| 第107戦 (8月25日) |
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連夜の劇勝!最下位脱出や坪井が涙の犠飛
プロ初の殊勲
坪井のバットは差し込まれていた。だが、ゆっくりと打ち上がった打球は、右中間まで飛んだ。ファンの後押しを受けるかのように。そして、坪井の雪辱の思いを乗せるかのように。「手ごたえはなかった。タッチアップできるぐらいまで飛んでくれと思ってました」。前進守備だった中堅木村拓が捕球すると同時に、三塁走者田中がタッチアップ。“サヨナラ・タイガース”が連夜の劇的勝利を飾った。 22日ぶり甲子園のゲーム。観衆は寂しい2万5000人にとどまった。しかも、8回、矢野の捕逸で同点とされた。消沈ムードに、マンモスも声を失いかけていた。高校球児が熱戦を繰り広げた同じ舞台で、空しい敗戦を迎えるのか…。 ノムさん「山田サンいい仕事してくれるワ」だが、9回に伏兵たちによるドラマが待っていた。「山田サン、いい仕事してくれるわ。今や、すっかり、打撃の人」。野村監督が代打山田のチャンスメークを絶賛した。1死から、田中が四球を選ぶと、葛西に代えて山田を送る。前日は延長14回にサヨナラ打。その殊勲者が、またもサヨナラ勝ちを呼んだ。左腕高橋の低めカーブに逆らわず、二塁手の頭上、右中間にポトリ。この巧打で、田中は三進。1死一、三塁とし、一気に勝利へ近づけた。 そして坪井が執ような内角攻めに苦しみながらも、気力で犠飛を運んで見せた。後半戦だけで5度目、前夜に続く今季8度目のサヨナラ勝ちだ。このミラクル3連勝で、8月18日以来の最下位脱出も決めた。
坪井、ミス帳消ししかし、坪井は素直に喜べなかった。試合直後、ベンチに1人、座り込んだ。「情けない。ボクがお立ち台に上がっていいのかな」。約30秒間、頭を抱えたまま、視線を落とした。プロ初のサヨナラ打の興奮などなかった。「あの2つのミスがなかったら、すんなり勝てたかもしれないのに」。初回無死一塁での一走で、けん制死。5回1死二塁での二走では、タラスコの遊直で飛び出して併殺。「プロとして恥ずかしいプレーを、1試合に2つもしてしまった」。あわや“戦犯”の際にいた。 ミスへの悔しさがあった坪井は、ロッカーに引きあげる途中で、目頭を熱くした。タオルで目元を押さえ、すすり泣くように声を絞り出した。「甲子園でやる時は、全試合勝つつもりでやります」。 まだ、借金は10ある。しかし、この日でホームゲームでは5割(27勝27敗)。「一番いい球場だと思ってます。お客さんも入ってくれるし、一番やりやすい球場だと思っています」。笑顔なきヒーローだが、響き渡る拍手が救いとなった。勝てばヨシ! それだけで甲子園は温かい。 <写真=我が家へ帰れば、連夜のサヨナラ劇、本日のヒーロー坪井(左端)に向かって笑顔のナインが突進だ!> セ界一のミラクル度
“恐怖の7番”塩谷、陰のMVP連続タイムリー2打点
お立ち台は坪井に譲ったが、この男の活躍なくしてミラクル3連勝はありえない。“恐怖の7番”塩谷が、また打った。1点を追う2回、ミンチーから左中間に同点二塁打を放つと、4回には一時は勝ち越しとなる右前タイムリー。8回味方の同点劇で脇役に回ったが、価値ある2安打2打点は文句なく陰のMVPだ。 「ボクのはたまたまですよ。でもどの打席も何とか食いついて行こうと必死でした。勝ててよかった」。 無心の一撃は、パパから娘に贈る1日遅れのバースデープレゼントだった。前日24日は長女・翠(すい)ちゃんの満3歳の誕生日。「夏休みは試合で、どこにも連れて行ってあげられないから」と今年初めて、翠ちゃんら家族を試合に招待した。ところが5時間40分の大延長の挙げ句、肝心のパパは6打席ヒットなし。誕生パーティーも準備していたが、塩谷が家に帰った頃は日付も変わり、翠ちゃんは待ちくたびれて眠ってしまっていた。 だがこのままでは、パパの面目丸つぶれ。塩谷はこの日朝、眠い目をこすりながら「無理やりに」1時間早起きした。ケーキを囲んで、早朝のお誕生会だ。「きょうこそは!」と誓っての、甲子園出陣だった。 8月4日の1軍再昇格以降、これで57打数20安打で打率3割5分1厘、2本塁打、12打点の大活躍。「もう2軍に落ちたくないですから」。開幕1軍を果たしながら、9打数無安打で2軍降格したひ弱さはもうない。今や堂々、柏原打撃コーチも「アイツは気持ちだけやろ」とうなる“恐怖の7番”だ。 <写真=連日の活躍を見せる塩谷、4回にはこの日2本目のタイムリーを右前に放つ> 葛西、連夜の7勝目も苦笑いうれしさも中ぐらいなり? 連夜の白星で7勝目の葛西は、苦笑とも安どとも言いがたい複雑な笑顔を浮かべた。8回2死満塁、ロペスの4球目が外角高めに外れ、矢野が後逸(記録は捕逸)。三塁から木村拓の生還を許し同点に追いつかれ、藪の白星を消してしまった。9回は踏ん張り、1死二塁のピンチをしのぎその裏のサヨナラ勝ちにつなげた。 同点の場面を振り返り「真っすぐを投げたんですが、僕がコースを誤りました。矢野には悪いことをしてしまいましたね」と淡々。7勝すべてがサヨナラ勝ちとなったが「緊迫した場面で使ってもらっていますから」と謙虚さを失わない。頼れるサブマリンが、上位浮上のカギを握っている。 藪、2カ月ぶり白星消えた「チームが勝ってよかった」あと1歩のところまでこぎつけたのに…。藪が、またしても勝てなかった。1点リードの8回。2死一、三塁。この日、3本のヒットを打たれていた金本を迎えたところで、野村監督から交代指令を出された。 7回2/3を6安打2失点。惜しみない拍手を浴びたが、藪本人が満足するわけはなかった。「2カ月勝ってないからね…。まあチームが勝ってよかったよ」。降板後に同点に追いつかれて、チームは勝ったが、自分に白星をもぎとることは出来なかった。 「コンビネーションが良かった。だんだんリズムも良くなってきた」と福間投手コーチ補佐。広島打線を相手に、連打を浴びることはなかった。6月8日巨人戦(東京ドーム)以来、遠ざかった勝利。サヨナラ勝ちで沸くベンチ裏で、無念のクチビルをかみ締めた男もいる…。
新庄、4戦連発ならずニュー新庄の4戦連発は実現しなかった。この日は珍しくストッキングをたくし上げたニュースタイルで登場。メジャーリーグではおなじみだが、本人は「意味ないっすよ」と、いたってクール? スタンドにはアトランタ・ブレーブス大屋スカウトが視察に来ていた。米大スカウトの目の前で、4回1死から左前打を放った後、塩谷の右前打で得点に成功。4打数でヒットは1本。今季2度目の4試合連続アーチは飛び出さなかった。「今日は坪井に聞いてよ」。ヒーローは後輩に譲ったが、やっぱりグラウンドではひと際目立っていた。 <写真=イメチェンの新庄君、かわいいですね> 桧山(プロ入り初めて一塁手として先発出場)「しんどいです。頭の中に余裕がまったくないんですよ」。 〈神―広〉 阪神が2試合連続でサヨナラ勝ちした。阪神は2―2の9回裏、1死から田中の四球と代打山田の中前打で一、三塁。続く坪井の中飛で田中が生還、決勝点を挙げた。8回途中から登板した3人目の葛西に7勝目がついた。阪神は最下位から脱出した。広島は8回2死満塁から捕逸で同点とした後、なお二、三塁の好機をつぶしたのが痛かった。 (48勝58敗1分:5位) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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