第34戦 (5月11日)
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今岡V撃で20日ぶり連勝!

不振の男たちが最下位脱出を演出

 不振にあえぐ男たちが阪神に20日ぶりの連勝を呼び込んだ。1―1で迎えた6回。2死一塁から矢野が右前打。そして今岡が決勝の中前タイムリーだ。この1点を必殺リリーフ陣が守りきり、最下位脱出。この連勝を足掛かりに、逆襲頼みまっせ。

◇11日◇甲子園
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
広 島

阪 神
×
【広】(敗)高橋、玉木―西山
【神】(勝)ハンセル、葛西、遠山、(S)成本―矢野
【本】

意地のひと振り

 お立ち台で無数のフラッシュを浴びる今岡の目は、わずかに潤んでいた。「気持ちだけはみんな強いものを持っている。応援よろしくお願いします」。20日ぶりの連勝を呼び込んだヒーローは虎がまだ死んでいないことを甲子園2万5000人に伝えた。

 ベンチ前で円陣を組んで攻撃に突入した6回だった。2死一、二塁で打席に今岡。フルカウントからの6球目。「センター方向に向けて振り抜いた」という鋭く低い打球が、遊撃手・東出の右を抜ける。暴投で三塁に進んでいた桧山がホームイン。貴重な勝ち越し点が阪神に刻まれた。

 「前の打席でタイミングが合わなかった」。今岡は燃えていた。4回の2打席目は広島・高橋の前に3球三振。ボール気味の変化球にバットは空を切っていた。だが、今岡が6回の打席で燃え、お立ち台で感極まったのは4回の打席だけが理由ではないだろう。不本意だった昨シーズンの屈辱をバネに、今岡は巨人との開幕3連戦で打率・538、2本塁打8打点と爆発した。が、華やかな滑り出しとは対照的に同カード以降、打率は急降下。4月18日には・190まで落ちた。

スタメン
阪 神
広 島
浜 中東 出
田 中木村拓
ペレス浅 井
クルーズ金 本
広 沢ロペス
桧 山野 村
矢 野ディアス
今 岡西 山
ハンセル高 橋

あわや乱闘

 期待にこたえられないもどかしさ。坪井が2軍に降格した3日には「今岡も危ない」と野村監督から厳しい言葉も受ける。チームの低迷とともに開幕28試合目、ついに今岡の名前はスタメンから消えた。

 それでも、今年の今岡は決して下を向かなかった。「結果が出ないのと、状態が悪いのを一緒に考えると気持ちが滅入る」とヒットが出ないことを、調子が悪いとは考えなかった。「僕は毎日毎日、1打席1打席なんです。明日も打てないかもなんて考えても仕方ない」と上を向いた。

 期待にこたえられないもどかしさの中であえぐもう1人の男も勝利に貢献した。4回表。本塁に突入してきた野村に体当たりをされ、一触即発の場面となった矢野だ。両軍が飛び出す乱闘寸前。だが矢野は怒りともどかしさをバットにぶつけた。チャンスが消えかけた6回2一塁。意地のライト前ヒットで今岡につないだ。

さあ逆襲だ

 今岡のタイムリーは4月25日巨人戦以来12試合ぶり、5月に入って初のこと。チームも4月17〜21日に4連勝して以来、20日ぶりの連勝で最下位を脱出した。「今岡も久しぶりだろ」と野村監督もお立ち台のヒーローをたたえた。だが、まだ喜んではいられない。不振のお返しは、まだこれからだ。

村山さんへの追悼弾以来、3年ぶりのお立ち台

 今岡が「お立ち台」に立った。スタンドの大歓声がシャワーのように降り注ぐ。この感覚は久しぶりだ。「お立ち台? 大阪ドームでサヨナラを打って以来かも…。去年はないし、おととしもないでしょう」。今岡は気億をたどっていた。脳裏によみがえったのは、あの日のこと。1998年8月23日の対ヤクルト戦。大阪ドームでサヨナラ本塁打を放ち、「お立ち台」にのぼった時のことだ。

 忘れもしない。その前日、1998年8月22日、あの村山実さんが帰らぬ人となった。享年61歳だった。“ザドペック投法”で一時代を築いた大先輩が天国に旅立ったその翌日(8月23日)、喪章をつけて臨んだ試合で、今岡が劇的なサヨナラ本塁打を放った。天国へ捧げるホームラン。あの日以来の「お立ち台」に、今岡の胸は熱くなったに違いない。

ペレス2戦連続打点

 PC砲が「助っ人らしさ」を発揮し始めた。3回には3番ペレスが同点の犠飛を放ち、来日初の2試合連続打点をマーク。「かなり詰まったね。当たりはよくなく、納得はしていないが、最低限の仕事はできたかな」と主軸の責任感を見せた。4番クルーズも3打数2安打と好調。3回には腰に死球を受けたが、問題なく「一生懸命やっているだけ。勝てたことが1番うれしい。調子は上がっているよ」と満足した様子でベンチを後にした。

成本締めた6S

ハンセル→葛西→遠山で必勝リレー

 最後を締めくくるのは、やはり「背番号48」しかいない。ストッパー成本が9回表、1死から登板。ロペスを空振り三振、野村を二飛に仕留めてゲームセット。4月18日の対横浜戦(鹿児島)以来、23日ぶりとなる今季6セーブ目をマーク。「連勝劇」のフィナーレを鮮やかに飾った。

 前日(10日)の対横浜戦(横浜)は、4点リードの場面で登板したためセーブはつかなかった。だが、この日は違った。2―1での勝利。今季10試合目の登板は、リリーフ冥利につきる接戦だった。成本は「昨日(10日)も投げて、いい感じでマウンドに上がれた。チームも連勝しているし、しんどい試合をモノにできてよかった。これでチームの状態も上がっていくでしょう。自分が任された仕事を大事にやっていくだけです」と笑顔で振り返った。

 自慢のリリーフ陣は健在だ。この日、先発ハンセルの後を受け、7回から葛西が2イニングを無失点。最終回は遠山が先頭金本を中飛に打ち取り、成本へバトンタッチ。必勝リレーが決まった。すでに遠山、伊藤が17試合、葛西、西川が16試合…。リリーフ陣の登板数がチームへの貢献度を示している。野村監督は「リリーフ陣がいい仕事をしてくれた」とたたえた。

完全復活、ハンセル2勝目

 ハンセルが完全復活を印象づける2勝目を挙げた。「チームが勝ったことが何よりうれしい。内容には満足していないが、意識して低目に(ボールを)集めたのがよかった」と5日の広島戦(広島)以来、36日ぶりの白星に笑顔を見せた。

 この日は最速147キロと球威があった。6回を4安打1失点の内容は合格点だが、ハンセルは課題をしっかり見つけていた。2回表2死で8番西山に四球を与えた場面でハンセルは思わずしゃがみこんだ。「あそこでキッチリ抑えて、次の回は(先頭打者を)投手からにしたかった。しゃがんだのは、間を取りたかったのさ」。先月11日には胃腸炎を患い、ファームで緊急調整した。その間、京都市内の神社を訪れ、厄払いするなど、復活に向け心身ともに余念がなかった。意欲的な姿勢がつかんだ復活星だった。

(14勝20敗:5位)


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