。チャンスは約1カ月遅れてめぐってきた。そして今年の1軍出場6試合目、サヨナラアーチという最高の結果を示した。「ヒットの延長がホームラン。でも、大きいのも僕の魅力」。新庄の後継砲がようやく産声を上げたことに「遅いくらいだよ」と柏原打撃コーチは安どの笑顔を見せた。 「自信をつけてくれればいいんだけど」と野村監督も浜中のサヨナラ弾にホッとひと息。相変わらず貧打とはいえ、チームも6カードぶりに勝ち越した。借金はまだ6つもある。だが、浜中の一打で息を吹き返した。さあ、虎の巻き返しが始まる。
F1藤本、サヨナラ助演賞三塁側へ絶妙バント安打絶妙だった。藤本のセフティーバントがマウンドを駆け降りた河野の横をすり抜けた。三塁手・野村がカバーしたものの、藤本は俊足を飛ばして一塁を駆け抜けた。無死満塁。このバント安打でベンチもスタンドもイッキに「押せ押せムード」になった。 1―3で迎えた土壇場9回裏だった。矢野、田中の連続四球で、無死一、二塁。野村監督は打席に向かうルーキー藤本を呼び止め、アドバイスを送った。「『どっちにやるのが得意か。セオリー的にはサードか』と言われました」と藤本は言う。この「ささやき」で自分の仕事が確認できた藤本から迷いは消えた。狙いは三塁側だ。初球、狙い通りのバントを転がした。 藤本は「自分でもサード側の方が得意だったから。強めにいけますからね。思いきり(バットの)シンに当てたら、転がってくれました」と声を弾ませた。封殺のある一、二塁での送りバントは難しいが、結果は最高のバントヒット。「F1セブン」の藤本がドラマを演出した。 みんなでつないだサヨナラ劇だ。満塁から代打八木の遊ゴロの間にまず1点。東出の好守で三遊間は抜けなかったとは言え、八木は「残念だったけど浜中がよく打ってくれたよ」。先頭で四球を選んだ矢野も「塁に出ることだけ考えた。どんな形でもよかった」。どの顔もホオが緩んでいた。 2試合連続でタイムリーはなかった。「それは毎度のことですから」と野村監督。広島3連戦でのチーム安打数は19本。一方、三振数は安打を上回る23個…。貧打線に苦しむ試合が続く。この劇的な勝利が何かを変えてくれると信じたい。 カーライル、7回1失点粘投劇的勝利を呼び込んだのは先発カーライルの粘りだった。前日までチーム打率2位と好調の赤ヘル打線を相手に7回を投げ、ロペスの1発による1失点(3安打)だけに抑える好投。得意のチェンジアップに最速144キロの真っすぐを織り交ぜて試合を作り、終盤のサヨナラ劇につなげた。 「ゲームが小差だったから粘っていこうと自分に言い聞かせていたんだ。いいピッチングができたんじゃないかな? とにかくオレはいつもベストを尽くすだけだよ!」。ヒーローにはなれなかった助っ人右腕だがそうキッパリと話した。 「きょうはカーライルだ。彼が7回まで粘って踏ん張ってゲームを作ってくれたのが大きい」。手放しでほめたのは八木沢投手コーチだ。ここまで3勝は福原と並んで虎投2位。同点の7回、打順が回り交代したが、白星級の仕事だった。 まだ23歳。来日する米国人投手の中ではきわめて若い。メジャーでは通算2年で1勝しかマークしていないが、成長の可能性を秘めているだけに今後はますます楽しみだ。 弓長、3年ぶり白星4番手・弓長が3年ぶりの白星を手にした。9回に登板。1死満塁のピンチを迎えたが、代打瀬戸を三ゴロ、続く野村を左飛に仕留めて無失点。チームのサヨナラ勝ちで、1998年4月16日対ヤクルト2回戦(甲子園)以来、3年ぶりの勝利投手に輝いた。弓長は「何年ぶりですかね。満塁のピンチも低めに投げてゴロを打たせようと思った。白星の味なんてもう忘れてましたよ」とラッキー星に目を細めていた。 桧山、貴重同点犠飛選手会長・桧山が貴重な同点犠飛を放った。1点リードされた直後の4回1死一、三塁から、広島先発小林が投げた140キロ内角ストレートをセンターへ打ち上げた。桧山は「つまりはしたものの、うまくセンターへ打ち返せたと思う。最低限の仕事は出来たのではないか」と話した。 (15勝21敗:5位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||